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推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第4章:告白と溺愛のハッピーエンド
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第40話:深夜の役所を貸し切りにして、推しの顔をした旦那様(仮)が「俺の苗字になれ」と迫ってきます

 紛争地帯からの生還。空港で待機していたメディアの群れを「プライベートな時間だ」の一言で散らしたみなとさんが、私を連れて向かったのは、都内某所の区役所だった。


「……湊さん。夜中の二時ですよ? さすがに閉まってますって……っ!」


「案ずるな。……俺がこの区の最大株主……もとい、筆頭寄付者であることを忘れたか。……裏口から入れ」


 湊さんは、タクティカルジャケットを脱ぎ捨て、ワイシャツの腕を捲り上げたまま、私の手を引き寄せた。……供給。……戦場帰りのアドレナリンが残ったままの、野生的な「独占欲に満ちた推し顔」の供給。

 役所の宿直室から出てきたのは、寝巻き同然の姿で震える区長本人だった。


「か、神宮寺様! こんな時間に、一体……っ!」


「……婚姻届だ。……今すぐ受理しろ。……一秒でも早く、彼女の戸籍を俺の隣に書き換えたいんだ」


(……区長を呼び出したぁぁ!? 婚姻届一枚のために、行政を私物化しないでくださいぃぃ!!)


 湊さんは、用意していた最高級の和紙で作られた婚姻届をデスクに叩きつけた。

 そこにはすでに、証人としてKYLOカイロ(カイロ)様の流麗なサインが。……絶景。……「国民的スター」が証人で、「世界的支配者」が夫になる、宇宙一贅沢な書類の供給。


「……花音。……書け。……君がこのペンを動かした瞬間、君は神宮寺の人間となり、俺の生涯の所有物となる」


 湊さんは背後から私を抱き寄せ、私の震える手に自分の手を重ねた。

 ……天然。彼は「法的な手続き」をしているつもりだろうが、その熱い体温は、私を一秒たりとも逃がさないという執着の塊だった。


「……湊、さん……。私、本当に、あなたの奥さんになってもいいんですか……?」


「……逆だ。……俺が、君の『一番』を独占する権利を、国に認めさせるんだ。……ほら、書け」


 湊さんの低い声に促され、私は自分の名前を、彼の隣に書き込んだ。

 受理印が押された瞬間。湊さんは区長の前であることも構わず、私の腰をぐいと引き寄せ、深い、深い、魂まで縛り上げるような口づけを落とした。


「……おめでとう、神宮寺花音。……これで君は、死ぬまで俺の腕の中から出られなくなったな」


(……ひ、ひいいいっ! 名字が変わった瞬間に、溺愛の包囲網が『終身刑』にランクアップしちゃってるぅぅぅ!!)


 神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「国家の制度」さえも、自分への惚気のろけの道具に変えてしまった。

 私の『推し活OLライフ』は、ついに『推し(似)の戸籍に潜り込み、24時間365日の強制溺愛を受ける』という、全オタクが前世で並行世界を百回救ったとしても体験できない「完全勝利」を成し遂げたのだった。

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