自責の念
その日は、自分のわがままと失敗に対する後悔で、なかなか家に帰る気にはなれず、近くの山の麓の茂みの中に作っている自分だけの秘密基地に行って、夕方までそこで過ごした。その間に、泣き腫れた目もなんとか普通の状態に戻って来た。
家に帰ると、もう夕飯の支度が出来ており、案の定、母が「どこ行っとったん?」と心配していた。僕は、「リョウちゃんとこ」なんてと言うと、また小言を言われると思い、適当な級友の名前を出して、その「友達の家に行ってた」とごまかした。
母は、僕の元気のない様子に気付き「どしたん?・・・なんかあったん?」と聞いてきた。
僕は「別に」と答えたが、それでも母は、その答えに満足せず、「ケンカでもしたんかい?」とさらに聞いてきた。
僕は「ケンカなんかしてない」とだけ言って自分の部屋に入った。
母は、そんな僕の様子にそれ以上は何も聞かず、「もう晩御飯できとるけん、おなかがすいとったら先に食べてもええよ」と言った。
僕は「まだいらん。姉ちゃんが帰って来てからでかまん」と言ってベットに横になった。
それから、母が「お父さんも帰ってきたけん、ご飯食べるよ」と起こしに来るまで知らぬ間にうたた寝をしていた。
夕飯を食べる間も、元気なく無言で食べる僕を見て、姉も「どしたん?・・・ケンジなんかあったん?・・・」と聞いてきた。
母は、そんな姉に、無言で箸を横に振って「聞いたらいけん」というような仕草をした。
それを見て、姉もそれ以上は聞かず、沈黙の場を盛り上げようと、その日行っていた図書館での出来事を一人で話し始めた。
その話を聞きながら、父が「ケンジももうすぐ中学生になるやから、毎日遊んでばっかりしとかんと、図書館にでも行って勉強せないけんぞ」と言った。
その言葉に姉も「そうだ・・・そうだ・・・」とチャチャを入れた。
そんな雰囲気にも、僕はうつむいたまま「うん」とだけ答えた。




