思いついた解決策
おばさんは長い時間泣き続けようやく落ち着いてきたので、僕は何か言葉をかけなければと思い、とりあえず、思いついたことを言った。
「警察に言うたら・・・?」
「ケイサツ・・・?」おばさんは、少し驚いたように問い直してきた。
僕は、「うん・・・警察・・・・・・」
とりあえず何か言葉をかけなければと思って言った言葉だったが、我ながら名案だと思った。
しかし、おばさんは頭を横に振った。
「そんなこと、出来るわけないわ・・・そんな恥ずかしいこと・・・・・・」
「警察なんかに言うたら、お父さんにも近所の人にもみんな知られてしまう・・・・・・」
当時でも複数の男に無理やり性交された場合は、訴えればそれだけで強姦罪が成立していたのだが、当時の女性の貞操感から、そんなことが表に出ることは今以上に少なかった。
「じゃあ、どうするん?・・・」
僕は名案だと思った解決策をあっさり否定されたことで、少し機嫌悪くおばさんに聞いた。
おばさんは、しばらく黙ってうつむいていたが、やがて
「じゃけん、死んでしまいたいんよ・・・・・・」と小さな声で言った。
「そんなことしたら、余計みんなにバレるやん」
僕がそういうと、おばさんは再び「うわぁ・・・」と言って飯台に顔を伏せ泣き出した。
おばさんの精神状態は最悪の状態だった。
僕は、とにかくそんな精神状態の不安定なおばさんを何とかしなければと思い、口先だけの出まかせを言った。
「おばさん、僕に任せとき・・・」
その言葉に、おばさんは涙目のまま顔を上げ、僕の方を見た。
その、涙目に見つめられ、僕はさらに出まかせの追い打ちをかけた。
「僕が、あいつら殺してやるけん・・・」
もちろん、そんなことができるなどとは思ってもいなかった。
「おばさんが死ぬんなら、その前にあいつらを僕が殺してやる・・・」
おばさんの泣いていた目がキョトンとなった。
「ケンちゃん、そんな恐ろしいこと言うたらいけん・・・・・・」
僕の「殺す」という言葉を聞いて、おばさんは少し冷静さを取り戻した。
そして「これは、おばさんとこの問題やから、おばさんとこで、何とかする」
「お父さんが帰ってきたら、借金のこと聞いてみる・・・」
おばさんは、指で流れている涙をぬぐうと「ケンちゃんゴメンね・・・」と言った。
「おばさん、さっきはどうかしとった・・・ケンちゃんに話聞いてもろて、ちょっと心が楽になった・・・ほんとありがとうね・・・・・・」
おばさんは、一生懸命作り笑いをしながらそう言って、また流れる涙をぬぐった。
時間はもうすでに夕方の6時を過ぎていた。
おばさんが「早よおうち帰らんとお姉さん心配しとるんじゃない?」と聞いてきたので、僕は「姉ちゃんは友達とこ泊り行ったから、今晩は帰っても誰もおらん」と答えた。
「それなら、おばさんちに泊まる・・・?」
最初から、僕はそのつもりであった。




