第46章 飛翔の時
この物語は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。
南は動いている。だが、揺れていた。
島津家は日向を抑えた。形は整っている。だが、内から崩れかける。
「襲われた。」
補給が切れる。敵ではない、内。
義久は動じない。だが、繋ぎは外に頼る。
阿蘇、細い。だが、それで持つ。
強いが、完全ではない。
島原半島、日之江城。
静かだ。戦の匂いが消えている。
穏やかそうに見える好々爺、龍元が立つ。
誰も声を上げない。理由は一つではない。
知っている者は知っている。この男が何をしてきたか。
かつて、弱小土豪に婿入りした男。名も無い家 を一代で、西彼杵半島一に押し上げた。
銭と流れ、そして消して。
夜に消えた者がいる。理由は残らない。
だが、結果だけが残る。遠縁の女、沖田智。無残に殺された。理由は単純、恨み。
その時、龍元は決めた。
「残す。」
自分ではない、家を。
龍朋を立てる。安定、継続、揺れない形。
自分は退く。場所は面高郷。西彼杵の最北で半隠居。だが、止まってはいない。
田を整え、道を引き、流れを作る。静かに。
そして今、島原。
龍元が前に出る。
「ここは日野の地となった。」
短い。
誰も逆らわない。逆らえない、ではない。
知っている。この男は作り、そして消す。
「有馬とは争った。」
少し間。誰かが唾を飲みこむ。
「だが、元は同盟じゃ。」
過去を書き換える。
違和感はある。だが、否定できない。
民は見る。銭が落ち、市が立ち、道が通る。
早くはないが確実。
「悪くはせぬ。良くなるよう、手を出すだけさね。」
龍元は言う。優しさではなく、事実として。その手はけして、綺麗なものではない。
肥前、中央のとある村落。
「起きたか。」
武断派。
小さい火。だが多い。
「潰すか。」
誰かが言う。
龍重は首を振る。
「必要無い。」
短い。
「締める。」
龍元は何も言わない。ただ見る。かつてなら、消していた……迷わず。
だが今は違う。
龍重がいる。
命は取らない。だが、逃げ場を消す。
星奈が押さえ、明日香が切り、銭が流れる。
「従え。」
ではない。
「従う方が得だ。」
それを見せる。
一人、逆らう。
「武が軽い。」
声、消えない。
龍元、その男を見る。
「殺さぬのか。」
誰かが問う。
龍元は答えない。
龍重。
静かに言う。
「殺す価値があるのかね。」
少し間。
龍元、わずかに笑う。
「意外に厳しいの。」
評価ではなく、確認。
龍重。
「長く持たせる。」
短い。
龍元が頷く。
「ならば。」
少しだけ目を細める。
「任せる。」
火は上がるが広がらない。
島津は強く大きく揺れる。
日野は遅く僅かも崩れず。
島原半島に笑いが戻る。
面高郷の男が、再び表に出た。
光も影も知っている。
だから、流れは止まらない。
龍重と龍元。並び立たず。ただ、互いに繋がる。
「これで。」
空海が背伸びする。
龍重も同じように背伸びをする。
「外じゃ。」
戦は続く。だが、形は決まった。
薩摩国内城。島津義久。
書付を置く。
「細いな。」
短い。
都於城への補給、切れてはいない。だが、太くもない。意図がある。
「偶然ではない。」
誰かが言う。頷く者はいない。だが否定もない。
「日野家。」
名は出る。だが確証はない。
「探れ。」
それだけ。
手の者が出る。
長崎市中は動ける。
明日香と高次。統制はあるが隙もある。
入れるには入れる。
だが、外。拠点としようとした田、村、山。入った者が戻らない。
「消えた。」
報だけが残る。
別の者。
「痕はある。」
「姿は見えた。」
接触に成功しそうだったが……山の麓。
草が踏まれた跡、火の残り、布の切れ端。
だが、そこまで。
「追えぬ。」
誰かが言う。
義久は目を細める。
「見ている。」
こちらを。
「耳目か。」
忍びはいる。島津にも。
だが違う。
「毛色が。」
言葉を探す。
「違う。」
知識ではない、勘……地を知る者の動き。
「獣だな。」
ぽつり、山に、村に、いる。そこに最初からいたような動き。探す側が異物になる。
「……実に、難儀。」
短い。
防がれている。攻められてはいないが、通れない。それで足りる。
島津の動きが鈍る。
九州の外、中国の毛利元就。
静かに書付を見る。
一つの名。
「永谷一成。」
呟く。
側にいる元春。
顔を上げる。
「我等の領ではありませんな。」
元就。
頷く。
「だからじゃ。」
短い。
中国では出ない噂の人物。だが、流れてきた。
「流れがある。」
情報の。
元就が目を閉じる。
「島津は鋭い。」
開く。
「だが。」
少し間。
「詰めが甘い。」
元春、何も言わない。
「日野家。」
その名は軽くない。
「面白い。」
従来と違う。
押しも、守りも、違う。
「流しておる。」
人、物、情報を。
元就、わずかに笑う。
「会ってみたいな。」
元春は視線を落とす。
誰に、とは聞かない。
分かっている。
龍重。
九州の大友と毛利の同盟。
だが浅い。利で結び、利で切れる。
島津と大友。
今は毛利に手を出さない。
均衡の外から日野家が覗く。
小さいが、軽くない。
「取れるか。」
誰かが言う。
元就。
即答しない。
「取れるなら、取る。」
当然。
「取れぬなら。」
少し間。
「銭の流れを乱す。」
柔らかい声。
だが、意味は変わらない。
元春。
静かに言う。
「一国です。」
元就。
首を振る。
「一国ではない。」
短い。
「大河よ。」
それを掴めるか。それとも、飲まれるか。
まだ、動かない。
だが、見ている……九州の風向きを。
変わり始めている。
誰もまだ、その全ては見えていない。
龍元。
「ようやく、儂は正統な後継を得た。」
龍重。
「父が泣きますな。」
龍元が苦笑しながら。
「汚れた儂の手を拭い続けた。忍耐の男よ。」
龍重。
「だが。」
龍元頷く。
「日野は、まだ飛び立てる。」
龍重。
「流れを制し、手を伸ばし続ける。」
祖父と孫の思いの交錯。
思いは一つでない。目的も一つではない。
だが、飛び立てる力があるなら。
大鳳が羽ばたき、九州にも中国にも大風が巻き起ころうとしている。




