【第31話】ゲーマー その1
栄光のメタルブレイズ。
今、ゲームセンターで中高生に大人気のFPSだ。
プレイヤーはロボット傭兵部隊の一員として戦争に参加。
次々に与えられるミッションをクリアし、賞金を獲得してはロボットを強化し、
さらなるミッションへと挑んでいく。
その全国トッププレイヤーがここにいた。
「おっ、敵発見。
いち、に、さん…… 四機か。」
彼が使っているロボットはドローン型だ。
装備は初期からほぼ変えておらず、敵や障害物を見つけるセンサー類のほかはショットガンのみ。
賞金は基本性能アップにひたすらつぎ込んでいた。
敵が撃ってくるより前に三発の弾を放つ。
ヒット。ヒット。ヒット。
三機のコアに直撃。
残りの一機が攻撃してくるが、これを避けて一発返す。
これもヒット。
正確無比な操作で瞬く間に敵部隊を全滅させた。
「やっぱりここにいたのね。」
栄光のメタルブレイズの没入型ゲーム筐体を覗き込んで、声をかける者がいた。
「うん?ああ…… サユキ先輩っスか。」
声をかけられたプレイヤー、魔神ユウホはゲームを中断して返事をする。
「先輩を下の名前で呼ばないよーに。
話があるの。出てきて。」
「はいはい、ほかならぬ先輩のご命令とあらば。」
筐体の外に出たユウホの姿があらわになる。
銀髪が目立つ男子高校生は、車いすに乗っていた。
「県大会中に部活をサボって制服でゲーセンとは余裕ね。」
「嫌だなー。これも練習ですよ、練習。」
「ほら、次の対戦相手の情報よ。」
峰サユキは装着型ロボットを身に着けて戦う女子生徒の写真を見せた。
岩田ウミだ。
「おっ、なかなかの美少女!」
「…… 機堂のツキカゲだけど、パイロットが変わったみたい。
前のパイロットだった岩田リクくんの妹のウミさんよ。」
「うーん…… 胸はちょっと残念。」
「それ、セクハラだから。」
「てへ、すんません!」
軽い…… 軽すぎる。
サユキはため息をついた。
サユキは紅蓮台高校ロボコン部の副部長だ。
紅蓮台のロボット、ハイロウのパイロットとしてユウホを見出したのも彼女だった。
ハイロウは周囲の物体を認識するレーザーセンサーと、補助のカメラ映像を搭載したドローン型ロボットだ。
操縦に必要なセンス、才能を持ったパイロットを探していたら、
ゲーム好きの友だちからユウホを紹介されたのだった。
知り合って間もなくは足の悪いユウホに気を遣ったサユキだったが、
そんな同情の念も最近はだいぶなくなってきていた。




