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21:閑話。連合、国主たち。

 場所はカーリス連邦の城塞都市、その中でも最も堅牢かつ豪華な建物の一室では、ある問題に直面した事から、国王の地位に就く者がトップ会談を行っていた。

 1人はバーナル王国国王、シャール・フォン・バーナル。年のころ40代後半のやや体力が落ちて来る頃合いの男性だ。

 攻め込んだ帝国とはカーリス連邦を挟んでおり。連携して事に当たるのであれば、近しいカーリス連邦に滞在しているのだ。

 もう一人はカーリス連邦国王。ヘルネルト・ガルサス・カーリス。年のころ40台前半の男性だ。

 そしてそれぞれに2名の護衛が付き、後ろに控えているのだった。


 直面している問題とは皇国遠征軍、副団長の地位にある、テリスト・ファーラル・アーレアルに対する決闘を突き付けた事だ。

 そもそも決闘を突き付けたクロサスはバーナル王国の者だ。そして副団長の地位にある者はカーリス連邦の者だ。

 なぜこの地位に就いたのか。それはバーナル王国へ貸し出されている通信水晶。本来であれば魔物ハンターギルドへ貸し出された品を持ち込んだ事への配慮から団長の地位を譲ったに過ぎない。

 現地と指令室である城と時間経過のないやり取りを可能にしたのだからその功績は比類がない。そこへ配慮した事からその職に就けたのだ。

 カーリス連邦は自国の通信水晶を副団長へと託し。双方のやり取りは双方の国の者が行う。これにより隠し事の出来ない状態へとなっているのだ。


 既に夜と言って良い時間帯。緊急連絡として、予定時間外にも関わらず連絡が届いた。団長であるクロサスが、支払うべき代金を踏み倒す為にテリストへ決闘を申し込んだと。

 その場はグリフォンを引き渡した事で直接決闘は避けられたがその後が問題であった。竜種の召喚魔方陣を受け取った。

 謝罪の為に引き渡した、それに対する対価とも言える品を受け取った。大問題である。


 そもそも2国へも結婚式典に参列するようにと正式な使者を送った事を聞いているのだ。その夫たる人物に決闘を申し込むなど言語道断、即時拘束し、処刑して見せしめとし、謝罪するのが最も良い方法なのである。が、先の人物は国内で最も強い者でありそう簡単に殺せる相手では無いのだ、例え不意を突いたとしても。


「やってくれましたな。自らの力を過信しすぎから。傲慢な態度が問題視されておりましたな。よもやこの様な最悪な形で、最も敵対してはならない方に決闘を申し込むなど。どうされるおつもりか」

「処刑し、謝罪を申し入れるのは当然です。貴国にもとんだ迷惑をお掛けしてしまう。団長の地位もお譲りしましょう」

「迷惑の一言で済む問題では無いのですがね。今回の戦争。皇国が介入した事から領地確保は激減する事は想像しておりましたが。この事から更に交渉が危ぶまれる事態となった事は事実。どうされるおつもりか」

「戦争とは別件として処理するようにと皇国へ申し込むしか手はありませんな。それを突っぱねられた場合には。私どもの割り当てを少なくし、貴国が多くの取り分を確保されるが良い。今回は此方に全ての責任がある」

「賢明な判断ですな。

 しかし、テリスト殿の情報を渡していなかったのですかな?」

「途中参戦されるとは思っておりませんでしたからな。参戦の表明が成され、警告が来たのは一昨日ですぞ。通信水晶を通しての情報しか持ち合わせていないはずです」

「迂闊でしたな。スタンピートのほぼ全てを平らげた英雄ですぞ。他の国の事とは言え、要注意人物の情報は共有すべきではありませんかな」

「胆に命じておきましょう。対象者は罪人として明日早朝捕らえて運ぶようにと申し付けます」

「それがよろしい。今晩はテリスト殿もお泊りになられるとか。正式な使者は出せませんが、立ち会って頂き謝罪とするが良いですな」

「無論です。補給物資に関してもテリスト殿にお世話になるとか。割り増し料金で買い取る様にと申し付けましょう」

「割り当ては減り、敵対し、物資も割高購入、3重苦ですな」

「身から出た錆、という奴ですな。国民には申し訳ない事をした。今後は人となりを見極めたうえで職に就かせます。これも勉強と思う他ありません」

「会談はこれまでとしましょう。双方にとっても分岐、予想を立て、交渉が少しでも有利になるように煮詰め直しが必要ですからな」

「お時間を取らせ申し訳なかった。失礼しますぞ」


 皇国の参戦が決定した事から両国ともに交渉を有利とする為、策を練っていた矢先の出来事であった。これにより、更に変更せざるを得ない事態となり、0ベースで交渉方法を構築する事が急務となり。時間が無い事も承知していた。

 両国共に情報を受け取っているからだ。参戦表明から僅か2日。帝都は落ち。ジアラハルトへの牽制の為、砦に残されている者は既に全滅。驚異的な戦力である。

 このままのペースで制圧が成されれば1週も掛からず平定されてしまう。それも大半を制圧される状態でだ。

 大半の功績を皇国に持って行かれる中、どうやって交渉し、自国の益を増やすのか、その方策を練る時間が足りないのだ。

 そして、皇国への配慮も忘れてはならない。あまりにも主張が過ぎれば反発を招き自国を窮地に貶める結果になる。その危うい天秤を、かの者の性格、国の成り立ち、価値基準、色々な情報を総合して考えねばならず、時間がいくらあっても足りないのだった。


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