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【第22話】県大会2回戦 その2

「ウミちゃん、このヘッドギアがツキカゲの一番大事な部品です。」

「ツキカゲっていうのは、このロボットの名前?」

「ええ。いいですか……?」


ツキ子姉があたしにロボットのパーツを取り付けながら説明してくれる。

ヘッドギアはあたしの脳波に反応して、手足のサポーターを動かす。

あと、ヘッドギアの真ん中、おでこの所に取り付けられたコアを壊されたら負け。

わかりやすい。空手で顔に蹴りを入れられたら技ありになるのと同じだ。


「ヘッドギアのAIはリクくんの動きを学習していますが、

 妹で、同じ空手経験者のウミちゃんとは一番相性がいいはずです。」


だからあたしがA案なんでしょ。わかってる。


「インナーを着ていても、ロボットの攻撃を体に直接受けたら苦しいので、

 手足のサポーターで受けてください。

 リクくんに言われて空手の動きに合うように作っています。」


手サポは拳からひじの下まで、足サポは足の甲からひざまでを覆う形になっている。

重さもほとんどないし、問題なさそう。


「岩田(がんだ)ウミ一年生、相手は搭乗式のヒト型ロボットだ。

 あまり無茶苦茶な動きはしてこんだろう。空手の技は通じるはず。

 いつも通りやってこい!」

「ワガハイ先輩は、あたしのいつも通りなんて知らないでしょ。」

「はっはっはっ、我輩の情報網を甘く見るな。

 貴様の試合はデビュー戦から中学最後の公式試合まで映像で確認済みだ。」


うげげっ!

想像以上にキモいな、この人……。


「ウミちゃん、まずはここに来てくれて、ありがとうございます。

 でも試合が始まったらいろいろなことを忘れて、

 今に集中して、楽しんでください。」

「何それ?」

「あはは…… 正直言って、私はあまりよくわかっていないのですが、

 リクくんが言っていました。

 試合のときは頭を空っぽにして、今に集中するのが一番いいんだって。」


お兄の言葉か……。

そうだよね。ツキ子姉が、試合の心構えなんてわかるわけないもんね。


「ありがとう。行ってくる!」


あたしは試合会場に出て行った。

平坦な、四角いエリアだ。空手の試合会場に似てるかも。

さて、相手のチームは…… あれ?


対戦相手を眺めていて、あたしは不思議な既視感を感じた。

メカニックの男の人、どこかで……。

ほかの学校のロボコン部の人なんて知っているはずないのに。


「あ。」


あたしは間抜けな声を出しながらつい相手を指さした。


「ああん?」


相手が悪そうな顔でこちらをにらんでくる。

思い出した。

ヌクドナルドの死武矢男!


「ヌクドのオレンジジュース女……。」


相手もあたしに気が付いたらしい。

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