第53章 違和感
この物語は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。
「……戦、だったのか。」
誰かが呟いた。
豊後。市は開いている。荷は流れ、人が行き交う。
焼け跡は少ない。死体も、ほとんどない。
それでも地図は変わっている。
「戦、だろう。」
別の者が言う。
「だが。」
一拍。
「こんな戦があるか。」
沈黙。
答えは出ない。
「日野と島津の大狸狩り。」
そう呼ばれ始めていた。
巻き狩り。
だが誰も、それをそのまま信じてはいない。
「戦じゃ。」
「いや、違う。」
「だが取られておる。」
「なら戦じゃ。」
「だが、死んでおらん。」
言葉が噛み合わない。
違和感だけが残る。
村。
田はそのまま。水は流れ、道は整っている。
「……増えておる。」
農民が呟く。
「何がだ。」
「全部じゃ。」
短い。
米も水も人も。
「戦の後か、これが。」
誰も答えない。
市。
商人が帳面を叩く。
「回る。」
一拍。
「早い。」
「止まらん。」
沈黙。
「……増えておるな」
「何が。」
「銭じゃ。」
短い。
だが、それだけではない。
「安心、か。」
誰かが言う。
静寂。
兵。
「戦った気がせん。」
笑う者がいる。
「贅沢言うな。勝った。」
「勝ったといえるのか、これ。」
一拍。
「増えただろ。」
曖昧。
それでも、不満はない。
噂が流れる。
「僧の縁だ。」
「流れを整えた者がいる。」
「港を繋げた者がいる。」
「見張る者がいる。」
断片。
だが、確かに繋がる。
ある者が言う。
「これは。」
一拍。
「戦ではない。」
沈黙。
「なら何だ。」
答えは出ない。
長崎。
港は満ちている。
船の出入りは止まらない。
「……線だな。」
商人が呟く。
「何を言っている。」
「繋がっとるんだよ、様々に。」
短い。
長崎、大村、唐津、博多。
流れが一本になる。
「これが、か。」
誰も最後までは言わない。
大村城。
報は静かに積まれている。
信安が言う。
「何事も、恙無く。」
空海。
「静かすぎだな。」
龍重は何も言わない。
帳面を見ている。
数字は整っている。
流れも問題ない。
だが、視線が止まる。
一拍。
「何もなさすぎじゃろ。」
短い。
空海が笑う。
「良いことですな。」
龍重は首を振る。
「良すぎる。」
沈黙。
信安が言う。
「違和感、ですか。」
龍重。
「そうじゃ。」
夜。
静か。
風が弱い。
龍重は一人、座していた。
灯りが揺れる。
何もない、何も問題はない。
それでも、
「……おかしい。」
短い。
思い出す。かつてあった、声。
判断の端にあった影。
一歩引いた視線。
「……今の儂を見たら、笑っているはず。」
沈黙。
「どこへ行った。」
それだけ。
以前なら、何かあった。
引っかかる何か。止める何か。
だが今は、ない。すべてが滑らか。
それが、おかしい。
「健。」
名を出す。返らない。
沈黙。
いつからか、いなくなっている。
気づいたのは最近。
いや、もっと前からかもしれない。
「……消えたか。」
短い。
だが、不安ではない。気配はいずこかに感じる。
「静かすぎる。」
それが、怖い。
外。
流れは続いている。
止まらない。
整っている。
龍重は目を閉じる。
「……何が変わった。」
誰も答えない。
ただ一つ、確かなこと。
「人が減ったわけではない。」
一拍。
「何かが抜けた。」
それが何かは、まだ分からない。
だが、確実にある。
違和感。
それだけが残っていた。




