第52章 いつもの出来事
この物語は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。
朝は、いつも通りだった。 大村城。帳面が積まれ、筆が走る。人が出入りし、声が交わる。 変わらない。
だが、その中で龍重は一枚の紙を見ていた。 「……書くか。」
短い。
信安が顔を上げる。
「どちらへ。」
龍重。
「島津じゃわ。」
空海が笑う。
「どれだけ愛しているんですか。」
龍重は筆を取る。
さらりと書く。
「豊後にて、共に巻き狩り、所望する。」
それだけ。 余計な言葉はない。
信安が目を細める。
「……今回は大物ですかね。」
空海。
「大狩りですな」
龍重。
「いつもの狩りじゃよ、いつもの。」
短い。
薩摩国、内城。 義久は文を受け取る。
目を通す。
一行。
「……またか。」
家久が笑う。
「好きですな。今度はどちらで巻き狩りを?」
歳久。
義久は文を置く。
「我らは府内まで。」
一拍。
「じゃが。」
少し間を置く。
「日野は豊前まで行くじゃろ。」
静寂。
家久。
「乗りますか。」
義久。
「乗るしかあるまい。」
短い。
「日野は止めてもやるじゃろ。あやつ、存外に頑固。」
一拍。
「ならば、一緒に大狩りじゃ。」
決まる。
大村城。 信安が紙を広げる。
「南北二つ。」
龍重。
「南の狩場は任せる。」
空海。
「島津が府内まで。」
信安。
「我らは北側。」
一拍。
「海も含めて。」
龍重。
「そうじゃ。」
指で線を引く。
「ここから北。」
「海も、陸も。」
空海が笑う。
「大きな大きな狩場ですなぁ。」
龍重。
「逃がす気はないさね。」
短い。
だが、戦ではない。
「巻き狩り」である。
その名目で、全てが変わる。
文が飛ぶ。
村、市、商人へ。
「巻き狩りを行う」
「迷惑をかける」
「ゆえに」
一拍。
「払う」
米、銭の支払い。道、水の整備。
沈黙。
「……意味が分からぬ。」
農民が呟く。
「来る前に払うのか。」
「そう書いてある。」
ざわめき。
「止めるか?」
「いや。」
一拍。
「止めても通るなら通そう。」
―― 商人。
「一時往来の停止。」
「補償あり。」
沈黙。
「……行くの止めるか。」
「止めるか。」
短い。
「止めても損はない」
さらに文が飛ぶ。 大友家家臣へ。
「迷惑料の先払い。巻き狩りに協力すれば謝礼。」
沈黙。
「……何をする気だ。」
「巻き狩りだ。」
「戦ではない。」
ざわめき。
「だが。」
誰かが言う。
「逃げ場がない。」
静寂。
瀬戸内。
村上の船が動く。 速い。 静か。 流れを押さえる。
「止めるぞ。」
短い。
船が配置される。 海が閉じる。
陸。 道が整えられる。 橋が直される。 水が引かれる。
「……通るためか。」
「違う。」
「逃がさぬためだ。」
沈黙。
日が昇り一斉に動く。
南から島津が軍を率いて入る。
重い。確実に仕留めるつもり。
北からは日野。 速く、滑らか。
豊後水道、村上が締め逃げ道が消える。
豊後。
「来たぞ」
声が走る。だが、遅い。 既に囲まれ厭戦気分。
「戦え」
誰かが叫ぶ。
だが。
「どこで。」
沈黙。
流れがない。
連絡がない。
補給がない。
逃げ道がない。
「……狩りだな。」
誰かが呟く。
日は落ちる。 火は上がらない。
だが、人は減る。 静かに、確実に。
数日で終わる。 小競り合いすら起こせなかった。 大村城に軍司令官の重直より報が届く。
「巻き狩り、終了。」
それだけ。
信安。
「府内は島津が確保。」
空海。
「北部、制圧。」
龍重。
「豊前は。」
信安。
「時間の問題。」
沈黙。
机の上。 地図がある。 線が引かれ南北が繋がる。
龍重が言う。
「……大猟じゃな。」
短い。
空海。
「巻き狩り、ですな。」
信安。
「いつもの。」
龍重。
「そうじゃ。」
一拍。
「いつものことじゃ。」
外。 道が整う。 水が流れる。 市が戻る。 人が戻る。
だが、地図は変わっている。 戦でなく、島津と友誼を深めた、ただの「巻き狩り」それだけだった。




