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姫の転生・暗殺事件   作者: NANO
第1章:物語という名のミステリー
2/5

File.01 姫の暗殺事件

その報せは、夜明けとともに世界を駆け巡った。


グレイズトン王国第一王女――

ルナミア・テルメス・グレイズトン、崩御。


発見されたのは、王城正門前。

時刻は、深夜零時頃と推定される。


胸部を一撃。

心臓を正確に撃ち抜かれていた。


あまりにも鮮やかで、あまりにも冷徹な一発。

それは偶然などではなく、明確な“意志”によるものだった。


王国は騒然となり、民は息を呑み、貴族たちは沈黙した。


そして――犯人は、あまりにも早く特定される。


デルモンド子爵家次女。

ブルエニア・デルモンド。


彼女は、その場で拘束された。


決定的だったのは、弾丸である。

王女の胸を貫いたそれは、デルモンド家が独自に開発を進めていた特殊弾だった。


さらに、証言も揃っていた。


弾丸を持ち出す姿。

夜の城へと向かう影。

そして――発砲の瞬間を捉えた、鮮明な証拠写真。


逃れようのない状況。

誰もが、疑いようのない結論へと至った。


――犯人は、ブルエニアである。


だが。


当の本人は、何一つ語らなかった。


動機は明白とされた。


ルナミア王女は、隣国ラミリス王国第一王子――

クレナイト・フォン・ラミリスの婚約者。


そしてブルエニアは、その王子に強い想いを寄せていた。


届くはずのない恋。

決して交わることのない身分差。

奪われることのないはずだった未来。


そのすべてが、王女の存在によって閉ざされていた。


――だから、殺した。


誰もがそう結論づけた。


だが。


あまりにも、出来すぎていた。


あまりにも、整いすぎていた。


証拠も、証言も、動機さえも。

まるで最初から“そうなるように用意されていた”かのように。


そして何より――


ブルエニア・デルモンドは、未だ沈黙を貫いている。


否定もしない。

肯定もしない。

ただ、何も語らない。


その瞳の奥にあるものを、

誰一人として読み取ることはできなかった。


――これは、本当に彼女の罪なのか。


それとも。


もっと深く、暗い何かが――

この王国の裏側で蠢いているのか。


物語は、まだ始まったばかりである。


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