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【第43話】県大会準決勝 その4

ウミの奇襲は失敗した。

西がカウンター気味に放った後ろ蹴りがウミのベルトに直撃し、ジャイロセンサーを破壊。

ウミはそのまま蹴り飛ばされて、したたかに頭を打った。


「ウミちゃん!ウミちゃん!」


ツキ子が叫ぶが、ウミは反応しない。

声が聞こえないのか。

ヘッドギアのスピーカーが壊れたのかもしれない。


「…… 気絶したかな?

 妹じゃ、こんなものか。

 コアを破壊して終わりにする。」


西は倒木をまたぎながら、ゆっくりとウミに近づく。

そして、ウミのヘッドギアに手をかけようとしたところで、反射的に西は後ずさった。


「えっ…… 岩田(がんだ)?」


一瞬、西アスナの目には、ウミの姿が兄のリクに見えた。

気絶したと思っていたウミが立ち上がり、しかもアッパー気味にパンチを繰り出していたのだ。

あのまま近づいたら直撃していた?


「ちょっと驚いたけど、君の突きなんか食らっても効かない。

 君は妹だ。岩田じゃない…… 妹だ!」


西は再びウミと距離を詰めて頭部のコアを狙った突きを放つ。

ウミはわずかに体を横にずらすと西の突きの内側に自分の腕を差し込んで攻撃を受け流す。

インサイドパリイだ。

そこからがら空きの西の顔面を殴り倒した。

ロボットで強化されたパンチを顔面に受け、さすがの西も後退。


ウミの攻撃は止まらない。

西との距離を詰めると右足の付け根に正確なローキック。

西の義足が根元から外れて床に落ち、バランスを失った西自身も倒れ込む。


「な…… なんだこいつ、動きが急に変わって…… ごふっ!」


西の腹の上にウミが膝を落としてきた。


「西、お前…… 俺の妹に手え出しやがって……。」

「えっ?」


ウミは立ち上がり、西から離れて言う。


「立てよ。」

「えっ、えっ?」


動きだけではない。

ウミの豹変ぶりに戸惑いながら西は立ち上がる。


「望み通り、俺が相手をしてやる。決着つけようぜ!」

「あれは…… もしかして、リクくん?」


会場の外から様子を見ていたツキ子が異変に気づく。


「気絶したパイロットの体をAIが操作か?それとも奇跡の類か?

 どちらにしても、やるではないか!」


笑う真黒(まくろ)。


「岩田…… なのか?」

「西…… 来いよ。」


訳が分からなかった。

訳が分からないが、目の前の人物はさっきまで戦っていた岩田ウミとは明らかに違う。

この緊張感。この高揚感。


「うおおおおおっ!」


西は吠えた。

今、ここに、自分が望んだ戦いがある!

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