最終回(第50話):推し(似)の旦那様は、銀河で一番「重い」愛を誓われました
披露宴最終日。会場は、神宮寺財閥がこの日のために買い取り、全面クリスタル仕様に改装した東京ドーム。
五万人の観衆と、全世界数億人の生中継視聴者が見守る中、ついに「その時」が訪れた。
(……ああ。……私、今、世界で一番幸せで、世界で一番重い愛の中にいる……っ!)
私が纏うのは、湊さんが家宝の真珠を織り込み、KYLO様がダイヤモンドを散りばめた、数千億の価値を持つ特注の「聖衣」。
光のバージンロードを、湊さんと腕を組んで歩き出す。……供給。……全世界に「俺の唯一の王妃」を見せびらかす、神々しいまでの「最愛の推し顔」の供給。
ステージの中央、KYLO様が世界初公開の祝福歌『Gods and Bride』を歌い終えた瞬間。
彼はマイクを捨て、跪いて私の手をとった。
「……花音。……義弟としてじゃなく、一人のファンとして言わせて。……君は今日、世界で一番美しい『光』だ」
(……推し(本物)からの、公開称賛……っ! 心臓がもたない……っ!)
だが、その指先が触れるより早く、湊さんが私の腰を強引に引き寄せ、背後から包み込むように抱きしめた。
……天然。彼は「弟への牽制」を、五万人の前で、世界同時配信の中で、微塵の躊躇もなく実行した。
「……KYLO。……賞賛は十分だ。……これ以上彼女に触れるなら、たとえライブ中だろうが、俺が君をこの場から排除する」
「……ふふ、相変わらずだね。……じゃあ、最後は兄さんに譲るよ」
KYLO様がステージから飛び降りると、五万人の観衆から割れんばかりの歓声が上がった。
湊さんは、静まり返る会場の熱をすべて吸い込むような冷徹かつ圧倒的なオーラで、私の顎をクイと持ち上げた。
「……いいか、花音。……そして、世界中の者たちよ。……よく聞け」
湊さんの低い、けれど地を這うような深い声が、ドームのスピーカーを通じて全世界に響き渡る。
「……俺はこの女(神宮寺花音)を愛している。……彼女の推しが誰であろうと、彼女の過去がどうであろうと、俺がそのすべてを上書きし、支配し、慈しみ抜く。……神宮寺の全資産、全権力、そして俺のこの命すべてを賭けて、彼女の微笑みを守り抜くことを、ここに誓う」
湊さんの瞳に、一筋の熱い雫が光った。
……奇跡。……冷徹な魔王が、愛ゆえに流す、純粋すぎる執着の涙。
「……花音。……俺を選んでくれて、ありがとう。……一生、俺の檻の中で、俺だけを『推し』続けてくれ」
(……湊、さん……っ、……ずるいです、そんな顔……っ!)
私は、自分から彼の首に腕を回し、全力でその唇に飛び込んだ。
五万人の絶叫。世界中から届く祝福のSNS弾幕。そして、夜空に打ち上がる一万発の「神宮寺ブルー」の花火。
重なる、深く、熱い、魂の契約。
……天然。彼は「誓いのキス」をしているつもりだろうが、その力強さは、死が二人を分かつ時まで、一秒たりとも自由を与えないという「究極の溺愛」に満ちていた。
「……愛してる、花音。……もう、誰にも君を渡さない」
(……ひ、ひいいいっ! 最終回なのに、溺愛の包囲網が『永遠の迷宮』にランクアップしちゃってるぅぅぅ!!)
神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「世界平和」さえも自分の愛のBGMに変えてしまった。
私の『推し活OLライフ』は、ついに『推し(似)の夫に、全宇宙の富と情熱を捧げられ、24時間365日の猛攻を受け続ける』という、全人類が前世で銀河を万回救済し、かつ創造主として転生したとしても体験できない、最高に贅沢で甘い「ハッピーエンド」に到達したのだった。
「推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE」を最後までご愛読いただきましてありがとうございました!
本編はこれで完結です!
・・・ですが、あと2つエピローグを用意しています。
もう少し、この物語にお付き合い頂けると幸いです。
明日、掲載いたしますのでお楽しみに!!




