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31:

 泡だて器製作開始から30分程度経過した頃から集まり始めた騎士や衛兵たち。一部階級が高い者だろうか、建物内へ案内されエントランスに待機している。残る大多数は屋敷前の広い庭に集まっている。

 そして予定より早い50分程度経過した頃、全員が集結したとの連絡が入るのだった。


「そ、それではテリスト様。皆に説明致しますので、国旗を出されて向かわれますように、ご案内致します」


 ポール込みで約3m程度ある。流石に部屋の中では収納していたのだ。国旗を取り出し、伯爵の後に続き玄関前まで歩いて行くのだった。

 全員で250から300名って所か。

 流石訓練されているだけの事はある。一言も余計な雑談など一切なかった。最初だけだが。


「皆聞け! 我、カーリバル以下、全兵力は皇国へ全面降伏する事にあいなった。全員武装解除後、屋敷へと入れ!」

「そ、そんな。皇国の手勢の内だれかを罠に嵌めて交渉する算段ではありませんでしたか!」

「バカ者!!」

「あ……」


 罠に嵌めたが食い破られた。もしくは無理だと判断して止めた。後者だったとしたら、罠に嵌める気だったのですと公表した事になる。短慮すぎる馬鹿が居たのだった。

 そもそも全員を殺すつもりで集めたのだ、探す手間を省くために。だからどんなに正義感ぶろうと醜態晒そうと未来は変わらないよ。


「カーリバル閣下。わ、我々の扱いはどうなるのですか……」

「まだ正式にお返事を頂いたわけでは無い。これより協議し、正式決定となる」

「そ、そうですか。罠に嵌める算段はどうなったのでしょう」

「貴様! 何度もいわせるな!」

「駄目だったのですね。降伏と見せかけ罠に嵌めたのですよ。処刑されるに決まってる! 殺される前に殺せ! 所詮そこにいる奴1人だけだ!」


 そう来ないとな。何も抵抗すらしない奴を手に賭けるのは少々後味が悪いが、そっちが殺す気で来てくれるのなら有難い。そもそも罠に嵌めて来るような連中に遠慮などしないが。


「よくぞ言った、かかって来い!」

「待てー!」


 すでに遅し、近接戦闘が得意な者は武器を抜き放ち距離を詰めて来る。魔術が得意な者は少々巻き込もうとお構いなしに放って来る。俺の後方にいる奴は武器を抜くと直ぐさま斬りかかって来た。

 現時点で<同時詠唱Lv8>だ。同時に9発は放てる。

 屋敷に当てない程度の距離、3m。後方扇状に1発MP30をつぎ込み【ディメンションカッター】を放ちざく切りにする。

 その直後前方より放たれた各種属性の槍系魔術が着弾すると思われたが、接触直前で欠き消えたのだった。


「なっ! なぜ着弾しない!」

「それよりも後ろの上官たち、何もできずに……」

「ほらどうしたよ。ぼさっとしてると死ぬぞ【氷よ還元し、氷結せし短針よ貫け、アイシクルランサー】」


 町中で活動する騎士や衛兵が盾を持っているはずも無く、乱発される30cm程度の尖った氷柱を受け、断末魔の声を上げながら倒れて行く。


「これだけだと芸が無いな。【ライトニングバースト】」


 着弾から拡散し、半径3m程度内にいる者が一斉にばったりと倒れた。状況を把握していないのか、襲い掛かって来る訳でも無く呆然と立っている。だからと言って敵対した者へ慈悲を掛けるつもりなど毛頭ない。次の魔術を放ち追い打ちをかける。


「ほら、何してるよ。次行くぞ【土よ還元し、巨岩よ圧し粉砕せよ、ロックフォール】」


 目標は後方だ。逃がさない為に押しつぶして逃げ道を狭くする。


「ば、化け物だ。逃げろ!」

「化け物ねぇ。そうそう逃がす訳無いだろ【炎よ還元し、行くてを阻む壁となせ、フレイムウォール】」


 ただ、これがちとやり過ぎた。横幅を増やそうと通常時の5倍程度かな? と適当にMPを込めたら5mを越える炎の壁が直立し、ロックフォールの岩石まで飲み込み、溶岩地帯へと変えてしまった。

 先ほどより酷い断末魔が響き渡り、溶岩に飲まれて焼けて行く者がかなりの数に上った。


「うーむ、やり過ぎたか。これはちと冷やさなきゃ駄目だな。【氷よ還元し、氷霰よ荒れ狂え、ブリザード】」


 これが止めとなり。周囲が一帯が凍り付いた。勿論領主館込みだ。毒物を混ぜ込んだ食べ物を作ったあたりから、メイドや執事も加担していると考えられた。

 元々殺す予定の内に入っていた事から心に病む事は全く無い。

 MP供給を連続して加えた訳ではなく。一瞬の効果なのでこれ以上気温の低下にはならない。ならないが、資産を回収する目的が当分駄目になったのは言うまでも無い。暖炉に【エターナルエンチャント/ファイアブレードLv1】を付与した短剣を放り込み。領主館の頂上に位置する場所へ国旗を立てたのだった。


 このままでは治安悪化が懸念される。そこで、適当な通行人へ金貨1枚を手渡し、商業面の税収する場所と魔物ハンターギルドの場所を聞いたのだ。

 前者は商業ギルド。此方は政権樹立まで税収禁止を言い渡し、魔物ハンターギルドへと向かった。


 外見の作りは何処へ行っても同じだな。入り口上部には剣と盾の交差した紋章が彫り込まれている。

 身の証を立てる為に国旗を取り出して入ると、この悪天候からかけっこうな人数がたむろしている。食堂では無い様だが入って右手には結構な数のテーブルに椅子が用意されており。PT単位か友人かで1つのテーブルを囲っているようだ。

 その様な中へ国旗を担いで入る俺、異様過ぎて皆の注目を集めながら女性職員が対応する受付へとたどり着いた。


「すまないが急用だ。皇国の遠征軍、副団長の地位に就くテリスト・ファーラル・アーレアルがギルドマスターに会いに来ていると言伝頼む」

「そ、それでは。この町、ステーツを納めるカーリバル様は……」

「俺に毒物仕込んだ食い物を提供したが効果が無くてな。返り討ちにあって衛兵も騎士も全員殺された。確認したければ領主館へ人をやってくれ」

「……【火の従事者】直ぐに確認して来て頂戴。直ぐよ!」


 少し考えてるかと思ったら、身を乗り出してテーブルを囲んでる1組に頼んだようだ。PT名だろう、そんな個人名を付けるはずないものな。


(わ、分かった。直ぐに確認してくる)


 いうが早いか、身支度整えるのも早い。立て掛けておいた武器を装備して何時でも戦闘可能な状態へ、そして彼ら6人は魔物ハンターギルドを後にした。


「彼らが戻る前に話を通しておきます。少しお待ち頂けますでしょうか?」

「お願いするよ。ただし、午前中には片を付けたい。そこを配慮してもらえるかな?」

「そこは……デリケートな案件ですので少しはお時間を頂けましたら……」


 内容次第ではあるが、結構なお金も絡んで来る内容に違いはない。それを一言二言で取り決めは流石に躊躇するのかもしれない。


「それはそうだ。なるべくって事で頼むよ」

「それはもう。テリスト様は大層なお立場ですのに威張り散らしたりしないのですね」

「それって帝国の連中はそんな態度って事なのか? 言っておくが貴族だからと威張り散らすような馬鹿は一番嫌いなタイプでね。そんな奴を相手にするとイライラするんだよ」


 のらりくらりと反対して、対処策をも提示しない奴と言い合ったからな、そのおかげで俺がこうしている訳だが。


「変わってらっしゃるのですね」

「俺も元々一般市民の出だからな。貴族だからと威張り散らす割には馬鹿だって奴に結構会って来た。その点、いろんな立場の目線で見れるとは思ってるぞ」

「流石皇国の英雄様。実力もあり配慮も出来るのですね」

「そんな大層な事じゃないよ、完璧な人なんていない。俺も嫁さんに注意されてばっかりだぞ」

「そうなのですね、意外です」

「常識知らずだと何度注意された事か、お陰で頻繁に突っ込まれてるよ」

「常識ですか、それなら私もお役に立てそうです。私はアンナ、アンナ・アンテローゼ、近い内にご挨拶に参りますね」


 挨拶か。どんな意図があって挨拶に来るのかは分からないが、その時は歓迎するとしよう。帝国での友人第一号になりそうだしな。


「何だか意味深な言葉だね。お客として来るなら歓迎するぞ。帝都の城に来てくれ、南部の平定に力を注ぐ必要があるから昼間いるか保証は出来ないが、俺の家族かクインって名前の猫がいる。俺に会いに来たと言ってくれれば取り次ぐはずだからな」

「はい。その時には。話し込んでしまいましたね、申し訳ありません。少しお時間を頂きます」


 よろしくと頼み受付から離れる。

 物怖じしない態度といい、極端に言葉を崩す訳でもなく絶妙な線で話していた。俺が伯爵連中を皆殺しにして来たであろうことは渡っているはずだが本当に度胸がある。

 この帝国にあってなかなかの人材を育ててるじゃないの。可能なら引き抜きたいと考えるテリストだった。




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