表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移してみたら、いきなり賞金首になっていた件  作者: 阿部 祐士
第四章 覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/56

裏切りの野営地――迫る危機と巫女の決断

 クエスト初日は、オーク一匹との戦闘があっただけで、それ以外特に問題なく、夕方までにダンジョンへの道のりの中間地点まで来た。日も暮れてきたので、そこで野営した。 

 晩飯はオークのロースと香草の入ったスープであった。海斗たちは、むしゃぶりつくように食べていたが、エリザベスは一口食べると、一人顔をしかめていた。

「どうにも、生臭い」

 普段、肉をあまり食べないエリザベスは、海斗達に

「すみません、ちょっとトイレに行ってきます……」

と言うと、近くの川まで行って口をゆすごうとした。

 すると、唇に違和感を覚えた。うがいをしようとするが、唇がうまく閉まらず、水が口から漏れてしまう。まるで、顔の筋肉が自分のものではないようだった。おかしい……。もう一度水を口に含み、うがいをしようとするが、口から水が漏れる。

 何かの状態異常ではないかと疑い、エリザベスは言葉をどもりながら、何とか毒消しの呪文を詠唱した。

「いと慈悲深き神よ、敬虔なる者を傷めし毒を浄化し給え、リムーブ・ザ・ポイズン!」

 すると、唇の違和感がすっかりなくなった――ひょっとして、これはしびれ薬……? まさか、食事に……仕込まれていた? エリザベスは気配を気取られないように、野営地に戻った。そして、茂みに姿を隠しながら、野営地を観察していると、

「あの、巫女はどこに行った?」

「リーダー、辺りを見回しましたが、どこにも見当たりませんぜ」

とダンやパーティの男達の声が聞こえてくる。

「もういいんじゃないの? 彼女は賞金首のうちに入っていないんでしょう?」

とロキシーの声も聞こえてきた。

「じゃあ、仕方がない。とりあえずKaitoらを牢獄に入れておくか……」

 そう聞こえてくると、仮面を外され素顔が露わになった海斗と結衣、そしてアリシアやレイナまで縄で拘束されて、どこかに運ばれようとしていた。ダンは、結衣を肩にしょいながら

「この姉ちゃん、食いっぷりの割に、育ってるのは腰の方だけかよ……!」

と言って、結衣の腰を何度か叩きながら、下品な笑いを漏らした。それを聞いて、周囲の男たちは野卑な笑い声をあげた。

 ブラックローズの面々はあきれたような顔をしていたが、誰一人止める素振りすら見せずに、ほぼ黙認と言った感じだった。そして、結衣は完全に麻痺しているのか、声を上がることもなく、体は力なくだらりとダンに預けていた。

「……どうしよう」

 心臓が耳元で鳴っているようだった。頭の中は真っ白で足の震えが止まらない――しかし、逃げるわけにはいかなかった。誰も助けてはくれないのだから。


 ……牢獄は、野営地から歩いて五分のところにあった。うち捨てられたヴァルディス公国の収容所を利用しているようであった。

 エリザベスは息を潜めて森の木々に隠れながら見ると、入り口にはかがり火が焚かれ、男冒険者二人が見張っていた。

「残りの巫女を探せ!」

 ダンの声が森の中に響く。その声を聞いて、エリザベスは体が震え、ここから逃げ出したくなった。ロキシーは

「しょうがないねぇ。見張りは男達に任せて、アンタたち、一緒に巫女を探すよ!」

と号令をかけた。……ブラックローズがいない今がチャンス。でも、私に助けることができるだろうか? そんな躊躇の時間を与えないかのように……ダンは仲間の一人に命じた。

「俺は、捕まえた連中がどうなっているか、見てくる。俺が入っている間は牢に誰も近づけさせるな」

と言うと、牢獄の中に入っていった。


「結衣さんが危ない!」


 エリザベスは直感的にそう思った。できるかどうかではない! 私がやるんだ! エリザベスは心の中で、そう決意すると、木々の中を気配を殺すように移動した。そして、杖を持っていないエリザベスの魔法が及ぶ、ぎりぎりのところまで見張りに近づいた。そして、小声で

「全知全能なる神よ、迷える魂たちに深淵なる眠りを誘い給え、スリープ」と唱えた。

 見張りの冒険者の一人が倒れ込み、もう一人の見張りが近づいてきた。

「おい、どうした?」

 再度、スリープの魔法を詠唱すると、もう一人の見張りも倒れた。男のパーティはダンを除いて、後三人。牢獄の中に潜んでいる可能性が高い。

 辺りをうかがいながら、エリザベスはひっそりと牢獄の闇の中に入っていった……。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。


 罠が仕掛けられた野営地で、エリザベスは恐怖と向き合いながらも仲間を救う決断をしました。


 その勇気の結果、彼女の身にどのような危険が待っているのか──。


 次回も見守っていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ