第34話:世界を救った後のご褒美は、二人の「神」による甘い包囲網でした
神宮寺本家の資産凍結は解除され、龍之介の告発もKYLO(カイロ)様が放った「SNSの一撃」と、湊さんの「株買い占め」によって完全に無効化された。
勝利の夜。スイスの古城の最上階にあるプライベート・サロンで、私は二人の「神」に挟まれていた。
「……花音、よく頑張ったな。……怖かっただろう。……さあ、俺の胸で休め」
湊さんは、最高級のシルクガウンを羽織り、私の腰を抱き寄せて自分の膝の上に乗せた。……供給。……勝利の美酒に酔い、少しだけ瞳が潤んだ「色気ダダ漏れの推し顔」の供給。
「……兄さん、公私混同がすぎるよ。……花音を一番に守ったのは、僕の拡散力のおかげだろ? ……ご褒美は、僕がもらうべきだよ」
反対側から、KYLO様が私の指先をとり、自分の唇に寄せて熱い吐息を吹きかけた。……絶景。……「支配者の抱擁」と「アイドルの求愛」。
……無理。さっきまで世界を救う大作戦をしていた人たちとは思えない、甘すぎる空気。
「……離せ、KYLO。……指先に触れるだけでも万死に値する。……彼女のすべてを癒やすのは、この俺の役目だ」
「……へえ、自信あるんだね。……花音、どっちが君をより『蕩け(とろけ)』させられるか、試してみる?」
KYLO様が、あの「ドーム5万人を失神させるウィンク」を至近距離で放ってきた。
……心停止。私の脳内オタクが「全人類、今の録画して!!」と叫びながら成仏していく。
だが、その瞬間。
湊さんが私の顎を強引に自分の方へ向け、KYLOの見ている前で、私の首筋に深く、深く「独占の痕」を残すように熱い口づけを落とした。
「……ん、んぅっ……! み、湊さん……っ、KYLO様が見てます……っ!」
「……見ていろ。……画面の向こう側の存在には一生できない『リアルな愛』を、今からたっぷり教えてやる」
湊さんは唇を離すと、挑発的に弟を射抜いた。
その瞳。KYLO様が最新シングル『Animal Instinct』で見せた、獲物を喰らう直前の野性的な瞳の、1000兆倍強引な「本能」の輝き。
「……花音。……今夜は眠らせない。……君の心も体も、俺の愛だけで満たしてやる。……わかったな?」
(……ひ、ひいいいっ! 経済戦争の次は、私の『理性』との最終決戦が始まっちゃう!!)
神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「世界を救った英雄」としての余裕を捨て、私を「逃げ場のない愛の牢獄」へと閉じ込めた。
私の『推し活OLライフ』は、ついに『二人の神(似)に甘やかされ、一歩も歩くことを許されない贅沢な地獄』という、全オタクが前世で銀河系を三回救ったとしても体験できない「糖度臨界点」へと突入したのだった。




