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肥ノ国立志伝~戦国制度革命史  作者: 日野龍哉


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第45章 日野家動乱⑤

この文章は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。

 挿絵(By みてみん)

 風が強い。音が散る。視界が揺れる。

 戦は、始まっている。

 永谷一典。前を見る。

 一門の若者たち。

「抜ける。」

 短い。

 狙いは一つ、日野龍重本陣。

 そこを抑えれば終わる。それだけ。

挿絵(By みてみん)

 空海隊と重直隊を蹴散らし、音無田へ向かう。

 速く。

「止まるな。」

 兵が応じる。前へ押す。

 日野の弱兵、そう見える。退き、逃げ腰。そう見える。

「行け。」

 一門の中堅。迷わない。ここで決める。


 一方、龍重。床几に腰掛け、動かない。

「来る。」

 それだけ。

 小河が静かに頷く。

「一手目。」

 始まる。


 山沿いを動く強行偵察隊と輸送隊の影。

 小河。

「二手目。」

 夕暮れに紛れ動こうとしているが、

「……いるな。」

 永谷が気付き、小さい獲物を取りに走る。

 価値はある。

 永谷側は殺到。兵糧や武具が大量に荷車から落ちる。狂喜乱舞する将兵は、一足早く自分の物にしようと小競り合いがはじまる。

「奪え奪え。」

 動く小隊に襲いかかり奪う。簡単で抵抗はなかった。勝つ。

「やれる。」

 空気が変わる。


「三手目。」

 北側から石と矢が降る。少数だが正確。

「敵襲か!」

 一瞬だけ止まる。

 それで十分。


「四手目。」

「叩け!」

 永谷側。少数と見て、押す。

 殲滅へ動く。

 前へ、さらに前へ。


「五手目。」

 南側、鶴翼が開き石と矢。

 同時に龍重本陣。

 火、高く大きく上がる。揺れる。

「……本陣!」

 視線と心が動く。

 挟撃、そう見える。


「六手目。」

「突っ込め!」

 一門中堅、決断。

 速い、本陣へ、一気に。

 ここで決める。


「七手目。」

 蹴散らし、陣幕に入った瞬間。

 静寂、そして、意識が消えていく。

 火と光と轟音、弓、石、長槍。

 囲む。前も、横も、後も。

「……罠か!」

 反応が遅い。

 殺しのための空間。

 完全に崩れる。前列も後列も消える。

 血飛沫、鉄砲の煙、轟音。

 止まらない悲鳴、怨嗟。


「八手目。」

 永谷本陣、動く。

 老臣、

「救え!」

 前へ。

 だが、急報が入る。

「報告! 岩屋川内より影、北上とのこと!」

 よく知る強襲山岳兵。道を突破する。速く、静か。

「……!」

 永谷は動じない。

 老臣が止まり、一典を見る。

 一典は首を横に振る。

 救えない。

「引け。」

 短い。

 本拠を救援するため切る。冷静に撤退。


「九手目。」

 殲滅後、俵坂へ。

 日野家が押さえた。

 沈黙。

 龍重、息を吐く。

「終わりじゃ。」

 小河、頷く。

「詰み。」

 短い。

 空海、空を見る。

「見事に嵌めましたな。」

 龍重、首を振る。

「流れじゃ。わしらは乗っただけじゃ。」


 永谷は俵坂峠で止まりふり返る。

 先陣は全滅。本体は崩れてはいない。

 だが、龍重に敗れ進めない。

 それで十分。

 勝敗は決まった。

 一典。

「伝令。」

「はっ。」

「龍造寺領を治めている成道に、大鳳落ちずだけ伝えよ。」

「承知っ。」


 龍重は大村に撤収。

 空海と重直は嬉野館へ向けて進軍。

 現在、籠城戦に入っている。

 周辺の村落は桜岡の手により、市場の復興が始まった。

 久々に高札が立ち、値が明確になる。

「道を整える。」

「村の田畑を広げる。」

「日野家が雇う。」

 星奈、龍徳、梨香が嬉野に入る。

 銭が民に落ち、流れが整う。

「罪は武家にあり、従った民を罰することはせぬ。」

 龍重の文もそのまま高札に書き写される。

 市場に笑顔。

「今はこの価格。」

 目に見える価値に、安堵の息。

「一典様、悪政は敷かなかったが……。」

 言葉は続かない。


 もはや、一典の大義名分は地に落ちた。

 当主や男手を失った反日野家派は瓦解する。

 龍重は辛辣な手を打つ。

「領地を明け渡せば、困らぬ程度の銭は渡す。領地を渡さぬのであれば、斬る。」

 武士にとって土地は名誉に等しい。

 小河。

「選ばせてやる。優しいだろ。」

 淡々と言う。

 星奈が優しく言う。

「ここは日野家に戻りました。新たに土地を貸し与えることができます。但し、今後は他所からの人も移住してくることがあります。優しくお願いします。」

 一見田畑の保証と拡大。だが、外部からの介入もやることを優しさの衣に包んだだけ。


 嬉野館。静かではない。

 声がぶつかる。

「何故だ。」

「何故、止めなかった。」

 一門の怒りと焦り。

 視線は一つ。永谷一典。

 座る。動かない。

「……。」

 誰かが言う。

「作戦の失敗だ。」

 空気が固まる。

 一典。ゆっくり目を開く。

「誰が攻め込めと言った。」

 短い。

 沈黙。

 誰も返せない。

 一典は言っていないという事実。

 さらに。

「救援しようとした。」

 間。

「だが、北。」

 岩屋川内から強襲山岳兵。

「見たであろう。」

 誰も否定しない。

「止まれば、全て失う。」

 短い。

「退いた。」

 一門。口を開くが閉じる。

 言えない。分かっている。

 突っ込んだ、自分たちが浅慮で。

「……判断の誤りか。」

 誰かが呟く。

 一典は否定も肯定もしない。

 ただ。

「事実じゃ。」

 それだけ。


 城外より投げ文。

 降伏勧告。

 選べ。明け渡しか、斬首か。

 簡単だが重い。

 明け渡しは名誉を明け渡すこと。斬首は……恥辱。


 嬉野館内では決まる。

 多くが選んだのは

「腹を斬る。」

 我等は武士。土地も名も手放せない。

 刃が腹に落ちる。音は少ない。

 一典が介錯する。見ている。変わらない。

「……。」

 そして。

「縛れ。」

 自ら、差し出す。

「逃げぬ。」

 短い。

 生きることを選ぶ。


 夜半、嬉野館近くの牢。

 静か。足音が一つ。

 お忍びの龍重が入る。

 一典。

 顔を上げる。

「よぉ、小僧。」

 龍重、頷く。

「終わったの。」

 短い間。

「……いや。」

 一典。

 首を振る。

「始まりじゃろ。」

 龍重。

 少し笑う。

「ああ、お主のせいでな。」

 一典、目を細める。

「儂のおかげじゃろ。」

 間。

 龍重。

「叔父上、見事日野家の弱点を突いた策じゃったな。」

 一典。

「反対派を粛正するにはこれしか思い浮かばなくてな。」

 短い。

 龍重、頷く。

「正直、お主を舞台から降ろしたくなかったが。」

 一典、首を横に振る。

「儂は長年の無茶でもはや無理は効かぬ。」

 龍重、続ける。

「老兵を演じ、斬らせたか。」

 淡々。

「猟師でなく役者じゃな。」

 一典、笑う。

 そして、小さく。

「坂本の戦、見事じゃった。」

 間。

「じゃが、儂のやり方は、お主には合わぬ。」

 龍重、頷く。

「武で押す。」

 一典。

「早く強い。」

 龍重。

「だが、長く持たぬ。」

 沈黙。

 一典。

「ならば。」

 少し間。

「徒花じゃな。」

 龍重、視線を逸らす。

 否定も肯定もしない。

 ただ。

「花枯れて、土豊かに、民育て。」

 短い。

 国内の不穏は炙り出された。線が見えた。

「これで。」

 龍重。

「外とやれる。」

 島津、大友、毛利。

 一典、目を閉じる。

「そうか。」

 納得。

 そして、開く。

「ならば良し。」

 短い。

 間。

「ただし。」

 龍重を見る。

「責は取れ。」

 龍重、頷く。

「取る。」

 一典、わずかに笑う。

「ならば。」

 静かに。

「山奥より生きて見届ける。」

 龍重、立つ。

「そうしてくれ。」

 背を向け、止まる。

「もう一つ。」

 一典。

 龍重は振り返らない。

「父、龍元様を出すのじゃろ。」

 龍重、少しだけ止まる。

「……ああ。」

 一典、頷く。

「流れを戻すか。」

 龍重。

「整える。」

 短い。

 扉が閉まる音。

 静か。

 一典は一人、闇の中。

 だが、目は死んでいない。

 外に動き出す初代当主、日野龍元。

 日野の流れにもう一本。


 戦は終わった。

 だが、確実に次が始まる。


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