【第42話】県大会準決勝 その3
(ウミ、大丈夫か?)
「大丈夫なわけないでしょ。痛いよ!」
ウミは木の上で葉の中に身を隠していた。
地面に二回叩きつけられたダメージが抜けない。
手足は動くので、幸い骨折はしていないようだった。
「お兄、やけにあいつにこだわられてない?何かしたの?」
(西か…… そんな特別なことはなかったよ。
空手やってた頃から毎年のように大会で顔を合わせてたってだけで。)
「お互いに顔と名前を知っているぐらいの間ではあったんですね?」
通信でツキ子も会話に入ってくる。
(空手の試合って終わるとお互いに挨拶し合うものなんですけど、あいつは俺と試合がない時でもわざわざ話しかけに来たんですよね。)
「ちなみに、対戦成績は?」
(俺の全勝。)
「うーん……。
戦っては負けている相手の顔を見るたび話しかけに行って、ロボコンまで一緒に。」
歪んだ憧れというか、執着のようなものを感じる。
「西くん、病気で切断した右足をロボコン用に改造したみたいでしたね。
そんなにまでして追ってきたリクくんが交通事故……。」
突然、振動が起こった。乗っていた木が傾き、ウミの体が一瞬だけ宙に浮く。
ウミはすぐさま木の幹を蹴って別の木に飛び移った。
下を見て状況を把握する。
西アスナが先ほどの木を蹴り倒したのだ。
「ロボット義足にはこういう使いかたもあるんだよ。」
恐るべき蹴りの威力だ。
あんな蹴りを紙一重でかわしていたのかと思うと寒気がした。
「ウミちゃん、君はよくやったよ。でもわかっただろ?
君はやっぱり岩田にはかなわない。
あいつは強かった。」
話しながら西はまたウミが乗っている木を右足で蹴り倒す。
ウミはまた隣の木に移動。
「そして僕も君よりは強い。君はここまでだよ。
あきらめて降りてきなよ。」
次々に木が蹴り倒され、ウミはそのたびに移動。
そして、ついに近くに飛び移れる木がなくなった。
「これで終わりだ。
僕のスタミナかバッテリー切れでも期待していたのかもしれないけど、お生憎さま。」
西の蹴りで最後の木も倒され、やむなくウミは地面に降りてきた。
西はすぐさまウミとの距離を詰めて攻撃を仕掛けてくるかと思いきや、動けない。
足場が悪い。
周囲は倒れた木だらけになっていた。
「まさか…… ここまで読んでいたのかい?」
「すごいですよ、ウミちゃん!」
まさか。
だが、自分は戦いの場ではヒールだ。わざわざ否定したりはしない。
このチャンスを活かして勝つ!
ウミは素早い身のこなしで倒木の上を飛び回り、西の背後を取る。
そして攻撃。この一撃でコアを破壊する。




