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寂神様〜自称神様のお兄さんと出会った男の子が友情を知るまで〜  作者: 鮎ヶ瀬お米


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12/21

12濃縮還元

「……ああ、そうだな。結局最後に笑ってるのは俺たちだ」


 友人はグラスを傾け、オレンジジュースを飲みこむ。いつもより酸味が強く感じた。


「それで……どうしよう」


 青年もオレンジジュースを飲んだ。熱を持っていた体が内部から冷やされていく。


「噂だろ? なくなるのを待つとか……」

「それじゃあ時間がかかる……その間に工事が始まるかもしれない」


 友人は肯定したが、他の案は思いつかないようだ。青年は腕を組んだ。深く考え込む。


「……いっそのことイベントをやるとか?」

「ええ?」


 友人は青年の現実味のない発言に、またか、とさして驚きもせずに目線だけよこした。しかし青年はいつも通り本気のようで、真剣な眼差しで友人を見つめる。


「公園あたりで環境保全のイベントをすれば噂なんて取っ払えるし、その場で署名してくれる人もいるかもしれない」

「それは確かにできたら良いと思うけど……俺ら二人でイベント運営なんて無理だろ」


 友人はそこで一口オレンジジュースを飲んだ。


「最悪噂がなくなるのを待つより時間がかかるし、現実的じゃないと思う」

「そうか……」


 青年も流石に無理だと思ったのか珍しくそこで引き下がり、また腕を組んだ。


「今は、今まで通り署名を集めるのが一番なんじゃないか?噂の回り具合もわからないし」

「……確かに、噂を信じていない人もいるかも」


 友人は頷き、さらに考えを捕捉する。


「出なかったらインターホンを二回押すとか、地区自体を二周するとか、やりようはあるさ」

「そうだよね……!」


 青年は移動して友人の肩を叩き、久しぶりに笑顔を見せた。


「それで、この工事阻止したらイベントもしようぜ。そのが人も集まる」


 驚いて友人を見た青年に、にやりと笑いかけて、友人はサムズアップした。青年は、非現実的だと言いつつも完全には彼の考えを否定しない友人に、たまらない喜びを感じて、強くうなずいた。


「あとさっきから思ってたんだけどさ、このオレンジジュース、薄くないか?」

「君のは濃縮還元のやつを水割りしたからかな。前オレンジジュースにケチつけたでしょ」

「濃縮還元の意味よ。あとそれは悪かった」

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