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【第32話】ゲーマー その2

自由に空を飛び回る。

流れる景色。ひっくり返る天地。

不自由な体から魂だけが抜け出たみたいな体験だった。


生まれつき足が悪かった魔神(まがみ)ユウホは、

気を遣われたり同情されたりするのが嫌で社交的な振る舞いを身に着け、

それはやがて派手な髪色と軽い態度という形になった。

幼いころからテレビゲームを趣味にしていたが、

特にF(ファースト)P(パーソン)S(シューティング)で空を飛ぶのに夢中になった。

そうして授業が終わってはゲームセンターに通う日々を続けていたら、

いつの間にか日本一になっていた。


そして中学三年生の冬、高校受験を控えたユウホの前に、

高校二年生の峰(みね)サユキが現れた。


「魔神ユウホくん……ですよね?

 私たちの高校に来てくれませんか?」


聞けば、ロボコン部のドローン型ロボットのパイロットを探して、

流行のFPS、栄光のメタルブレイズで日本一のユウホに行きついたのだという。


「俺の足のこと、知ってるんスか?」

「いえ…… ごめんなさい。今日会って、初めて知りました。

 ただ、うちのロボットの操作は足が悪くても関係ありません。

 いえ、ユウホくん以上にうちのロボットを操作できる人はいないと思っています。」


変な女だと思った。

ゲームの成績だけを頼りに見ず知らずの中学生を勧誘しに来たのか。


「俺、Eスポーツのプロになろうと思ってたんスけど……。」


でも、彼女は自分にとって運命の女神だと思った。

何も知らず、ただ彼の才能を見出してくれたのだ。


「三年後に繰り上げにしよっかな。

 ロボコン日本一で有名になってからでも遅くないっスもんね。」


ユウホは紅蓮台(ぐれんだい)高校に入学してロボコン部に入部。

サユキの見立て通り、ドローン型ロボット、ハイロウのパイロットとして才能を発揮し、

県大会1、2回戦を順調に突破して今に至る。


「さっきの美少女っスけど……。」

「岩田(がんだ)ウミさん?そんなに気に入ったの?」


ユウホとサユキはゲームセンターを出て、高校に向かっていた。


「いやいや、俺は先輩一筋なんで。」

「それはどーも。」


相手にされてないな。わりと本気なんだけど。


「その子、強いんスか?」

「お兄さんと同じ空手経験者で黒帯の有段者みたい。

 ロボコン経験は浅いけど、かなり強いと思う。」

「なるほど……。」


ユウホが車いすを停めたので、サユキは少し進んで振り返った。


「……自信ない?」

「いえ…… 勝ちます。先輩が応援してくれるなら。」

「とゆーと?」

「俺が勝ったら先輩のパンツ見せてください。」

「それもセクハラだから。」

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