嘘の上塗り
部活を終えて家に帰ると、姉はすでに帰って来ていた。
ほどなくして、父と母も地区の旅行から、いっぱいのお土産袋を持って戻って来た。
「あ~疲れた・・・」母が飯台のところに腰を下ろしながら言った。
「あんたら、昨夜はちゃんとしとったん・・・?」と続けて母が言った。
姉は、少しばつが悪そうに僕の方をチラッと見た。
僕は、その母の問いに平然と「うん、しとったよ・・・」と答えた。
「昨夜は何作ったん・・・?」と母が姉に尋ねた。
姉は答えに困り、口をモゴモゴさせていた。
そんな姉に代わり僕が「ハンバーグ」と答えてやった。
「ハンバーグ・・・?あんた、そんなん作れるようになったん・・・?お肉はどこで買うたん?」と母が驚いて姉に聞いた。
姉はキッとした目で僕をにらむと「・・・うん・・・まあ・・・お肉は井上のお肉屋さんまで行って買った・・・」としどろもどろで嘘を答えていた。
「すごくおいしかったで・・・」と僕はリョウちゃんのお母さんに作ってもらったハンバーグの感想を言って、嘘の上塗りをした。
それを聞いた母は「そうかい・・・みっちゃん、お疲れやったね・・・」と嬉しそうに姉をほめた。
姉はその言葉で『うまくごまかせた』とホッとしたのか、ニコニコしながら「ケンジも言うことよう聞いて、お利口にしとったよ」と、さらなる嘘の上塗りをした。
姉は、その後で「ありがとね・・・」と僕に言ってきた。
その夜、僕は部屋に入ると勉強そっちのけで、どうすれば、あの三人組をうまくこの世から葬り去れるかを考え始めた。早くしないと、またリョウちゃんのお母さんを辱めに行くと気が気ではなかった。
『毒殺・・・?どうやって毒を手に入れる?どうやって毒をあの三人に飲ませる?』
『刺殺・・・?どうやってあの屈強な三人を刺し殺す?眠らせて・・・?イヤイヤどうやって眠り薬を手に入れる?どうやって眠り薬をあの三人に飲ませる?・・・・・・・』
堂々巡りの非現実的な案しか浮かんでこなかった。
何とかしてあいつらを闇に葬らなければ、リョウちゃんのお母さんが守れない・・・・・・
僕は真剣に焦っていた。
しかし、翌日には、そんな焦りも不要となる事件が起こった。




