第25章 閑話休題 最良の独裁政治、最悪の民主政治
この文章は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。
ある日、龍重は久々に健に積極的に話しかける。
「お主の知識からいろいろ学ばせてもろうておるがの、独裁だの民主だのよく理解できないところが多い。」
そりゃそうだ。この分類は未来のもの。戦国時代には概念が存在しない。
「儂の時代にはない考え方かのぉ。」
そうだ。だが、今作ろうとしている制度は、どちらかというと民主主義に近いものとなっている。
「どのあたりがじゃ?」
主権の分散、誰が権力を行使するかを分けることだな。お前にも手出しできない部分を多く作り出している。
「儂の手はそんなに届かないからな。」
その自覚があるだけ、未来の政治家の大半より優秀だよ、龍重。何でも手を出して全て中途半端、これは最悪だろ。
「確かにの。」
俺はそこまで具体的に伝えていないが、龍重はかなり優秀だ。俺の意図以上に国家制度を立ち上げている。
「褒められて恐悦至極。」
よせやい。お前、めっちゃ優秀じゃん。
「いやいや、『あの嫡男』で『干されておった』男じゃぞ。ただ……。」
かつては遠いと思っていた神浦城評定の間の上座。そこから庭を見る。穏やかな風は吹いている。
「お主との出会いで覚醒してしもうた。」
してしもうたって、運が悪かったような言い方だな。
「手が届かずとも、民と助け合いながら細々と、と思っておった小物じゃぞ。」
そりゃ、悪かったな。
「いや、感謝はしておる。手が届くところが増えた。じゃが、欲張りじゃの。届くところが増えるとあそこにも、と思うてしまう。」
欲張りだな。だが、お前は自分一人でやろうとはしていないだろ?
「ああ、儂には無理、じゃができる者がおる。ならその手を借りるのが楽だな。」
思わず苦笑してしまうが、龍重、あんたは独裁者にはなれないな。
「そうか?」
ああ、独裁者ってのは自分が無謬の天才と信じ切って、それを演じきれる奴がなれるんだ。
龍重が鼻で笑う。
「そんなめんどくさいことができるかいな。失敗するってのは紙の時に散々思い知ったわ。」
だからさ。お前はめんどくさがって決めない。
「待て待て、決めてはおるぞ?」
お前は流れを決めているだけさ。後は制度にお任せだ。
「流れか。」
風が吹く。
龍重、いい政治ってのはな、馬鹿でも動かせる仕組みを作ることだよ。
「儂を馬鹿にしているだろ。」
いやいや、ちょっとしか馬鹿にしていない。龍重がいなくなっても何事もなく民が笑顔で暮らせる国、それがいい国だ。
俺の言葉に沈黙する龍重。
「いなくてもか。」
そうだ。それが制度だ。
龍重はしばらく黙っていた。
庭の竹が揺れている。
「……それは。」
少し考えてから言う。
「寂しいの。」
俺は笑った。独裁者はもっと寂しいぞ。
龍重が頭を上げる。
「なぜじゃ。」
「独裁者の死は国家滅亡。」
沈黙。
龍重はふっと笑った。
「では。」
小さく言う。
「儂は独裁者ではないな。」
俺は答えた。
独裁者はもっと勤勉だ。お前は……少し考えて言う。
制度の設計者だ。設計したら寝て暮らせる。楽をしたけりゃこっちがお勧めだな。
龍重はまた庭を見た。
「設計者か。」
そして静かに言う。
「ならば、儂の仕事は。」
風が吹く。
「まだ終わらぬな。」
しばしの心地よい沈黙。そして、ふと龍重が呟く。
「隆信殿はどうなのじゃ?」
よい独裁者だ。自分の正しさを信じ、邪悪な敵も油断なく勤勉に叩き潰し、味方は命を懸けても助けようとする。
「べた褒めじゃな。」
そうか? 頼れるから全部任せようとする。無謬の天才と信じてな。そして独裁になって嘆くのさ、こんなはずじゃなかったとな。
「……それは民が愚かなのではないのか?」
お、よいところを突くね。もし、統治者を選ぶ制度があって、愚かな民が選んだら国は亡ぶな。だからお前が作っているような制度がいるし、お前の賢すぎる妹の監察制度も欠かせない。
だが、お前気付いているだろ。俺という助言者がいて、お前自身も考えを実施できる有能な者は五年に一度しか出てこない。
「結構出てくるものじゃな。」
謙遜だ、馬鹿野郎。
だが、普通に人間でも運用できる制度になれば、頼らなくていい。頼るのは自分、こっちの方が面白い。楽して頼るのは怠け者の考え方だが、この怠けは駄目だろう。
「賢い者が頼ることを選んだ場合は?」
それは重畳。だがな、賢いやつばかりにならない。欲を忘れるな。欲も制度に組み込め、と伝えたはずだ。
「統治者を選んでというのは人には無理そうに思えてくるな。」
……お前、ほんと何でただの土豪やっていたんだ。天下人にも哲学者にでもなれるだろうに。
「で、健よ。最良の独裁と最悪の制度、どちらがよいのじゃ?」
……お前ほんと賢くて嫌になる。答えにくいことを聞いてくるな。
俺の考えだ、正解かは分からん。だが、人は失敗する生き物だ。だが、失敗を失敗のまま終わらせない生き物だ。何度も繰り返し、よりよいものを目指そうとする。人の世はそれの繰り返しだと思うんだ。
どんなに良くても誰か一人の物差しが絶対となれば、『その他大勢』は奴隷にしかなれない。奴隷の中から選ばれた奴隷頭がお貴族様だと俺は思っている。その物差しが狂っていたり歪んでいたらどうなる。
独裁者が直せるかね。無理だろうな『無謬の天才様』だぞ。指摘した奴が間違っていると抹殺されるに決まっている。狂い、歪んだ制度が『独裁政治』ってやつさ。
狂いを正す、歪みを戻す。完全でなくとも不完全だとしても正しいものにしようとする営み、それがお前のいう『最悪の制度』なのかもな。
龍重はしばらく黙っていた。
庭の竹が風に揺れる。かすかに、港の方から船の鐘が鳴った。
「……なるほどの。」
ぽつりと呟く。
「ならば制度とは、人を縛るものではないのじゃな。」
俺は肩をすくめる。
縛る面もある。だが本当は逆だ。
「逆?」
人の愚かさを抑える仕組みだ。
龍重が小さく笑う。
「愚かさか。」
人は賢いが、同時に愚かだ。欲もあるし、怒りもある。だから放っておけば国は簡単に壊れる。
龍重は竹を見ながら言う。
「……確かにな。」
戦場で何度も見た光景が浮かんだのだろう。
勝利の後、奪い合い、諍い、裏切り。
だから制度は、人が正しくあろうとするための道具。
俺は続ける。
そして制度を守るのは制度じゃない。
龍重がこちらを見る。
人。
短い言葉だった。
龍重はふっと笑った。
「つまり、結局は人か。」
そういうことだ。
しばらくして龍重が言う。
「では儂の仕事は決まったの。」
何だ?
龍重は庭を見たまま答える。
「制度を作ることではない。」
風が吹いた。
「制度を守れる人を作ることじゃ。」
遠くから市場の声が聞こえる。
荷を運ぶ掛け声、商人の呼び声。
国はもう動き始めている。
龍重は立ち上がった。
「……さて。」
小さく笑う。
「仕事じゃな。」
お気づきのことと思いますが、作者は銀英伝好きです。自分なりの回答として、今回の章を作成しています。
読者の皆様には色々と思いがあると思います。似ている、違う、当然あります。思想信条の自由はあります。
言論の自由、これは難しいですね。何でも思ったことを言って傷ついた人が出る、これは容認されません。独裁は傷ついた人が出ることを容認する社会体制とも言えると思います。思ったことを何でも言うのは言論の自由ではありません。互いの意見を尊重し合えるか、とは思いますが、難しいと思いながら、日々チャットGPTと喧嘩しながら文を書いています。




