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異世界転移してみたら、いきなり賞金首になっていた件  作者: 阿部 祐士
第三章 エルシオン王国の巫女・エリザベス

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廃墟の罠、赤煙の空――連鎖する戦い

 海斗達は、罠を仕掛けた場所で、各自の持ち場で息を殺して敵を待っていた。

 海斗は唾を思わず飲み込み、結衣は険しい顔で罠を仕掛けた道を見つめ、レイナは静かに深呼吸をし、アリシアは剣の柄を握りながら不敵な笑いを浮かべていた。

 そうしていると、やがて罠を仕掛けた道の角から男たちの声が聞こえてきた。


「何だ、Kaitoらと思ったら、兜とマントを棒で固定した、ただのダミーじゃないか」

「気をつけろ。近くにKaitoらがいる可能性があるぞ」


 ……そして、しばし静寂が続いた後、陶器の破片を踏むジャリッという音が道路から聞こえた。

 すると、レイナは隠れていた廃屋の壁から身を乗り出し、陶器の破片を並べた付近めがけて立て続けに矢を射た。

 響く悲鳴の声。

「だ、誰か発煙筒を焚け!」

「それどころではないだろう!」

 叫び声も虚しく、三人の兵士が体に矢を受け、そのうち一人の兵士は喉を射られ、倒れた。

 すると、続いてレイナが隠れていた壁と対面の壁から結衣が現れ、灰袋を兵士たちに投げつけ、一時的に視界を奪った。咳き込む兵士たち。結衣の後を追うように、アリシアが飛び出した。剣を構え、一瞬で間合いを詰める。そして

「いただき!」

と叫ぶと、鋼の刃が肩口を裂き、胸元まで滑るように切り込み、血が飛沫のように舞った。

「おのれ!」

 残り二名の兵士は剣を振りかぶって、アリシアに襲いかかろうとしたが、アリシアと結衣は並んで逃走し始めた。仲間を倒された怒りに駆られたのか、逆上した様子の兵士二人は

「待て!」

と叫びながら、二人を追った。そして、結衣たちに追いつきそうになった時、結衣とアリシアは跳んだ。兵士たちが土の道路を踏み込むと、地面は崩れ兵士たちは落とし穴に落ちた――しばらく経って兵士の一人が穴から這い出してきたところを

「……ごめんなさい」

と言いながら海斗は兵士の頸動脈を斬った。穴に取り残された兵士は、レイナの矢でハリネズミのようになった。海斗は、胸の奥にわだかまる痛みを押し殺し、冷静に言った。

「よし、これでとりあえず、ここに来た兵士は全て戦闘不能になった。矢を回収したら、次の部隊を各個撃破するために移動する!」


 ――その移動の途中、海斗たちが廃墟の路地を抜けた瞬間、視界の端に兵士の影が映った。

「敵だ!」

 兵士のひとりが叫び、腰の革袋に手を伸ばした。取り出したのは、赤く光る魔石と小さな魔法陣が描かれた金属筒のようなものだった。

「ダーリン、やばいぞ! あれは発煙筒の魔道具だ! レイナ!」

 アリシアの声が響く。レイナは矢をつがえて弓の弦を引き絞った。レイナの矢が放たれた瞬間、兵士の手元で魔石が強く発光した。

 赤煙が曇り空へと立ち上るのとほぼ同時に、レイナの矢は兵士の首を正確に射抜いていた。 赤煙は風に流されながら広がり、曇り空を、血が水面に滴り落ちたかのようにじわりと赤く染めていった。

 残存の兵士三名は盾に身を隠すようにして守勢に立った。アリシアは

「まずいぞ、ダーリン! 今の発煙で敵の増援が来る!」

と叫んだ。海斗は

「どうする? ここで足止めされるわけにはいかないが、この部隊を叩いておかないと、増援した敵も同時に戦わなければならなくなる。退くか、それとも戦うか、アリシア?」

とアリシアの判断に委ねた。アリシアは

「今は敵が三人で数的にはコチラが有利だ! 叩く! 増援が来る前に数を減らしておく!」

と即答した。そして、兵士たちに向かって走り出した。海斗や結衣もそれに続いた。

 アリシアは

「レイナ! 結衣!」と叫んだ。

 レイナは兵士三名に向けて矢を射た。結衣は、たすき掛けしていた鞄の中から灰袋を取り出すと、続けざまに兵士の顔に向かって投げた。兵士三名は丸盾でそれらを防いだが、それでも盾で視界が一瞬遮られたようだった――その隙で、アリシアにとって充分だった。

 下段に剣を構えたアリシアは、兵士たちに突っ込むと無防備になった一人の兵の足を狙って薙ぎ倒した。斬られた兵士は足を抱えながら倒れた。

「いい加減にしろよ!」

 残り二名の兵士の一人が槍を捨てて、腰に吊り下げていた剣を鞘から抜くと、アリシアに斬りかかった。

 難なく、それを剣で受け止めるアリシア。他方の兵士には、海斗が駆けつけ、相手をした。アリシアは鍔迫り合いをしながら、体を相手の体の横に来るよう移動して、相手の剣先を流した。そして、前に倒れ込みそうになった兵士の後頭部を剣の柄で思いっきり叩きつけた。

 倒れ込む兵士。アリシアの剣先が背中を貫き、兵士の息が止まった。すかさず、海斗と戦っている兵士に向かうと、状況が不利になった兵士は慌てて逃げだそうとした。アリシアは

「そうは問屋が卸さない!」

と言うと、兵士の背を斜めに斬り裂いた。血がアリシアの顔と地面に飛び散った。

「ダーリン、増援が来る前に逃げるぞ!」

 海斗は仲間たちと共に裏路地へと駆けながら、空に昇っていく赤煙を一瞥(いちべつ)した。

 あれが誰を呼ぶのか、まだ知る由もなかった。

 今回もお読みいただきありがとうございました。


 海斗たちの罠が発動し、索敵班との戦闘が本格化しました。

 しかし、赤煙が昇り増援が迫っています。


 海斗たちは生き残れるのか。

 戦いはまだ続きます。


 次回もよろしくお願いします。

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