表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の性日記  作者: 水野 流
永遠
85/85

最後のプロポーズ


僕は「・・・そんなことがあったん・・・?・・・大変だったね・・・・・・」と他人事のようにつぶやくしかなかった。

心の中では「おばさん、僕がいらぬこと言ったためにごめんなさい・・・」と泣きながら土下座をしていた。



「せっかくなんで、ウチで夕飯食べて行ってください。まだまだ、募る話もありますから・・・」

いつの間にか、そんな時間になっていた。


しかし、いい年寄りがそんな誘いに甘えてはいけないと思い「また、次の機会に」と言って、僕はリョウちゃんの家を出た。


その時、おばさんの骨が納められているお墓の場所を聞いた。


既に、辺りは薄暗くなり始めていたが、教えてもらった小川家のお墓を訪ねた。



僕は、おばさんのお墓の前で、眼を閉じて両手を合わせた。


先ほどの、リョウちゃんの家の仏壇の前で思い出した不謹慎な出来事以上に、もっともっと、色々なおばさんとの出来事を誰にも邪魔されることなく思い出した。

あふれる涙を両手を合わせた手の甲で拭った。



僕のコートのポケットには、あの時おばさんに渡せなかった指輪が入っていた。


僕は、プロポーズが失敗して、指輪をおばさんに渡せなかったときは、この指輪を帰りのフェリーから海に捨てようと考えていたが、結局、貧乏性の性分も手伝って、どうしても捨てることができず、今の妻と結婚したのちも、ずっと誰にも見せることなく持ち続けていたのだ。


僕は、その指輪をポケットから取り出すと、誰にも知られないよう、御影石でできたお墓の花立の底に沈めた。


今の妻とおばさんの隣に眠るおばさんのご主人には申し訳ないと感じながら『今度生まれ変わったら、今度は絶対に僕と結婚してくださいね』と、禁断のプロポーズをして祈った。


これで、ずっと渡せずにいた指輪、言えなかった告白を、やっとおばさんに届けられた気がした。



『おばさんは、学生だった僕が、なけなしの金をはたいて買った婚約指輪を気に入ってくれただろうか・・・・・・?』


そんなことを考えながら、僕は小川家の墓をあとにした。


もう、辺りは真っ暗になっていた。



この話で完結です。最後までお読みいただきどうもありがとうございました

m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ