パブでの話
僕たちは、いろんな当時の懐かしい話をしながら、そのパブに入った。
そのパブからは、港を見渡すことができ、さらにカップルの雰囲気を盛り上げるために、薄暗くなっていた。
おばさんは、そんな店の雰囲気を気にいったみたいで、「ケンちゃん、このお店って、とても雰囲気がいいね・・・」と言って喜んでくれた。
「よく、彼女と来てるん・・・?」と聞いてきたので、「そんなんは、いないですよ・・・」と答えると、
「うそ・・・こんないい男、若い女がほっとくはずないわ・・・」そう言って、おばさんは笑った。
僕は、そんなおばさんの冗談に「そんなことないですって・・・」と照れ笑いしながら答えた。
そんな他愛もない話をしていると、僕の注文したコークハイとおばさんの注文したスクリュードライバー、おつまみのレーズンバターが運ばれてきた。
当時は・・・というか、僕が若かったからかもしれないが、今のように「とりあえずビール」というのはなかったように思う。
二人は、久しぶりの再開にコークハイとスクリュードライバーで乾杯をした。
僕の目の前でほほ笑むおばさんは、本当に女神様のようで、僕は、今すぐにでも昔のようにキスをしたい衝動にかられた。
おばさんは、突然現れたことを改めて僕にわびた。「ケンちゃん・・・いや・・・ケンジさん、今日は、本当に突然訪ねてきてゴメンなさい・・・」
僕はおばさんの僕を呼ぶ「ケンジさん」という言葉が気恥ずかしく、「ケンちゃんでいいですよ」と言った。
その言葉におばさんは「だって、こんなに立派なお兄さんになったのに、ケンちゃんなんて失礼やわ・・・」と笑った。
「それじゃ、僕もおばさんなんて失礼ですよね・・・」と言うと、
「うん・・・それは、女性に対して大変失礼よ・・・」と言って、さらに笑った。
「・・・じゃぁ、僕も和子さんて呼びます」と言うと、「和子って呼んで」と言ってきた。
おばさんを「和子」と呼ぶには、かなりハードルが高かった。でも、その時はおばさんの言うとおり「和子」と呼ぶことにした。酔いも回り始めていた。
「和子・・・次は何を飲む・・・?」少し照れくさく、ぎこちのない問いかけであった。
おばさんが「クスッ・・・」と鼻に人差し指を当てて小さく笑った。




