【第19話】論弩高校ロボコン部
論弩高校のロボコン部は弱小である。
部長の根緒は女子ながらロボットアニメを欠かさず見ていたロボ好きで、
入学した高校にロボコン部がないと知るや否や自分で作った。
隠れロボットオタクや根緒の熱心さに負けた友人たちが集まってくれたが、しょせんは素人。
昨年まで、根緒の乗ったロボットは歩くのさえやっとで、県大会どころではなかった。
だが、今年は新入生の井出が入ってきてくれた。
自宅は古きよき町工場の生き残りで、井出自身も品質のよいロボットを仕上げる腕を持っていた。
口下手で、いつもおかしな漢字のプリントされたTシャツを着ているという近寄りがたさだったが、
根緒はそんな井出の才能を早々に見抜き、ロボコン部に入れた。
井出がほかの部員に受けて入れてもらえるよう努力した。
井出も根緒の期待を知ってか知らずか熱心にロボットの改善に打ち込み、
論弩のロボット、ロンダートは県大会1回戦を見事勝ち抜いたのだった。
「へっ…… 2回戦は、不戦勝になっちまうかもなあ。」
「そういう言いかたをしない!
それに、機堂の部長の真黒くんはロボット狂と言ってもいいぐらいの人だ。
エースの岩田くんは出られないとしても、何とかしてくるよ。」
「ロボット狂…… へっ、あんたには言われたくねえなあ。」
井出が笑うと、根緒も笑みを返した。
「そうだね。まあ、私もロボットへの狂いかたで負けたくはないな。
機堂高校は今まで以上の最強の状態で来ると思って、調整を頼むよ。」
「おいおい、それじゃあ俺の仕事、結局増えるじゃねえかよ。」
「代わりに勝つ。悪い話じゃないだろう?」
井出は少し黙って目を閉じた。
少し経って、目を開けると棚から箱を取り出してきた。
「少しコクピットが狭くなるし暑くもなるけどなあ。」
「……何?」
箱の中に入っていたのは小さなコンピュータだ。
「家から持ち出してきた。
こいつでロンダートが少し強くなる。」
「私が狭くて暑いのを我慢するのと引き換えにかい。」
「俺なんか仕事増える上、泥棒だからなあ。」




