長い沈黙の後
長い長い沈黙の後、おばさんが、その重い沈黙の壁を破った。
「もうすぐ、お父さんたち帰ってくる頃やわ。ケンちゃんも、お母さんたち帰って来るんと違う?・・・そろそろ、おうちに帰らんと」そう言って、おばさんは食べかけのスイカの置かれたお皿とお盆を持って、よろよろと立ち上がり、台所に消えた。まだ、目には涙がいっぱいであった。
僕は、おばさんが言ったように、そろそろ父と母が家に帰ってくる頃だと思い、立ち上がって、台所に行ったおばさんに帰りの挨拶をしに行った。
「おばさん、僕帰ります。お風呂とスイカありがとうございました」
台所でお皿を洗っていたおばさんは、僕の方に振り向くと
「あら、ご丁寧に。こちらこそありがとう・・・つまらん話、聞かせてしもうて、ごめんね」と、目から流れる涙を指で拭いながら言った。
僕はそんなおばさんの様子を見て「おばさん、泣かんでええよ」と、おばさんが僕に言ったのと同じセリフをおばさんに言った。
「・・・ありがとう、ケンちゃん・・・ケンちゃんは優しいね」と、おばさんは涙を指でこすりながら少し笑顔になった。
それを見て、「おばさん、また来てもいい?」と僕は尋ねた。
おばさんは「いいですよ。いつでもどうぞ」と言ってくれた。
僕は、それをいいことに「次来たら、次もまた一緒にお風呂入れる?」と聞いた。
それを聞いたおばさんは、少しあきれ顔で「なに・・・?それが目的なん・・・?」と言って大笑いをした。
僕は、少し照れ臭かったが、おばさんが元気になってくれたことで、うれしくなり、一緒に大声で笑った。




