【第34話】県大会3回戦 その2
試合が始まるなり紅蓮台高校のドローン型ロボット、ハイロウは飛び上がった。
一定の距離を取りながらウミの周りを旋回する。
「ええっ…… 速い!」
ウミは手をやや高めに上げた組手立ちで頭のコアを守りつつ、目でハイロウを追う。
紅蓮台高校のパイロット、魔神ユウホはヘッドセットをかぶり、
ハイロウのレーザーセンサーが出力する距離情報とカメラ映像から相手のガードの隙を確認。
「さて、敵さんが戸惑っているうちに……」
シュート!
ハイロウから発射されたゴム弾がウミの頭をとらえた。
(ウミ、しゃがめ!)
兄の声とともにツキカゲのサポートに導かれて、
自ら動こうとするより先にウミは膝を曲げて姿勢を低くした。
頭上をゴム弾が通り過ぎていく。
「ああっ、惜しい!」
「あなたが外すなんて珍しいわね。」
「あの子の反応、普通じゃないっスよ。」
副部長の峰サユキに軽く返しつつも、ユウホはすぐにハイロウの高さを下げ、
先ほどと逆方向からウミに迫る。
「また来る!」
(ウミ、フットワーク使え。止まってたら狙われる。)
ウミはとっさに岩肌のような床を蹴って後ろに飛ぶ。
目の前をゴム弾が通り過ぎていく。
「またかわされただと!?」
紅蓮台ロボコン部がざわつく。
ドローン型ロボットの飛行速度は人間の動きより速いし、弾はなおさらである。
正確な射撃を誇るユウホがここまで攻撃を当てられないのは初めてだった。
「へっ、うろたえてるんじゃねーっスよ!」
「だって魔神、お前……。」
「あんたらの目の前にいるのはドローン操作の天才っスよ。」
「みんな、今は魔神くんを信じて、集中させてあげましょう。」
サユキが間に入ってくれた。
そうだ、それでいい。
俺のことをわかってくれるのは一人だけでいい。
俺が戦うのはその人のためだけでいい。
ユウホはハイロウの操作への集中力を高めていく。
「そうだ、岩山の向こうに行ったら見えないんじゃ……!」
ウミは以前にリクが相手のパイロットの死角を利用して試合に勝ったのを思い出した。
ユウホも試合会場の外からハイロウを操作しているから、死角では操作しづらいのではないか。
試合会場の真ん中にある岩山の向こうにウミは走り込んだ。
だが、ハイロウはまったく迷いなく、スピードを落とすことなく追ってくる。
「えーっ、なんで!?」
「ウミちゃん、落ち着いてください。
今度の相手はロボットにセンサーを積んでいるし、腕もよいです。」




