【第36話】県大会3回戦 その4
レーザーセンサーが感知できるのは基本的に点だ。
人とかロボットとか岩山とかを塊として見つけることは難しい。
だが、今はそれしかない。
想像力を働かせて、点の集まりから敵の位置を、動きを探るのだ。
「パンツパンツ……。」
「変なことつぶやかないで!」
魔神ユウホはハイロウの操作にかつてないほど集中していた。
わかる…… いや、わからないが、感じる。
たぶん、これが敵だ。
シュート!
「きゃっ!」
ハイロウが放ったゴム弾が岩田ウミの顔のすぐ横を通り過ぎた。
信じられない。
カメラを壊した時点で勝ったと思ったのに。
「お兄!ツキ子姉!
相手の人って、こっちが見えてるの!?」
(いや、カメラを壊したから見えてはいないと思うぞ。)
「別のセンサーでウミちゃんを見つけているようですね。
恐るべしです。」
戦いはまだ終わっていない。
弾を撃って飛び去ったハイロウが旋回して戻ってきた。
カメラが壊れる前とそん色ない、いやむしろ鋭い動きになっているかもしれない。
ウミは走りながら足元の石をいくつか拾う。
先ほどは無意識に投げた一発がカメラに直撃した。
狙っていくつか投げたら、今度は倒せるかもという期待がある。
「はっ!」
掛け声とともに抱えた石を次々に投げる。
だが、当たらない。
「油断してなかったら、そんな攻撃は当たらないっスよ!」
栄光のメタルブレイズ、レベルマックスの敵弾はもっと速い。
「ユウホくん、もう弾が……!」
「わかってるっス!」
次が最後の攻撃だ。
「できるだけ近づいて、目の前からかましてやるっス!」
遠くから撃っているだけではウミに攻撃は当たらない。
空手黒帯のウミの手足が届く距離に近づくのはリスクだが、
どのみち弾が尽きればバッテリー切れまで待たれてこちらの負けだ。
(ウミ、さっきまでと動きが違う。直接来るぞ!)
「ウミちゃん、避けてください!」
いや、違う。チャンスだ。
手足が届くならできることはある。
ウミは足を止める。
「…… 受けて立つわ!」
ハイロウが猛スピードで目の前に迫り、
消えた。
「ウミちゃん、上です!」
見上げる。いた。
ハイロウから弾が放たれる。
その瞬間、ウミは肩から前に倒れ込みつつ足を高く蹴り上げた。
空手の胴回し回転蹴りだ。
「んなっ!」
ヒット。
ウミのかかとがハイロウのコアをとらえ、
県大会3回戦も機堂高校の勝利に終わった。




