【第24話】県大会2回戦 その4
お兄はロボットで戦いながら何を考えていたんだろう。
岩田ウミの頭の中は、それがほとんどすべてになっていた。
真黒やツキ子は、県大会を勝ち進むのが兄のためでもあると言った。
だが、そんなこと自分には関係ない。
自分をかばい、意識不明となった兄が打ち込んでいたロボット。
自分はどうしても好きになれなかったロボット。
これが何ものなのか知りたかった。
この対戦相手は人間ならありえないほど大きいが、それだけだ。
攻撃は単調で見え見え。
空手なら色帯の中級者にも及ばない。
大きさと固さから、当たったらまずそうという予感はあるが、ほぼ完ぺきにかわせる。
兄にとっても同じだっただろう。
こんな程度なのか。
それとも今回の相手が悪かったのか。
もういい。
終わらせてしまえ。
今も目の前に大きな足が残ったままだ。
ふみつけに失敗した足をいつまでも引かずにいる。
「えい。」
足のかかと側から払ってやった。
思いのほか簡単に相手はバランスを崩し、倒れた。
ロボットサポーターのチカラか。
だが、頭部のコアを破壊しなければ勝ちにならない。
ウミが相手のロボットの頭部に乗ろうとしたところで、
ロボットは転がって向きを変えると、起き上がった。
この反応は意外と早い。
「い、今の危なかったー…… なに、勝手に起き上がった!?」
論弩高校のパイロット、根緒の声に、
メカニックの井出が返す。
「へっ、起き上がる機能は自動化しておいたんだよなあ。」
かゆいところに手が届く機能、さすがだ。
コクピットへの衝撃や急に向きが変わることによる加速度も抑えられている。
だが、一発反撃されただけでこれか。
出し惜しみしている余裕はなさそうだ。
「井出くん、仕込んでくれた武器、使うね。」
ロンダートは左手をウミに向けると、そのまま発射した。
ロケットパンチだ。
普通のパンチより速い。
が、見切れないほどではない。
ウミは冷静にパンチをさばいて避ける。
これでロンダートは左手を失った。
そちらから攻めればたぶん勝てる。チャンスだ。
ウミは素早くロンダートの左に回り込んで反撃。
と思ったところで、何かが左後ろからわき腹にぶつかってきた。
「うぐっ!」
たまらず吹き飛ばされる。
「ウミちゃん、大丈夫ですか?
避けたはずのパンチが戻ってくるなんて……」
ヘッドギアからツキ子の声が聞こえる。
どうやら先ほどのロケットパンチにやられたらしい。
「井出くん、君が直前に仕込んでくれた飛び道具、うまくいったね!」
「家からコンピュータをパクってきた甲斐があったなあ。」
ロンダートは自ら飛ばしたロケットパンチをカメラで捕捉し、
コンピュータの自動制御でウミを追尾したのだ。
「うー…… コンピュータが熱風を出してきて熱い!」
「結構な計算負荷なんだ。狭さと暑さは我慢だろ。」
そうだ、気を抜いて軽い口を叩いている場合ではない。
ここがチャンスだ。畳みかけねば。
根緒はロンダートを機堂の選手の元に向かわせた。




