おばさんの再婚後の話
その後も、リョウちゃんは色々おばさんのその後のことを話して聞かせてくれた。
「私が高校1年の時に父が交通事故で亡くなって、それから母は、しばらく一人でいたんですけど、ちょうど私が大学二年になる年に、パートで行ってたスーパーの店長と再婚しましてね・・・父が死んでからは、『父に悪いからずっと一人でおる』って言うてたんですけどね、急に『気が変わった』言うて・・・私も、その人のことはよう知らんかったけど、まあ、母の人生やし、幸せになれるんなら、ずっと一人で居るよりかはええやろうと思って、反対もせんかったんです」
「でもね、その男がろくでもない奴で、ギャンブルはするわ、酒飲んで母に暴力を振るうわで・・・初めは、母も何も言わんから分からんかったんですけど、時々大学の夏休みなんかで帰ると、眼の下にアザができとったりして・・・」
「母を問いただしても、ただ『自分で転んだ』としか言わんから・・・あんまり、死んだ人を辱めるようなことは言いとうないんやけど・・・そんだけのことをそいつにされても、母はじっと我慢しとったんですよ・・・ほんと、お人よしの大馬鹿もんですよ・・・・・・」リョウちゃんは、涙声になっていた。
「あるとき、近所のおばさんが、私にそんな事情を教えてくれて『お母さん、旦那さんに毎晩、殴られとるみたいよ』いうて・・・『何とかしてあげて・・・』いうてね。それ聞いて、母を問い詰めたら、やっと、泣きながら事情話してくれて・・・それでも、母はそいつをかばうんですよ『あの人は悪ないんよ。私がトロクサイけんいけんのよ』いうて・・・・・・」
リョウちゃんは、しばらく、涙で話ができなくなった。
「すみません・・・こんな話、他人様に聞かせるような話じゃないんやけど・・・・・・」
僕は、その話を聞いて、あの時、自分がいらぬことを言ったからだと悔やんだ。
おばさんは、好きな男性と幸せになったものだと思っていただけに、ショックだった。
リョウちゃんは、しばらくして少し落ち着くと、再び話を続けた。
「私は、『そんな男とは一時も早く別れろ』って何度も母に言うたんやけど、母は『どんな男性でも、一旦夫婦になったからには、最後まで添遂げんと』言うて、『なに古臭いこと言いよるんや』って思いましたけどね、母も頑固なところがあったから・・・」
「そんな感じで、ずるずる時間だけは立って・・・それでも、ある時、母が私の学費のために貯めていた貯金にまでそいつが手を付けたことで、母も腹を決めたみたいで、『私、あの人と別れたい』って初めて言うたんです」
「・・・母は、実家が貧乏で本当は高校とか大学に行って勉強したかったのに、それができんかったんで、私にはそんなことで不自由はさせとうなかったんでしょう、そのために、一生懸命貯めとったお金にまで遊びで手をつけられたんで、とうとう堪忍袋の緒が切れたんでしょうね・・・・・・」
「『別れたい』いう母の言葉で、私もその頃、法律の勉強しとったから、先生とかにいろいろ相談して、ええ方法教えてもろたりして・・・何とか、後腐れなくそいつと別れさせたんです・・・ほんとあの時は大変でしたよ・・・・・・」
そこまで言うと、リョウちゃんにも少し笑顔が戻っていた。




