部活から解放されて
僕は、一目散にリョウちゃんの家へ向かった。
急いではいたものの、家にいる姉を放っておくわけにはいかないと思い、途中の公衆電話から家にいる姉に電話をし、「バスケの試合に負けて、これから先輩の家で反省会をすることになったから、遅くなる」と言った。
姉は、案の定、嬉しそうに、それなら自分は去年のように「優子ちゃんちに泊りに行って受験勉強をする」と言った。
去年の一件で、僕を一人で家に残しておいても、特に問題は起こらないし、そのことを僕が母親にチクらないという確信を得たようであった。
「鍵は、いつものところに置いとくから・・・」
「晩御飯はどうするん?」と聞いてきたので、「先輩たちと食べるからいらん」と答えた。
それだけ話すと、急いで電話を切り、リョウちゃんの家へ急いだ。
途中で姉と出くわすとまずいと思い、わざわざいつも帰る道とは違う回り道をして・・・
リョウちゃんの家に着くと、僕は玄関先で「おばさん・・・」と中に呼びかけた。
中から、返事はなかった。
もう一度僕は「ごめん下さい・・・」と叫んだ。
それでも、中から返事はなかった。
僕はそっと玄関の引き戸を横に引いてみた。
鍵はかかっておらず、ガラガラガラッと引き戸が開いた。
玄関には、おばさんのサンダルとリョウちゃんの靴だけがあり、家の人以外の靴はなかった。
僕は再度「おばさん・・・おらんの・・・?」と呼びかけた。
やっぱり、返事はなかった。
「おばさん・・・上がるよ・・・」僕はそう言って、家の中に入った。
いつもの和室に行くと、おばさんは、暗い部屋で一人で飯台に顔を伏せて座っていた。
辺りには、おばさんの下着やくしゃくしゃに丸められたティッシュの塊がいくつも散乱していた。
僕は、その異様な光景にしばらく言葉を失った。
しばらくして、僕は勇気を出しておばさんに声をかけた。
「おばさん・・・いったいどうしたん・・・?」
おばさんは、その声にゆっくり頭を上げて顔をこちらに向けると、
「ケンちゃん・・・来とったん・・・?」
と弱々しい声で言った。
その顔は赤く腫れ、目も泣きぬれて腫れあがっていた。
その様子に、びっくりして、再度「いったいどうしたん・・・?」と聞いた。
僕は気が動転しながら、僕が朝出会ったゴロツキ三人組が本当にこの家に訪れ、さらに僕が勝手に想像していた、そのゴロツキ三人組によるおばさんへの悪事が、本当にこの家で行われたのかも・・・?と思った。




