第27話 コロッケ祭り終章
コロッケパーティーはコロッケを食べ尽くしたのでお茶会になっていた。
まぁ俺は参加せずに使った大鍋や道具を洗っていた。
お茶会は女の子ばかりだからおしゃべりに余念がない。
工房じゃアイン姉は物静かだし、お師様は女の子って歳でもないから静か……でもなかったか。
ファルは口やかましかったからな。
あの口の悪さに比べたらアリサ達のおしゃべりは気にもならない。
でもその何気ないおしゃべりでも苦手な人もいるんだ。
洗い物を終えた俺はその人達に近付いていく。
「ほら、上体が傾いてるぞ。変に工夫はせずにまずは基本をしっかり身に付けるんだ」
「「はい、師匠!」」
昨日と同じようにセリカがダレン達に剣の修行をつけていた。
昨日と違い、ダレン達が振っているのが木の枝じゃなくて木剣になっている。
「使い心地はどうだ?」
「良い感じだよ」
「木の枝より振りやすい!」
魔法樹の枝から作った木剣だ。
昨日木の枝を振っていたから夕べ作っておいたんだけどタイミングが良かったな。
「後片付けを手伝わなくて良かったのか?」
「さっと洗うだけだったし、ダレン達を見ててくれる方が助かるからな」
主にセリシアちゃんが。
たまにはダレン達の世話から開放されてもいいだろう。
「そうか。ところでアレフはこれからどうするんだ?」
「早速コロッケ売りに行ってくるよ」
「そうか。コロッケは美味しいから完売するかもな」
そんなに売れたらコロッケの補充が大変だな。
「そうなったらみんなにはまた手伝ってもらわないといけないな」
「えぇ〜」
「当分はパス〜」
ダレン達は嫌そうな顔をしている。
活発な彼等にとってもコロッケ作りは大変みたいだな。
「という訳で完売しない程度に売ってくるよ」
セリカに手を振って背を向ける。
お茶会のみんなにも挨拶しなきゃな。
「じゃあ俺はコロッケ売りに行ってくるよ」
「私も行きましょうか?」
モニカさんが同行を申し出てくれた。
「軽く屋台を出すだけなんで、モニカさんはみんなと楽しんでいて」
「私もお兄様と店番したいです」
「エリスちゃんも無理しないで。体調悪いんでしょ?」
「エリス、お手伝いは体調が良くなってからにしましょう」
「はぁ〜い」
エリスちゃんは渋々納得してくれた。
他の人はまだまだ話し足りないみたいだ。
お菓子を片手に話に花を咲かせている。
「……クッキー美味しい。アップルパイも美味しい。幸せ」
まぁカレンちゃんみたいにお菓子に夢中な人もいるけどね。
◇ ◇ ◇ ◇
ファノスにやって来た俺は、早速屋台を開いた。
「さて、今日の目標は100個かな」
もう時刻は夕方に差し掛かろうとしている。
晩御飯の買い物に来ている人も多いけど時間が無いよな。
とりあえずお客さんへ音と香りでアピールする為にコロッケを揚げる。
「いらっしゃーい、揚げたてのコロッケいかがですかー?」
呼び込みをしていると見慣れた姿が見えた。
「やっと来おったか。昨日は待ちぼうけしたんじゃぞ」
ドワーフのゲンさんだ。
そういえば昨日は屋台を出すと言ってたっけ。
「ごめん、コロッケの準備に予想以上に時間が掛かったんだ」
「この揚げ油の香り……ワイルドボアの背脂も使ったんじゃな」
「よく分かるね。油が足りなくて脂身を使ったんだ」
香りだけで分かるとか、ゲンさんは美食家だよな。
「とりあえずコロッケを3つ貰おうかの」
「はい、銅貨3枚になります」
魔法袋から揚げたてのコロッケを3つ取り出す。
「ふむ、ワイルドボアの脂が芋に深いコクを与えておる。前より美味くなっておるのう」
コロッケを美味しそう食べるゲンさん。
その姿に釣られてコロッケを買いに来る人が出始めた。
揚げたてを魔法袋から取り出すだけだから、今日はお客さんを待たせる事が無かった。
そんな中見覚えのあるお客さんがいた。
「ころっけだぁ〜! ママ、ころっけやしゃんいたよ〜!」
「良かったわねぇ」
先日もコロッケを買ってくれた親子連れだ。
「いらっしゃいませ」
「すいません、コロッケを10個下さい」
「くだしゃ〜い」
「はい、どうぞ」
10個を差し出された買い物カゴに入れる。
「この子がすっかり気に入っちゃってね。ここを通るとコロッケは無いのって聞いてくるの」
「ころっけ、すき〜」
「だから今晩のおかずはコロッケにしたのよ」
「本当にありがとうございます」
お代の銀貨を受け取ってお礼を言う。
帰り際バイバーイと手を振る女の子に手を振り返す。
あんなに喜ばれると嬉しいな。
「コロッケください」
おっと、お客さんだ。
俺は親子連れから視線を前に戻した。
「はい……ってエリスちゃん!?」
そこにはエリスちゃんが立っていた。
傍にはアリサとセリカも立っている。
「もう帰ってきたの?」
早くない?
と口にしかけて止めた。
エリスちゃんがイタズラ大好きと言わんばかりの表情をしていたからだ。
「お兄様。急いでコロッケを売りに行ったのは、こんな理由があったんですね」
理由?
訳が分からないのでアリサ達に視線を送るが、苦笑いが返ってくるだけだった。
「理由って何? さっぱり分からないんだけど」
「またまた〜。可愛い子に手を振り合ってたじゃないですか。何処で知り合ったんですか?」
手を振り合って……ってあの子のことか。
「お客さんの小さな女の子じゃないか」
「ちぇっ、もう少し慌てて欲しかったなぁ」
残念そうなエリスちゃん。
どうやら俺が慌てふためく様子が見たかったみたいだ。
「で3人共どうしたの?」
「エリス様がコロッケがをローレンス様とサーシャ様へのお土産に買っていきたいと言われてな」
「アレフ様の働く姿を拝見したくて……ご迷惑でしたか?」
俺の問いかけにセリカとアリサが答えてくれた。
「別に迷惑じゃないよ。お土産のコロッケは何個要る?」
「そうですね。お兄様とお義姉様の他に館で働いている者達の分もありますので、とりあえず50個程お願いしてもよろしいですか?」
「あぁ、ちょっと待ってね」
コロッケを50個包んでセリカに渡す。
結構売れたから今日はこの辺でやめておこう。
すいません。
途中で投稿してしまいました。




