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【第33話】県大会3回戦 その1

試合会場の真ん中に巨大な岩山がそびえ立っていた。

その周りも岩がゴロゴロしており、ところどころに草が生えている。


「すごい…… 何ここ?」

「3回戦の会場ですよ。山のイメージだそうです。」


あっけにとられているウミに、ツキ子が説明する。

本当にこの競技場は金がかかっている。


(足場が不安定だな。転ばないように気を付けろよ。)


ヘッドギアからリクの声。


「大丈夫よ。子ども扱いしないで。」

「でも今日の対戦校、紅蓮台(ぐれんだい)高校のロボットはドローン型です。

 相手は飛べるので、ちょっと注意かもしれませんね。」

「…… なるほど。」

(ドローンは飛びながら弾を撃ってくることがほとんどだ。

 コアを守りながらどう近づくか、だな。)


航(わたり)くんならどう戦うんだろう。


ウミはふと、今日の試合の出場権を賭けて戦った航ジンのことを思い浮かべた。

残念ながら彼はここにいないので意見を聞くことはできない。

先日の模擬戦でウミに負けて以来、部活に顔を出していないのだった。


「航くん、大丈夫かな……。」

「心配いらん!

 大見得切って貴様に負けたぐらいで折れるような男ではない。」


ウミの独り言に部長の真黒(まくろ)が割り込んでくる。


「本人不在とはいえ、そんな傷をえぐるようなことを……。」

「貴様はあいつと一戦交えていながら何も理解しておらんな。

 そんなことでは今度こそ寝首をかかれるぞ。」

「航くんがどうしているか、知っているんですか?」

「はんっ…… まあ、知っているが、

 知らなくてもあのときの様子だけで充分。

 航ジン一年生はいまだ我が全国制覇の駒の一つよ。」


また偉そうにこの男は。


いらだつウミにリクが語り掛けた。


(要は部活をやめさせないし、気にかけてるってことさ。

 俺たちの部長をもう少し信じろよ。)

「ですね。」


ツキ子の合いの手。


そんなものかしら。


破天荒な言動から想像されるより真黒がまともなのはウミも多少理解していたが、

それでも兄やツキ子のように信用する気にはなれなかった。


あたしはまだ、ロボコン部の人間じゃないんだわ。


ウミは休部状態になっている空手部に少しだけ思いをはせた。


「紅蓮台高校、紅蓮台高校のみなさんは試合会場にお越しください。

 繰り返します。紅蓮台……。」


相手校の呼び出しがかかった。

3回戦が、始まる。

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