【第37話】ヌターバックス その1
「ウミ、あんたバズってる…… ていうか、炎上してるよ。」
期末テスト終わりのヌターバックスで、クラスメイトのレイナに突然言われた。
あやうく噴き出しかけたヌターバックス・ラテを飲み込み、あたしは口を開く。
「ど…… どういうこと?」
「ほら、これ。」
レイナは自分のスマホでヌコヌコ動画を表示してあたしに見せた。
あたしがロボコンの試合に出ている動画だ。
「コメント欄、見てみ。」
かわいい。わかってるじゃないか。
恥ずかしい格好。好きでしてるわけじゃない。
胸が控えめ。放っとけ。
どこかで見た気がする。気のせいです。
野蛮。ん?
意外とえげつない。んん?
ヒールみがある。んんん?
「んんんんん…… っ!?」
「たぶんこの辺のこと言ってるんだね。」
県大会で論弩高校のロンダートを相手の左手で殴ったシーン。
模擬戦でゲッコウの顔を踏みつけたシーン。
そして一番最近、紅蓮台のハイロウに石を投げてぶつけたシーン。
「いやー、確かにあたしもちょっと引いたわー。」
テーブルに突っ伏したあたしを前に、レイナはからからと笑う。
こいつがコメント付けてるんじゃないだろうな。
だが、必死だったとはいえ事実は事実だ。
ぐうの音も出ない。
「誰よ、こんな動画上げてるの……。」
「うちのロボコン部みたいよ?」
公式かい!
だが、考えてみればいかにもワガハイ先輩のやりそうなことだ。
ツキ子姉め、せめて教えてくれればよかったものを……。
「ヌラックでも少し話題になってるみたい。見る?」
「…… いい。」
疲れた。
今日はもう帰ろうと思いつつレイナのスマホに目を向けたら、あるコメントが目に留まる。
ウミは俺の妹。
「お兄!?」
思わず起き上がってスマホに顔を近づけた。
「確かに妹って書いてあるけど…… 違うでしょ?
だって、ウミのお兄さんまだ……。」
お兄のことは説明できないからレイナにも秘密にしてるけど、
たぶん本人だ。
ヘッドギアの無線機能でインターネット接続できるらしく、
こないだはセクシー系サイトにアクセスしたログが残ってるとかってツキ子姉に詰められてた。
エロバカ兄め。
などと憎悪の先をお兄に向けていると、声をかけられた。
「あれ、ウミちゃん?岩田ウミちゃんだよね!?」
筋骨隆々、しっかりした体つきの男子高校生だ。
「…… あの、すみません。どちらさまでしたっけ?」




