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肥ノ国立志伝~戦国制度革命史  作者: 日野龍哉


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第23章 義弘、歳久の長崎外交日記

この文章は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。

挿絵(By みてみん)

 薩摩より北へ向かう小船は、旗を掲げていなかった。

 船上には三人の武士と数名の近習。そのうち二人は薩摩において名を知らぬ者はいない。

 島津義弘、歳久兄弟。

 兄であり当主である島津義久の命により、二人は密かに長崎へ向かっていた。

 義弘が船縁にもたれ、海を見ながら言う。

「長崎、か。」

 歳久が答える。

「龍造寺を退かせた国。」

 しばし沈黙。

 潮風が帆を鳴らす。

 義弘が低く笑う。

「小国のはずだがな。」

 歳久は答えない。

 義久の言葉が頭に残っていた。

「見てこい。」

 そして義久はこう続けた。

「異形だ。」

 その言葉が、妙に引っ掛かる。

 やがて船は湾へ入る。

 その瞬間、二人の視線が同時に変わった。

「……多いな。」

 港には無数の船。漁船、商船、武装船。さらに沖には巨大な南蛮船。微かに流れてくる火薬の匂い。

 歳久が静かに言う。

「ここは九州か?」

 義弘が笑った。

「どうやら世界の端らしい。」

 船が岸へ寄る。

 すると岸に立つ女が一礼した。小柄。黒髪。だが目は鋭い。

「お待ちしておりました。」

 義弘と歳久が同時に眉を上げる。

 女は続ける。

「薩摩よりお越しの御二方。」

 歳久が言う。

「我らを知っているのか。」

 女は微笑む。

「薩摩を出られて十二日、玄界灘を回って三日、本日、長崎着。」

 義弘が吹き出した。

「参った。」

 歳久が低く言う。

「監視されていたか。」

 女は首を振る。

「長崎ですから。」

 そして名乗った。

「日野家、日野龍重が妹、日野明日香でございます。」

挿絵(By みてみん)

 二人は顔を見合わせた。

 完全に捕まっている。

 義弘が笑う。

「どうやら我らは客らしい。」

 明日香は一礼した。

「既に。」


 通された宿は屋敷だった。

 整った庭。上品な香。重厚な建物。

 義弘が言う。

「密行のはずだが。」

 明日香が答える。

「密行でございます。」

 歳久が小さく息を吐く。

 完全に主導権は向こうだ。


 卓に並んだ料理を見て義弘が声を出した。

「……これは。」

 魚料理、香草、肉、パン、ワイン。

 歳久がパンを手に取る。

「南蛮か。」

 明日香が頷く。

 義弘がかじる。

「ほう。」

 さらにワイン。

「旨い。」

 女が言う。

「南蛮の葡萄酒です。」

 義弘が笑う。

「兵が腹を満たす国は強い。」

 歳久は黙って食べていた。

 だが一言だけ言う。

「……旨い。」


 翌日。港を歩く。

 市場、商人、異国人、武器、そして火薬。

 歳久が立ち止まる。

「……火薬だ。」

 大量の樽。

 義弘が笑う。

「龍造寺が勝てぬわけだ。」

 さらに進む。

 造船所。巨大な船、武装、弓座、銃座。

 歳久が言う。

「これは軍船だ。」

 明日香が答える。

「商船です。」

 義弘が笑う。

「商人を守る船か。」

 明日香。

「富を守る船です。」


 夕方。

 稲佐山。長崎湾が一望できる。

 船。灯り。港。

 歳久が静かに言う。

「港ではない。」

 義弘が答える。

「国だ。」


 夜、宿。

 義弘が言う。

「どう思う。」

 歳久が答える。

「戦にならぬ。」

 義弘。

「同感じゃ。」

 歳久。

「戦をする前に我らは負ける。」

 義弘が笑う。

「異形だな。」


 翌朝。

 港。出発の準備。

 義弘が明日香に言う。

「ところで。」

「日野の主には会えぬのか。」

 明日香が首を横に振る。

「本日も不在です。」

 歳久。

「どこへ。」

「農村を回っております。」

 義弘が笑う。

「国の主がか。」

「日野の主は畑も、港も、兵も、寺も、商人も見ます。だからいつも不在です。」

 歳久が黙る。義弘が笑った。

「なるほど。忙しすぎるな。」


 その時、港で騒ぎが起きた。

 南蛮商人と日本商人が揉めている。

 怒鳴り声。

 義弘の近習が言う。

「斬りますか。」

 義弘が手で制する。

 港役人が現れた。ただの役人。

 彼は静かに言う。

「ここは長崎です。」

 南蛮人が怒鳴る。

 役人は続ける。

「日野様の港です。」

 その一言で空気が変わる。

 南蛮人が肩をすくめる。

 商人も引き下がる。

 騒ぎは終わった。

 義弘が言う。

「刀も出ていない。」

 歳久。

「それでも収まった。」

 義弘が港を見る。

「龍重殿はここにいない。」

 歳久。

「ああ。」

 義弘。

「だがこの港はあの男のものだ。」

 歳久。

「あの男は国を作っている。」


 船が港を離れる。

 義弘が言う。

「歳久。」

「戦うか。」

 歳久。

「兄者、何の冗談じゃ。儂はこの年で死にとうないわ。」

 兄弟随一の知略者のぼやきに義弘が笑う。

「同じ考えか。」

 歳久。

「結ぶ国だ。」

 義弘。

「兄上は正しい。」


 薩摩国内城、評定の間。

 義久が座っている。

 義弘と歳久が座した。

 義久が言う。

「見たか。」

 義弘。

「見た。」

 歳久。

「兄上。」

 義久。

「どうだ。」

 歳久は静かに言った。

「勝ち目見えず」

 評定の間がざわめく。

 義弘が苦笑。

「戦はできるがな。」

 歳久。

「撤退が目に見える。」

 義久は黙って聞いている。

 義弘。

「結びましょう。」

 義久。

「理由。」

 歳久。

「長崎を敵にすると、世界も敵に。」

 沈黙。

 義久は考える。

 そして言った。

「婚姻か。」

 義弘が笑う。

「それが一番安い。」

 歳久。

「そして一番強い。」

 義久は頷いた。

「面白い。」

 しばらくして言う。

「書状を出す。」

 家臣が顔を上げる。

 義久。

「日野龍重殿へ。」

 義弘が笑った。

 歳久が言う。

「九州の風が変わる。」

 遠く。

 長崎の灯りが海の向こうに浮かんでいる気がした。


 長崎、神浦城。

 海からの風が城の縁側を抜けていた。

 奥座敷では、龍重、空海、星奈、そして明日香が机を囲んでいる。

 机の上には一通の書状。

 薩摩より届いたもの。

 龍重が指で書状を叩いた。

「さて。」

 空海が笑う。

「来ましたな。」

 龍重が肩を竦める。

「早かった。」

 星奈が猫を撫でながら言う。

「兄弟はどうでした?」

 明日香が答える。

「面白い方々でした。」

 空海が興味深そうに言う。

「義弘殿と歳久殿。」

 明日香が頷く。

「ええ。」

 少し思い出すように言う。

「義弘殿は率直。」

「歳久殿は静か。」

 星奈が笑う。

「島津らしい。」

 龍重が書状を開いた。

 島津義久の筆。

 端的で無駄がない。

「日野家と島津家、互いに利あり。婚姻を望む。」

 龍重が笑った。

「分かりやすい。」

 空海が言う。

「大変結構なお手前で。」

 星奈が机を覗く。

「誰を?」

 龍重が言う。

「まだ書いておらぬ。」

 空海が顎を撫でる。

「つまりこちらの出方を見る。」

 龍重が頷く。

「そういうことじゃ。」

 星奈が言う。

「では誰を?」

 龍重はしばらく考える。

 明日香が口を開いた。

「狙うなら。」

 全員が彼女を見る。

「末弟です。」

 空海が言う。

「家久。」

 明日香が頷く。

「ええ。」

 龍重が笑う。

「面白いところを突くな。」

 明日香は静かに言う。

「義弘殿も歳久殿も優れています。ですが。」

 少し間。

「家久殿は別です。」

 空海が目を細める。

「何が。」

 明日香が言う。

「刃です。」

 星奈が首を傾げる。

「刃?」

 明日香。

「戦場の刃。」

 空海が笑う。

「なるほど。」

 龍重が言う。

「島津最強。」

 明日香が頷く。

「そして。」

 少し笑う。

「まだ自由です。」

 星奈が言う。

「つまり。」

 明日香。

「結びやすい。」

 龍重が腕を組む。

「ではこちらは。」

 星奈がすぐ言った。

「紗耶香。」

挿絵(By みてみん)

 空海が笑う。

「それしかおらぬ。」

 龍重が苦笑する。

「武と美の娘。」

 星奈が言う。

「ちょうどいい。」

 明日香が頷く。

「相性は。」

「悪くないでしょう。」

 空海が笑う。

「会ってもいないのに。」

 明日香が答える。

「義弘殿と歳久殿の話を聞きました。」

 龍重が言う。

「ほう。」

 明日香。

「家久殿は。」

「強い者が好き。」

 星奈が笑う。

「紗耶香ですね。」

 龍重がため息をつく。

「確かに。」

 空海が言う。

「だが、どう結びつける。」

 龍重が言う。

「それじゃ。」

 明日香が言う。

「簡単です。」

 三人が見る。

 明日香。

「会わせればよろしい。」

 空海が笑う。

「乱暴じゃな。」

 明日香が答える。

「戦国ですから。」


 数日後、長崎港。

 島津の船が入る。

 今回は密行ではない。正式な使者。

 その中の一人、島津家久。若い。だが目が鋭い。薩摩の鬼の末弟

 船から降りた家久が港を見る。

「……なるほど。」

 港、船、商人、異国人。すべてが動いている。

 そこへ一人の女が現れる。黒髪、背は高くない。

 だが姿勢がまっすぐ。女は一礼する。

「ようこそ。」

 家久が言う。

「あなたは。」

 女が答える。

「先代、日野龍朋が四女、日野紗耶香。」

 家久が少し笑う。

「噂は聞いている。」

 紗耶香が言う。

「悪い方?」

 家久。

「強い方。」

 紗耶香。

「それなら安心。」

 二人は少し笑う。

 明日香が遠くから見ていた。

 空海が隣に立つ。

「どうじゃ。」

 明日香が言う。

「大丈夫そうです。」

 空海が笑う。

「何が。」

 明日香。

「相性。」


 数日後、神浦城。

 龍重が言う。

「どうじゃ。」

 明日香が笑う。

「予想以上です。」

 星奈が言う。

「そんなに?」

 明日香。

「はい。」

 空海が言う。

「どの程度。」

 明日香が少し考える。

「戦国では珍しく、恋愛結婚になりそうです。」

 龍重が吹き出した。星奈も笑う。

 空海が言う。

「政略結婚のはずだが。」

 明日香が言う。

「周りはそう思うでしょう。」

 龍重が笑う。

「勘違いじゃな。」

 空海が言う。

「だが、悪くない。」

 龍重が頷く。

「島津と日野。」

「血が結ばれる。」

 星奈が猫を撫でながら言う。

「九州が変わりますね。」

 龍重が遠くを見る。

 長崎の海、その向こう。薩摩。

「さて。」

 龍重が言う。

「戦より面白くなってきた。」

 空海が笑う。

「戦より怖いですよ。」

 龍重が答える。

「だから面白い。」

 海風が城を抜けた。

 その風は、九州の未来を運んでいた。


日野一門から島津家へ嫁入り。順風満帆、のはずです。

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