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肥ノ国立志伝~戦国制度革命史  作者: 日野龍哉


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第40章 勝って兜の緒を締めよ

この文章は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。

挿絵(By みてみん)

 大友は勝つつもりで動いている。その前提が、すでにずれている。

 本来、後詰とは守るためのものだ。城を守る。人を守る。その姿を見せる。それだけで足りる。

 だが。

「ここで決める。」

 誰かが言う。異論は出ない。

 都於城。まだ整っていない。

 だが。

「押せば崩れる。」

 守る戦から、討つ戦へ。誰も止めない。

 前線。

「前へ。」

 命令は明確。兵は動く。足は重くない。まだ。

 だが、別の重さがある。葉にしない。目が合い、すぐ逸らす。


 夜。

 焚き火は小さい。声も小さい。

「……勝てますかね。」

 誰も答えない。

「ここまで来て、引けるか。」

 それも正しい。沈黙が残る。

「戻ったらどうなる。」

 誰も笑わない。

 村。

 昼。戸が閉まる。水を求めても出てこない。

「昨日は違った。」

 答えはない。

「もし引いたら。」

 短く。

「山だ。」

 意味は通じる。山賊。狩る側から、狩られる側へ。

 後ろが安全ではない。それだけで十分。

 指揮官。

「問題はない。」

 繰り返す。

「押す。」

 声は強い。揺れない。

 だが、下は違う。

 命令は届く。だが遅れる。ほんの少し。

 列がずれる。ほんのわずか。

 それで足りる。

 別の報。

「補給、遅れ。」

 小さい。だが続く。

「案内の者、戻らず。」

「道が違う。」

「村が閉じている。」

 重なる。

 指揮官。

「問題はない。」

 同じ言葉。同じ強さ。

 だが、同じではない。


 前線。

 柵、溝、高低。

 越えれば戦える。その前に、止まる。

 一瞬。その一瞬で、後ろが乱れる。

「前へ!」

 押す。止まれない。

 進んでいる。だが進んでいない。

 島津は動かない。待っている。

 義弘。

「来る。」

 それだけ。

 家久。

「まだ崩れない。」

 冷静。

 紗耶香。

「ですが。」

 少し間。

「揺れています。」

 戦は起きている。だが違う。

 前ではない。

 後ろ。さらに後ろ。


 薩摩国内城、義久。

 報を読む。

「動いたか。」

 短い。

 別の書付。名が並ぶ。消えた名。増えた名。

「続けろ。」

 それだけ。

 火が増える。噂が走る。影が動く。

「囲まれている。」

 否定の声は弱い。

 確かめない。確かめられない。


 長崎。

 瞳は図面を見る。線は変わらない。

 外が揺れている。

 高次。

「持っています。」

 信安。

「奇跡ですな。」

 瞳。

「回している。」

 それだけ。

 別の書付。

 有馬。

 短い指示。

 今の体力だときついところもある。

 だが必要。

「ついでだ。」

 誰かが言う。


 前線、大友。

「押せば崩れる。」

 繰り返す。

 だが、誰も確信していない。

 声だけが残る。

 足が止まる。ほんの一瞬。

 それで十分。

 後ろが揺れる。前が止まる。

 繋がる。

「……違う。」

 小さい声。届かない。

 指揮官。

「問題はない。」

 断言。

 進む。

 戻れない。

 その時点で、もう締める場所を失っている。

 勝つつもりで来たはずだが、勝ち方を失っている。

 戦は続く。だが、もう戻らない。


 前線は崩れていない。だが、軍は崩れ始めていた。

 命令は出ている。届いている。だが従わない。

 一人が遅れる。一隊が止まる。列が乱れる。

 小さな綻び。だが重なる。

「戻れ!」

 叫びが飛ぶ。

「どこへだ!」

 返る声に答えはない。


 夜。火が増える。

 敵ではない。味方でもない。

 村。戸は閉じたまま。だが外に人影がある。

 石が飛ぶ。矢が来る。

「……何だこれは。」

 声が震える。

「山だ。」

 短い。意味は通じる。逃げる者が出る。止める者はいない。

 指揮官。

「逃げる者は殺せ」

 声は強い。だが遅い。後ろが崩れる。前に伝わる。

 前線、柵の前。

 押し切れば勝てる。そのはず。

 だが続かない。

 横から来る。正面ではない。

 森から。村から。

 数は多くない。だが散らない。

「囲まれている。」

 誰かが言う。否定はない。

 実際は囲まれていない。だがそう見える。

 それで足りる。

 大友は崩れ形が消える。

 敗走。命令ではない。そういう流れ。

 揃わない。止まらない。

 後ろ。さらに後ろ。

 追う影。

 農民、国人、旧伊東家の者。

「落とせ。」

 低い声。

 戦ではなく、狩り。

 大友は消える。

 それでも、島津は動かない。追わない。

 家久。

「任せる。」

 紗耶香は後ろを見る。

 何も言わない。

 数日。静まる。

 都於城。再び囲まれる。

 城内。兵はいる。だが足りない。

 後詰は来ない。

「……来ないのか。」

 答えはない。

 使者が出る。

「降る。」

 門が開き、終わる。


 薩摩国内城、義久。

 報を受ける。

「王手、詰み。」

 それだけ。


 長崎。瞳は書付を見る。

 高次。

「片付きました。」

 信安。

「見事ですな。」

 瞳。

「終わっていない。」

 別の書付。

 有馬。

 日野は動く。


 橘湾、帆が並ぶ。

 重直は愛野から騎馬三百を率いて南下。愛野と牛名口は兵を置き牽制。

 龍朋と希実。言葉は少ない。

 日之江城内、内側は割れている。

「……愛野と牛名口が鬼門になるとは。」

 門が開く。有馬家、落城。


 肥前国大村城。

「ついでだな。」

「仕返しです。」

 在地が動き、一揆。焼き討ち。

 有馬軍は割れ、日野は一点に集め突き、終わる。

 日野は広がったが、止める。

 瞳。

「ここまで。」

 信安。

「この余力だと、ここが限度ですな。」


 島津と日野は笑顔で握り、左手は互いに見えない刃を握りしめる。

 互いに気づいているが何も言わない。

 澄みきらない濁りあるつながり。

 それが今の関係だった。


 ある夜、永谷一典が大村城の日野龍重邸を密かに訪れた。

 龍重、空海が向かい合う。

 永谷は声を潜めて、

「……。」

 当事者以外、この会談の内容は知らない。


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