第30話:スイスの古城に眠る「二人の王」、推しのルーツは愛の執着でした
アルプスの険しい嶺に抱かれた、神宮寺家ゆかりの古城『シュロス・レガリア』。
重厚な石造りの広間に足を踏み入れた瞬間、私は息を呑んだ。
「……う、嘘。これ、湊さん……? それとも、KYLO様……?」
正面に飾られた巨大な油絵。そこには、軍服を纏い、不敵に微笑む「彼ら」と瓜二つの男が描かれていた。100年前の先祖――神宮寺 湊一世。
「……驚くことはない。神宮寺の直系には、数代に一度、この『完璧な容姿』を持つ者が生まれる宿命なんだ」
湊さんは私の肩を抱き寄せ、冷徹な瞳で肖像画を見つめた。……供給。……100年の時を超えて共鳴する「呪われた美貌」の供給。
「……そして、その男は必ず、ある『特定の魂』を持つ女を愛し、その女を独占するためにすべてを捨てると言われている」
「――その通りだよ。……兄さん」
影から現れたのは、プライベートジェットを飛ばして先回りしていたKYLO(本物)だった。
彼は肖像画の前に立ち、湊さんと並んだ。……絶景。……二人の「神」が古城で対峙する、歴史的瞬間の供給。
「……僕たちは、分かたれた半身なんだ。……一人は『光』として大衆に愛され、一人は『影(支配者)』として世界を統べる。……そして、一人の女性を奪い合う運命も、血に刻まれている」
(……分かたれた半身!? 兄弟どころか、運命の双子……っ!?)
KYLO様は切なげに私を見つめ、手を伸ばした。
「……花音。……僕たちの先祖が愛した女性も、君のように『地味で、けれど誰よりも純粋に俺たちを推す』魂を持っていた。……君は、僕たちの元に帰るべきなんだ」
ガシッ、と湊さんが私の腕を強く引き寄せ、KYLOの視線を遮った。
「……ふざけるな。……血筋だの運命だの、そんな古臭いプログラムに俺を縛れると思うな。……花音を愛しているのは、俺の『血』ではない。……俺の『意志』だ」
湊さんは私の顎をクイと持ち上げ、KYLOの目の前で、私の唇に深く、牙を立てるような強引なキスを落とした。
……宣戦布告。……運命という名の「設定」さえも、自分の独占欲でねじ伏せる反逆の愛。
「……いいか、KYLO。……君が『光』なら、俺は『闇』だ。……闇は、光が届かない場所まで彼女を連れ去り、誰にも見せないように閉じ込める。……彼女のすべてを『上書き』するのは、この俺だ」
(……ひ、ひいいいっ! 出生の秘密が、さらなる溺愛のガソリンになっちゃってるぅぅぅ!!)
神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「100年の宿命」を飲み込み、私を「運命の呪縛から解き放たれた、ただ一人の最愛」へと確定させた。
私の『推し活OLライフ』は、ついに『神々の血を引く二人の男が、歴史を賭けて私を奪い合う』という、全オタクが前世の記憶を呼び覚ますレベルの「最終戦争」へと突入したのだった。
いよいよ湊とKYLOの秘密が明かされました。
ここからジェットコースター並みの三角関係が展開されます!お楽しみに!!




