第33話:最強の「顔面国宝」兄弟タッグ、私一人のために世界を敵に回しました
スイスの古城に響き渡った、一通の緊急入電。
祖父・龍之介が、神宮寺グループの全資産を凍結し、湊さんの新会社を「不正送金」の疑いで告発したという。
「……爺め、往生際が悪い。……俺から花音を奪うためなら、一族を破滅させても構わないというわけか」
湊さんは、暖炉の前で冷徹な瞳を光らせ、タブレットの画面を指先で弾いた。……供給。……窮地に追い込まれてなお、不敵に微笑む「反逆の王族顔」の供給。
「……ねえ、兄さん。……僕の『影響力』、貸してあげようか?」
影から現れたのは、ライバルだったはずのKYLO(カイロ)様だ。
彼は不敵な笑みを浮かべ、湊さんの隣に並んだ。……絶景。……二人の「神」が同じ目的のために並び立つ、全人類が跪くべき歴史的瞬間の供給。
「……KYLO。……君はアイドルだ。……スキャンダルに巻き込まれるぞ」
「……構わないよ。……花音が泣く世界なんて、僕のステージには必要ないからね。……それに、僕のバックには世界中の『SOLARIS』ファンがついている。……神宮寺の老害一人くらい、一瞬で炎上させてあげるよ」
(……最強の味方!? 推しの影響力を、彼(似)のために使うなんて……っ!)
湊さんはフッと口角を上げた。
「……いいだろう。……俺が『経済』で爺の喉元を締め、お前が『世論』でトドメを刺せ。……花音を傷つけた代償がどれほど重いか、思い知らせてやる」
湊さんは私の腰をぐいと引き寄せ、全人類が見守る……いえ、KYLO様が見守る前で、私の耳たぶを甘く噛んだ。
……天然。彼は「作戦会議」をしているつもりだろうが、その瞳は、敵を殲滅した後の「略奪愛」の完遂を確信している執着に満ちていた。
「……花音。……怖がることはない。……世界は今、俺たちの手の中にある。……君を汚す奴は、この地球上から一掃してやる」
(……ひ、ひいいいっ! 兄弟喧嘩のスケールが、世界経済を揺るがすレベルになっちゃってるぅぅぅ!!)
神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「最強の弟」と手を組み、私を「世界で一番安全な、愛の要塞」へと閉じ込めた。
私の『推し活OLライフ』は、ついに『二人の神(似)に守られ、世界をひっくり返す女帝』という、全オタクが前世で宇宙を救ったとしても体験できない「大逆転劇」へと突入したのだった。




