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新段階を論ず中共六期拡大六中全会における政治報告 四章から八章 七欠け(一九三八年一〇月二二日―一四日)

注:七章は毛沢東選集に収録されているので割愛した。


四 全民族の面面する緊急任務


これまでの抗戦の総括と面面する抗戦および統一戦線の発展の新段階〔に対する〕評価からみて、全民族の面面する緊急任務はどうあるべきであろうか。〔そこには〕これまでどんなちがいがあるべきであろうか。 全般的な任務は次のとおりであるべきである。すなわち、抗戦を堅持し、持久戦を堅持し、統一戦線を強化・拡大することによって、困難を克服し、敵の進攻をおしとどめ、力を蓄えてわが方の反攻を行ない、敵を最終的に駆逐する目的を達成することである。 個々に分けていえば、次のような各方面の具体的任務がある。すべての抗日民族統一戦線の組織的構成要素は政府を賛助するとともに、政府の下で、全民族の動員を実行すべきであり、共産党員はこれらの任務を遂行する模範となるべきである。


(一) 民族的自尊心と自信を高度に発揚し、最後まで抗戦を堅持し、悲観的気分を克服し、妥協の企てに反対すること


抗戦の新情勢を評価する時、必ず一部の人びとは、主要な大都市と交通線の喪失、財政・経済の困難、国際援助がまにあわないことから、抗戦の前途についての悲観・失望の気持ちを抱き、またそれを増長させるであろう。そして、日本人・漢奸・親日派は、きっとこうした気持ちを利用して、大いに和睦・妥協の空気をふりまき、わが方の抗戦の決意をゆるがそうと企てるであろう。それゆえ、全民族の第一の任務は、民族の自尊心と自信を高度に発揚し、一部の人びとの悲観的気分を克服し、政府の抗戦継続の方針を断固支持し、いかなる投降・妥協の企てにも反対して、徹底的に抗戦を堅持することである。この任務はこれまでのいかなる時期におけるよりも重要である。


この目的のためには、新聞、出版物、学校、宣伝団体、文化・芸術団体、軍隊、政治機関、民衆団体、その他のすべての可能な力を動員し、前線の将校・兵士、後方守備部隊、被占領地区人民、全国民衆に、広範な宣伝・煽動を行ない、果敢に、計画的にこの方針を遂行し、最後まで抗戦するよう主張し、投降妥協に反対し、悲観的気分を一掃し、最後の勝利の可能性と必然性をくり返しはっきりと指摘し、妥協が滅亡であり、抗戦こそ活路であることをはっきりと指摘し、全民族が団結するよう呼びかけ、困難をおそれず、犠牲をおそれないよう呼びかけなければならない。われわれは、何としても自由にならなければならず、何としても勝利して、全国が一致して抗戦を継続するという目的を達成しなければならない。


この目的のために、すべての宣伝・煽動においては、次のような諸側面を顧慮しなければならない。すなわち、一面では、すでに生まれ、またいまも生まれつつある民族革命の典型(英雄的で勇敢な抗戦・国家への献身・平型関〔の戦い〕・台児荘〔の戦い〕・八百壮士〔の奮闘〕・遊撃戦争の発展・惜しみない献金・華僑の愛国〔的行動〕など)をとりあげ、前線・銃後・国内・国外に向かって広くこれを報道することであり、他の一面では、民族戦線のなかにあり、かつ増大しつつある消極性(妥協傾向・悲観的気分・腐敗現象など)を暴露し、一掃し、淘汰することであり、さらに他の面においては、敵のあらゆる暴虐な獣行の具体的実例を全国に公表し、全世界に訴えて、民族的覚醒の度を高め、民族の自尊心と自信を発揚する目的を遂げることである。こうした覚醒と自信の不足は、困難を克服し、反攻を準備するという基本任務を大いに妨げるのである。


(二) 蒋委員長を擁護し、国民政府を擁護し、国共合作を擁護し、対立と分裂に反対し、いかなる漢奸政府にも反対すること


新たな環境下における敵の方針は、必然的に反蒋・反共集中され、全国的な性格の漢奸政府を樹立し、蒋委員長打倒を企て、国民政府を打倒し、国共合作と全国的団結を破壊しようと企てる。敵のこうした方針に対抗するための全民族の第二の任務は、全国に呼びかけ、全体が一致して、誠心誠意蒋委員長を擁護し、国民政府を擁護し、国共合作を擁護し、全国の団結を擁護し、蒋委員長、国民政府、国共合作と全国的団結に不利ないかなる敵の行為にも反対し、いかなる漢奸政府の中国支配にも反対することである。


この目的のためには、国共両党の関係を調整し、中央と地方との関係を調整し、抗戦各軍の関係を調整し、政府と人民との関係を調整しなければならない。などの関係においては、公平と合理、相互援助と相互愛護の精神を提唱し、摩擦を少なくし、意見の対立の現象を少なくし、困難を利用したり、政府に困難を与えるような行為に反対し、全国に呼びかけて、敵・漢奸・親日派がわれわれの内部で行なう挑発・離間、不満のかきたて、意見対立のかきたて、摩擦のけしかけなどの陰謀やトリックにきびしく注意しなければならない。できるだけ、蒋委員長と国民政府の威信になんの影響も与えないようにし、国共合作と全国的団結が日ごとに親密の度を加え、困難な環境のなかで抗戦を継続する堅固な重心をつくるようにし、それをよりどころに、敵および漢奸政府に対抗し、困難を克服して、反攻を準備するようにしなければならない。


(三) 主力軍の戦闘力を高め、華中・華南・西北を防衛し、敵の進攻をおしとどめること


現在、武漢に進攻し、またひきつづき華南・西北に進攻しようとしている敵の企図に対抗する全民族の第三の任務は、主力軍の戦闘力を高め、現有の軍隊を整理し、新しい軍隊を追加編成し、華中・華南および西北を防衛するために戦い、敵の進攻をくいとめることである。この目的のために、中国主力軍の側では、


第一に、高度の運動戦を展開し、同時にこれを必要でまた可能な陣地防禦で補いながら、一区切り一区切り敵に抵抗していって、敵の実力を消耗させなければならない。第二に、大後方に可能な軍事工場を建設するとともに、その製造能力を高め、前線の武器・弾薬をまかなわなければならない。第三に、軍隊内で真剣に民族革命の政治工作を実施し、政治・文化・娯楽などの教育を実施し、勇敢に闘い、持久的な苦難な戦争に耐えていく革命的精神を全軍にわたって高めていかなければならない。第四に、現存の物質的基礎にもとづいて、兵士の生活を改善し、連〔中隊〕内に経済委員会を組織し、兵士が炊事を管理することである。第五に、自覚的規律を提唱し、殴打したり悪罵したりする制度を廃止し、将校・兵士間の親愛な団結を提唱することによって相互の関係を改善することである。第六に、公平な売り買いをし、なごやかに人に接し、食糧を強制的に徴発せず、人夫を強制的に徴発せず、強制的に兵隊に徴発せず、政治的動員のやり方で食糧・人夫および新兵問題を解決し、それによって軍民関係を改善する。第七に、前線各軍の間、前線と後方の各軍の間で、友愛・互助の精神を高め、戦闘に際しては相互に呼応しあい、一般的な工作では相互に長所を競いあい、相互の間で傍観しあったり、相互に忌避しあったりするよくない現象を取り除いて、軍隊相互間の関係を改善することである。第八に、現有の軍隊を整理し、欠員を補充すると同時に、新しい軍隊を追加編成し、教育と訓練に力をいれ、それによって持久作戦に役立てる。こうしたあらゆるやり方で主力軍の戦闘力を高め、華中・華南および西北の防衛のために戦い、敵の進攻をくいとめわが方の反攻の準備のために闘うことである。


(四) 敵後方の遊撃戦争を広範に発展させ、わが方の根拠地を創設し強化し、敵の占領地を縮め、主力軍の作戦に協力すること


敵の目的は、わが方に対し依然進攻をつづけ、またある時機には、一部の兵をさいてわが遊撃戦争に打撃を加え、自己の占領地を強化し、中国の反攻を困難なものにしようとすることにある。これに対抗するための、全民族の第四の任務は、敵後方の遊撃戦争を広範に発展させ、多くの根拠地を創設し、在来の根拠地を強化することによって、敵の占領地を縮めることであり、さしあたっては主力軍に協力して敵の進攻をくいとめるために戦い、将来においては、主力軍に協力して反攻実行のために戦うことである。半植民地中国の抗日民族戦争の重要な特質の一つは遊撃戦争の広範さと長期性であり、こうした遊撃戦争なしには、敵の大軍を牽制し、正面主力軍の作戦に強力に呼応して、敵の進攻をくいとめようとしてもできず、敵の占領地を一定地帯に制限して、敵の全面的占領を不可能にしようとしてもできず、敵後方に多数の抗日の砦を設置し、遊撃戦争を堅持するとともに、将来は、主力軍の戦略的反攻に呼応するように準備しようとしても、できないであろう。


そこで、第一には、あらゆる敵後方地帯の遊撃戦争を広く発展させるとともに、多数の遊撃戦争の根拠地を創設し、すでに設置された根拠地を強化しなければならない。第二には、華北を手本にして、十分な数の正規の軍隊を敵後方のそれぞれの戦略区域に配置または派遣して、長期にわたって遊撃戦争を堅持する根幹にしなければならない。これらの軍隊は、しだいに遊撃戦術を学び、政治工作を強化し、民衆運動を発展させ、根拠地を創設するとともに、敵後方の民衆遊撃隊と遊撃戦争をたすけて、それをしだいに正規軍と正規戦争の道にまで高めていくべきである。第三には、すべての戦区と敵後方において、あらゆる男女人民の国家防衛・郷土防衛の熱意を高めさせ、彼らを動員して、大量に生産を離脱した遊撃隊に加入させ、敵後方に残留させている正規軍を補充するほか、なお彼らを半軍事的性格の抗日人民自衛隊のなかに組織しなければならない。抗日人民自衛隊の組織はすべての戦区と敵後方の普遍的・恒常的な民兵制度となるべきであり、彼らは生産を離脱しないのである。第四に、人民に協力し、援助して広範な遊撃隊を組織しなければならない。これは生産から離脱したもので、各県、各区に設けるべきであり、敵を襲撃し、地方を防衛する普遍的な小部隊となるべきである。


第五に、遊撃部隊内部の政治工作を確立し、その軍事・政治・文化・娯楽の教育を強化することによって、その戦闘力を高めなければならない。第六に、遊撃部隊内の正しい軍事・政治制度をうちたて、将校・兵士の平等な待遇を実現し、経理を公開しなければならない。第七に、土匪部隊を改造し、彼らを抗日の方向にすすめせる。わが軍後方の、および敵に利用されている土匪を粛清することである。第八に、遊撃戦争の武器・弾薬の供給はきわめて重要な問題であり、一方で、大後方ができるだけ彼らに供給するとともに、また他方では、遊撃戦争の各根拠地ができるだけ手段を講じて、小さな兵器工場を設置し、弾薬・小銃・手榴弾までは自分で製造するようにし、遊撃戦に武器、弾薬が欠乏しているというような心配をなくすることである。第九に、敵情およびわが方の戦略上の必要に応じて、新たに敵後方の作戦区域や行政区域を再区分し、新しい戦争の状況にマッチさせることである。第一〇に、戦略上の必要にしたがって、敵後方の各部隊と行政区の指導を統一して、抵抗力の集中をはかり、内部矛盾を除去することである。だが、相互に併呑しあうような軍閥的行為には反対しなければならない。


(五) 軍事技術を高め、機械化兵団を創設し、反攻の実力を準備する


敵がわが方よりも少ない兵力で、一歩一歩深くはいってこられるのは、わが方にある政治的原因を別にするば、わが方の技術的たちおくれが主要な原因である。敵の長所とわが方の短所に対抗するための全民族の第五の任務は、軍事技術を高め、飛行機・大砲・戦車などの数およびそのための人材をふやし、反攻実施のための実力を蓄えることである。この目的のためには、一方で、現有の製造能力および今後の増加能力にもとづいて、部分的な製造・修理からはじめ、真剣にこの工作に従事しなければならないし、また他方では、手をつくして、外国から新式兵器を輸入して、軍隊の装備を次第に改善し、真に近代化された機械化兵団を創設しなければならない。われわれが、実際にしたがって問題をみるべきであることにはいささかの疑問もない。


現在では、実際上、戦闘に用いられているのは大多数が低級な武器であり、したがってわれわれは、全国の軍隊と人民の武装部隊に呼びかけて、低級な武器でも敵いうちかちうることを信じさせ、政治精神を高めさせ、作戦方法を改善させ、遊撃戦争を発展させて、新式技術の不足を補うようにしなければならない。この方面に重きをおかず、力を入れないならば、われわれは当面の実際問題を軽視することとなって、現在の困難の克服を不可能にしてしまうだろう。


また将来は、戦略的反攻を準備するために、新式技術を高め、新式軍隊を建設しなければだめであり、近代化された新式技術装備をもつ十分な数の軍隊がなければ反攻を実施して、失った土地を奪回しようとしても、それは不可能だということを知らなければならない。この面で、注意力を高めず、また可能な範囲で、真剣にやりはじめないならば、われわれは現在をみているだけで、将来を忘れていることになり、前途の困難は克服しようがなくなるであろう。人力・物力が豊富な中国では、政治条件が改善され、動員方法が進歩し、そのうえこれに外国の協力・援助が加わりさえすれば、技術装備を漸次に改善していくことは、けっして不可能なことではないのである。


(六) 集中指導のもとでの民主政治を実行し、政府と人民の連係を密にし、抗日政権の最大の能力を発揮させること


敵が利用しているわが方の弱点は、たんに軍事にあるだけでなく、政治にもあり、政治制度が民主化されておらず、広範な人民との間に密接なつながりをつけることができない点にある。この弱点を是正するための全民族の第六番目の任務は、集中指導の下での民主制度を実行することである。この面での改善がなければ、最終的に日本侵略者にうち勝つことも不可能である。民主政治は全民族のすべての生き生きとした力を動かす推進機であり、この制度があれば、全国人民の抗日への積極性がはかりしれないほど発動され、汲めどもつきぬ深い水源となるであろう。わが全民族が徹底的に統一され、結集される偉大な過程の完成も民主制度の樹立にかかっている。この点については、各方面から、実際的な措置をとっていかなければならない。


第一に、国民参政会の開会は国家の民主化の第一歩を踏みだしたものであるが、今後は、同会の活動は公開的に、順調に行なわれるべきであり、同会の決議事項はすべて実施されるべきであり、また同会がすでに決定した諸方策にしたがって、各省各級の地方参政会を真剣に設置し、民主政治を推進すべきである。第二に、抗戦建国綱領に定められている人民の言論・出版・集会・結社・信仰などの自由の権利が全国的規模で十分に実施されるよう保証することである。こうした自由は抗戦建国の範囲内のものであり、こうした自由が十分に保証された場合にのみ、それは抗日建国の力を普遍的に発揮させるのに役立つであろう。ここでの問題は中央の諸法令が各地方で実施され、地方で勝手に制限されることのないよう保証することである。制限すべきは抗日建国に不利な自由、すなわち漢奸・親日派の自由であるべきであって、その他はすべて制限の外におくべきである。第三に、戦区および敵の後方から始めて、大幅な民主制度を実行すべきである。たとえば、各級地方政府を民選にし、さらにこれを上級が任命することである。戦区の各級政府は民主集中の委員制を採用するとともに、各級の人民代表機関を設置することである。戦区の政府には、一部の必要な工作部門を増設すること、公文書様式を改めること、汚職・腐敗・無能力分子を一掃し抗日積極分子を吸収すること、俸給を引き下げ、苦難〔に耐える〕生活を提唱すること、こうしたやり方によって苦難にみち、複雑で、流動する戦区の環境に適合していくことである。


戦区内の地方政府は、中央政府の統一指導の下で、地方の単行法規を公布する権限を与えられている。戦区の男女公民は、漢奸を除いて、みな選挙権・被選挙権を持ち、言論・出版・集会・結社および武装抗日の自由を持っている。戦区のすべての抗日諸党派はみな公然・合法の地位を与えられている等々。戦区、とくに敵の後方では、これらの政治的改革なしには、長期の苦難な抗日戦争をも持ちこたえることは不可能である。以上のこれらのやり方は、すべて政府と人民との連係を密にし、政府の実力を増強し、政府が抗日戦争のなかで最大の役割を果たせるようにするためである。問題もなく、全国のいずれの地方政府も、中央政府の指導の下に集中されるべきであり、行政区域が地域的に敵によって分断されているからといって、中央の指導を尊重しないような態度があってはならない。全国は中央の諸法規にしたがって、民主制度を遂行すべきであるが、全国は中央に統一されていなければならない。


(七) 統一的な民衆運動を拡大し、全力を挙げて戦争に協力すること


全民族の第七番目の任務は、各種の民衆運動を拡大するとともに、これを統一させ、全力を挙げて、戦争に協力することである。長期の、苦難な抗日戦争は、あらゆるものを民衆から与えてもらわなければならない。普遍的に発展した、全国的に統一された民衆運動がなければ、戦争を長期にもちこたえることは不可能である。とくに、戦区や敵の後方では、すみやかにそうしなければならない。抗日戦争がまさに新しい困難に遭遇しつつあるときには、民衆を動員することによってのみ、有効にそれらの困難を克服することができるのである。全国、ことに戦区や敵の後方では、すみやかに次のいくつかのことを行なわなければならない。


第一に、すべての抗日民衆団体と抗日民衆運動の自由を保証し、民衆団体の法律上の地位を確立すること。第二に、民衆団体を物質的に援助し、民衆団体の独立性を尊重すること。第三に、広範な大衆が参加する労働者・農民・青年・婦人・商人・自由職業家・文化人および児童の各種の救国会を真剣に設立するとともに、地域別・職業別の、二つの原則にしたがってそれぞれの連合組織をつくらせること。第四に、民衆を動かして各方面の抗戦工作に積極的に参加させ、政府と軍隊を積極的に援助させることで、抗戦工作に積極的に参加させ、政府と軍隊を積極的に援助させることで、これはとくに戦区ではゆるがせにできない。


(八) 民衆生活を改善し、民衆の抗戦熱と生産熱を盛んにする


民衆の生活を改善する問題については、これまであまりにわずかしか行なわれなかった。したがって、広範な勤労人民の抗戦熱と生産熱を盛んにすることができず、長期戦争を堅持するのに非常に不利であった。そこで、今後の全民族の第八の任務は、民衆の生活を改善する次のような政策を実行することである。


第一に、抗日軍人家族と傷痍抗日軍人を優待すること。第二に、戦区の罹災民、難民および失業労働者を救済すること、第三に、戦区および敵後方地区において、適当に小作料や利息の引き下げを行なうこと。第四に、食糧および重要な日用品必需品の調整をすること。第五に、賃金を適宜増額し、労働者・職員の待遇を改善すること。第六に、労働者・農民の雇い主や地主に対する団体契約権を認めること。第七に、雇い主・地主・〔手工業の〕親方・労働者の組頭などの労働者・見習工に対する虐待、殴打や悪罵を禁止すること。


これらの初歩的な生活改善方法が実施されたのちには、かならず労働者・農民・貧民大衆の政府支持・戦争参加・生産参加の積極性が高められ、戦争の必要とするあらゆる動員・援助が大いに改善されるばかりでなく、工農業生産の量と質ならびに商業流通も大いに増大し、向上するであろうし、国家財政も新しい農・工・商業を基礎にして、満足すべき解決をみるであろう。


(九) 新しい戦時の財政・経済政策を実施し、戦争の難関を越えること


主要な大都市と交通線を失ったのちには、国の財政・経済にはからずや大きな困難が現われ、新しい効果的な方法がみつからなければ、戦争の難関を越えることができなくなるであろう。しかし、新しい政策を実行し、人民の力を動員さえすればどんな困難も克服できるのである。したがって、全民族の第九番目の任務は、新しい戦時の財政・経済政策を実行することである。その主なものは、次のとおりである。


第一に、新しい政策は抗日武装部隊へのすべての必要な供給を保証し、人民の必需品に対する要求を満足させるとともに、敵の経済封鎖や経済破壊と闘争することを目的とする。第二に、計画的に、奥地に国防工業を新たに建設することとし、小規模な、とくにさし迫って必要とする部門から〔建設〕をはじめ、しだいに発展させ改善を加え、政府・民間および外国の三方面からの資力を吸収するとともに、労働者を政治的に動員し、その最低限度の物質的待遇を改善し、工場管理制度を改善して生産性を高める。これらは必要であるばかりでなく、可能でもある。第三に、政治動員と政府の諸法規を結びつけて、全国の農業生産と手工業生産をのばし、春耕〔春の耕作〕運動・秋収〔秋の穫入れ〕運動を組織し、全国の農業と手工業を新しい形態の下で発展させる。戦区では、農具・役畜および手工業の仕事場を保護するよう注意し、隔絶された区域の経済的自給を保証すること。


第四に、個人経営商工業の自由な営業を保証し、同時に合作〔協同組合〕事業の発展に注意すること。第五に、「金があるものは金を出す」の原則のもとで、各種の旧税〔制〕を改訂して統一的累進税とするとともに、税の徴収がうまくいくようにする民力を豊かにするとともに、税の徴収がうまくいくようにすること。第六に、政治的動員と政府諸法規を結びつけて、救国公債と救国公糧を募集するとともに、人民を動かして、自発的に経費および食糧を供出援助させ、戦う軍隊にそれを供給させて、財政収入の充実化をはかること。第七に、敵の通貨発行および法幣破壊の政策と計画的にたたかい、隔絶された区域に地方銀行を設立し、地方紙幣を発行することを許すこと。第八に、綱紀粛正運動を励行し、給与制度を改訂し、最低生活基準にしたがって、だいたいにおいて平等な給与制度を規定すること。したがって、国家銀行が低利資金の貸付を行ない、生産事業の発展および商品の流通をたすけることである。


第一〇に、戦区の郵便・電信・交通を回復・発展させること。以上に指摘したのは大きい問題だけである。旧制度をまじめに改革し、新しい制度を実行する決意を抱くとともに、毅然としてこれを堅持してこそはじめて、新しい困難を一掃し、長期の戦争をもこたえることができるのであり、その重心は広範な人民の生産に対する積極性を組織して、彼らが戦争に必要なものを供給するために全力を傾けるようにさにある。中国の抗戦は敵に占領され、抗戦は主として農村と農民に依拠して行なわれている。農民は戦争をささえる偉大な力をもっているが、それにしても必要な政治面、経済面の改革を行なわなければならない。ここで述べた各項の新政策は、とりもなおさずこうした特殊状況にもとづいて提起されたものなのである。


(一〇) 抗性の教育政策を実施し、教育を長期の戦争に奉仕させること


何ごとも戦争のためにという原則にしたがって、すべての文化教育事業を、戦争の要求に応えさせなければならない。したがって、全民族の第一〇番目の任務は以下の各項の文化教育政策を実施することである。第一に、学制を改訂し、さし迫って必要でない課程や不必要な課程を廃止し、管理制度を改め、戦争に必要な課程を教え、また学生の学習への積極性を発揚させることを原則とする。第二に、各種の幹部学校を創設した拡大・増強し、大量的幹部を養成すること。第三に、民衆教育を広範に発展させ、各種の補習学校、識字運動、演劇運動、音楽運動、体育運動、敵前および敵後方での各種の地方通俗紙を創刊し、人民の民族文化と民族的自覚を高めること。第四に、小学校義務教育を実施し、民族精神によって、後世世代金を教育すること。


これらのすべても、主としての政治的動員と政府の諸法規を結びつけなければならない、主として人民自身を動かして、彼自身を教育させることであり、政府は適切な指導と調整を行ない、これに可能な物質的援助を与えることである。たんに政府の、その限られた財力で営むいくつかの学校・新聞などに依存するだけでは、民族文化と民族的自覚を高める偉大な任務を完成するには不十分である。抗戦以来、教育制度はすでに変化しつつあり、とくに戦区では顕著な改善があった。しかしいまに至るも、制度全体としてはまだ抗戦の必要に適応した変化が見られない。こうしたことは好ましいことではない。大戦には偉大な抗戦教育の運動が結びついていなければならず、両者の間の不結合の現象はすみやかに取り除かれなければならない。


(一一) 国際援助の獲得につとめ、日本帝国主義に集中的に反対すること


長期的な戦争ということ、日本帝国主義に集中的に反対するということを原則として、あらゆる外国からの可能な援助を組織することを軽視してはならない。そこで、当面の第一番目の任務は、まず第一に、一部の人びとのいわゆるドイツ・イタリアの道の主張に頑固反対することである。なぜなら、これは実際に、敵への降服を準備する一歩だからである。第二に、各民主諸国とソ連邦のわが方に対する物質的援助を獲得することである。同時に、各国が国連の日本制裁決議を実行するよう、その促進につとめることである。第三に、一定の機関を設けて、敵軍のあらゆる暴行の事実を系統的に蒐集し、具体性のある文書・報告にして海外に宣伝し、全世界の注意を喚起し、日本ファシストの懲罰に起し上がらせることである。第四に、各党派・人民団体から代表を選出して、国際宣伝団体を組織し、列国を周遊させて、わが方に対する各政府と人民の同情を喚起し、わが国政府の外交活動と呼応させること。第五に、わが方に同情するあらゆる国々の在中国居留民、ならびに、わが方に同情する通商・布教などの事業を保護すること。


第六に、華僑の利益を保護し、かつ華僑の努力を通じて、各国の反日華僑運動を促進するよう注意すること。これらのすべての項目は、わが方に対する各国の援助の程度いかにかかわらず、援助がことしばらくは増加することなく、むしろ部分的に減少することさえあろうとも、また国連決議が依然として耳ざわりのよい口先だけの言葉にすぎなかろうとも、われわれとして、努力すべき点は努力するのである。抗戦の長期性にもとづいて、外交方針も長期のことに着眼すべきであり、眼前の利益に重きをおかず、将来の増援に重きをおくべきであり、この点からして遠大な見通しが必要なのである。


(一二) 中国と日本の兵士・民衆および朝鮮、台湾など被抑圧民族的反侵略統一戦線を樹立し、共同で日本帝国主義に反対すること


日本帝国主義の侵略戦争は中華民族に危害を加えるだけでなく、同時に日本の全兵士・民衆および朝鮮、台湾などの被抑圧民族にも危害をおよぼすものであり、日本の侵略戦争を失敗させようとするには、中日二大民族の軍民大衆および朝鮮、台湾などの被抑圧民族が広範な、持続的な共同の努力を行ない、共同の反侵略統一戦線を樹立しなければならない。この目的のための全民族の第一二番目の任務は次のとおりである。


第一に、両国の人民・兵士大衆および朝鮮、台湾の諸民族に、この反侵略統一戦線の方針を提示し、このために闘うように彼らに呼びかけること。第二に、政府はあらゆる抗日軍隊・抗日遊撃隊の全将校・兵士に、必要な数と適当な内容の日本語を一律に学習するよう命令し、また日本語を教える教員を高級政治部において準備するとともに、各部隊に派遣して日本語教育を行ない、数語の日本語を話す程度から、日本軍の将校・兵士にひととおりの道理を説くことができる程度までを教え、抗日の将校・兵士全体が敵軍の全兵士ならびに下級将校に口頭宣伝するよう教育し、同時に、文字・絵画による宣伝でこれを補い、これを漸次に感化して、彼らが共同の反侵略統一戦線の樹立に同意するように要求し、百余万の日本侵略軍をわれわれの友軍に変え、中国から退出して日本ファシストを打倒するようにさせること。第三に、敵軍捕虜を尊重・優遇し、それを教育し、彼らを通じて他のものに影響を与え、反侵略統一戦線の樹立に努力させること。第四に、日本内地で反般的な文化人を組織して中国に来させ、この闘争に参加させるよう措置を講ずること。第五に、中国にいる誠実な日本人居留民を保護すること。


第六に、日本国民大衆を教育し、一方では、民族的自尊心を高めさせ、また他方では、軍隊や人民のいくつかの誤った思想を是正し、日本帝国主義と日本人民とを区別させ、敵軍の将校と兵士とを区別させ、また上級将校と下級将校とを区別させること。上述の方針ややり方を実施し、広範に持続的な努力をさせるならば、この反侵略統一戦線は樹立できるようになるであろう。中国の勝利は、主として自己の力の増大にかかっている。だが同時に、敵の困難と国際的援助をこれに結びつけるべきである。敵の困難の面ではわが方の長期戦争の堅持によって漸次に敵を消耗させ、外交活動に努力し、敵を日ごとに孤立に陥れるほかに、日本の兵士・人民大衆および朝鮮、台湾などの諸民族とともに、共同の反侵略戦線の諸政策を樹立することが不可欠の部分である。日本の侵略戦争が長びけば長びくほど、この統一戦線はますます確立の基礎を与えられるのである。


(一三) 中華各民族を結集し、一致して日本にあたること


われわれの抗日民族統一戦線は、たんに国内のそれぞれの政党政派、それぞれの階級のものであるだけでなく、国内のそれぞれの民族のものであることもある。敵がすでに、わが国内の各少数民族を分裂させる悪だくみを行なっており、またなお一層これを強めようとしているのに抵抗して、当面の第一三番目の任務は各民族を結集して一体とし、共同して日本侵略者に対処することである。この目的のために、次の諸点に注意しなければならない。第一に、蒙・回・蔵・苗・瑤・夷・番各民族に、漢族と平等の権利をもつことを許し、共同で日本にあたるという原則の下で〔各民族が〕自分のことがらは自分で管理する権利を有すると同時に、漢族と連合して統一的な国家を樹立するものとする。第二に、各少数民族と漢族とが雑居する地方では、その土地の政府はその土地の少数民族のメンバーによって構成された委員会を設置し、省・県政府の一部門とし、彼らと関連ある事項を管理させ、各民族相互間の関係を調整させるものとし、省・県委員会のうちにかれらのしめる位置を与えるべきである。


第三に、各少数民族の文化・宗教・習慣を尊重し、彼らに中国文、中国語を学ぶよう強制しないばかりでなく、彼らが各民族自身の言葉・文字を用いた文化教育を発展させるよう援助すべきである。第四に、現に存在する大漢族主義を是正し、漢人が平等な態度で各民族と接触し、日ごとに親善の度を密にするよう唱えると同時に、彼らを侮辱したり、軽視したりする言葉・文字・行動をも禁止する。上述の政策は、一方では、各少数民族自身が団結してその実現をかちとるべきであり、他方では、政府が自らすすんで実施すべきであり、真に一致して外にあた民族の相互関係を徹底的に改善し、真に一致して外にあたするという目的を達成することができるのである。懐柔したり、抑圧し腐敗させたりする古いやり方は通用しないのである。


(一四) 漢奸一掃運動を励行し、前線と後方を固めること


新しい情勢の下で、漢奸・敵のスパイ・トロッキー派・親日派はかならずや以前よりもはるかにはびこり、大いにデマ・中傷・分裂・破壊の陰謀をほしいままにするであろう。したがって、当面の第一四番目の任務は、次のようなやり方を実行して、漢奸一掃運動を励行することである。第一に、前線と後方のすべての軍民などの警戒心を喚起し、漢奸・敵のスパイのすべての軍民などの活動にきびしく注意し、政府の諸法規にしたがって容赦なくこれを鎮圧すること。第二に、国家の機密保持に注意し、機密を漏洩した裏切り者によって処罰すること。第三に、学校の教科書に漢奸一掃に関する一課を加えること。第四に、軍隊内に各級の漢奸一掃工作管理部門を設かせ、また民衆団体内、人民自衛隊内に漢奸一掃小組を設け、国家警察は漢奸一掃教育を強化して、衆人環境下で漢奸の徒が身をひそめる余地のないようにする。抗戦以来、これらの漢奸の徒のためにこうむった損失は少なくないことと、作戦の利益がそこなわれることのひどさに、早くから異口同音に驚嘆しており、後方においても、国家の機密を漏洩し、また敵機を誘導して猛爆させるという二つの事実だけでも、人びとを一致して慎重させている。


長期抗戦中に、もし漢奸の徒を一掃しないならば、戦争に勝つことなど想像もできないことであり、広範な民衆に民族革命の警戒心を高めさせ、上述の漢奸一掃措置を励行するとともに、これを広範な運動にすることは、勝利獲得に不可欠の重大な任務である。次のことを指摘しておくべきである。すなわち、漢奸一掃運動を〔裏切り行為の〕首謀者と脅かされてこれにしたがったもの、意識してやったものと騙されてやったもの、断固として敢行したものと動揺分子を区別し、個別的に処理し、前者を重く、後者を軽く処罰するよう注意するとともに、後者を改心させ、正道にもちどらせるよう注意し、けっして一様に取り扱ってはならない。さらに、確実な証拠によるようにし、拷問を用いてはならず、人を中傷し、罪に陥れるもののないようにきびしく予防しなければならない。漢奸一掃の目的は真の漢奸の徒を粛清することであり、正しい政策と正しい方法によってのみ、その目的は達せられるのである。


(十五)国共両党および抗日諸党派の発展をはかり、統一戦線を強化し、長期の戦争をもこたえること


前述のあらゆ る緊急任務は、抗日民族統一戦線内の諸党派が、全民族を動かして、蒋委員長の下一、断固としてこれを実行すべきものであり、この目的を達成するためには、統一戦線のそれぞれの各党派が組織力を伸ばさなければならない。どの党をとわず、現有勢力はみなきわめて小さく、いずれもその発展をはかる必要があるが、とりわけ両党を大いに発展させることが当面の緊急任務である。この発展させるという任務においては、各党は相互に他党の発展を助けるべきであって、互いに妬みあったり、妨げあったりすべきではない。抗日諸党派であるかぎり、どの党が発展しようとも、それはみな抗日に有利であるということを知る必要がある。統一戦線は国共両党を土台としており、しかも両党のうちでは、国民党が主たる幹であることには問題はなく、われわれはこの事実を認めている。したがって、われわれは、蒋委員長およびその指導下の国民政府を国共両党を断固として支持するとともに、全国が一致してこれを支持するよう呼びかけるものである。この主な根幹を認め、これを支持し、また同時に、各党の発展をはかるということは、相互に関連することであり、けっして相互に衝突しうることではない。


数のうえでは、私の考えでは、国民党は500万人以上に発展すべきであり、共産党およびその他の諸党派は100万人以上に発展すべきであり、人口四億五〇〇万人の大民族の上から発展すべきであり、偉大な抗用の時代にあたり、数百万の優秀な人びとを抗日諸党派に吸収・参加させることは必要であるばかりでなく、まったく可能なことであり、ほんとうにこのようにすることができれば、抗日民族統一戦線は拡大し、それにつれてまたもと強化され、敵にうちかつすべての任務の遂行も十分に保証され、敵を駆逐し、長期の戦争と長期の合作をささえ、三民主義の新中国を建設する根本の目的も不安なく達せられるであるう。


五 長期の戦争と長期の合作


次に、われわれは抗日民族統一戦선의長期性の問題についてもっぱら検討し、国共両党関係に異常に関心を抱いている人びとが、すでに抱いている多くの疑問に対して、全般的な答を出すことにしたい。この点は、抗日民族統一戦線を強化・拡大し、当面の緊急任務を順調に遂行し、戦争の難関を乗りこえていくうえで、もっとも重要な意義をもつ。問題は次のような諸点である。すなわち、戦争の長期性が合作の長期性を決定すること、戦争中の合作が戦争後の合作を決定すること、長期合作の内容と主要な条件、三民主義と共産主義、長期合作の組織形態、長期合作中の互助・互譲政策、民主共和国の問題である。これらはきわめて多数の人びとが関心を抱いている点であり、われわれとしてはこれらに明確に解答しなければならない。


(一) 戦争の長期性が合作の長期性を決定する


抗日戦争が長期的であることからして、抗日民族統一戦線全体もやはり長期的であり得るし、また長期的でなければならず、そのなかでの主要な二つの政党――国民党と共産党――の合作も、やはり長期的であり得るし、また長期的でなければならない。これがすべての政策の出発点である。したがって、われわれの政策は、何はともあれ長期の民族統一戦線を必要としており、何はともあれ、統一政府を共同で維持することを必要としており、対立と分裂に反対して、戦争の難関を乗りきり、敵の破壊に対抗し、日本帝国主義を撃退するのに有利なのである。また戦後の新中国建設の任務を完成するのに有利なのである。これは一九二四―二七年の国共合作とは根本的にちがっており、あの時には短期間であったが、今度は長期的なのである。


(二) 戦争中の合作が戦争後の合作を決定する


長期合作というのは、たんに戦争中のことだけでなく、戦争後のことでもある。抗日戦争は長期的であり、戦争中の合作は、すでにでもう長期的になっているといえる。だが、まだそれだけでは十分ではない。われわれはひきつづき合作していくことを望んでいる。またかならずひきつづき合作していかねばならない。これにはどんな保証があるだろうか。保証は、抗日の合作が戦争後の合作を決定しているという点にある。抗日民族統一戦線中の主要な〔勢力である〕国共両党は、苦難を同じくし、生死をともにし、極力進歩をはかるとともに、長期の努力を通じてのみ、日本帝国主義を撃退することができるのであり、さもなければ、それは不可能なのである。


戦争ののちには、こうして長期にわたって苦難をともにし、進歩を遂げた二つの政党としては、もうすでにひきつづき合作していく土台ができてのである。そして、その時の国内的・国際的諸条件がもっとも合作に有利になるであろうことも、いまから予想できるのである。戦争の合作にはかならずそれぞれの合作段階の内容があるが、戦争後の合作となると、もっと新しい内容があるであろうことは疑いない。しかしながら、戦争中の合作が、戦争後も合作できることを決定するであろうことは、根拠のない予測ではない。


(三) 長期合作の内容と主要な条件


いわゆる長期合作とは長期の民族統一戦線であり、資本家から労働者までのあらゆる階級、国民党から共産党までのあらゆる政党、漢族から苗・瑤の弱小民族に至るまでのあらゆる民族、中央軍から八路軍にいたるまでのあらゆる軍隊、国民政府から陜甘寧辺区政府までのあらゆる政府が、しかも長期にわたっていてはすべてそのうちにはいっており、しかも長期にわたってはいついるのである。抗日民族統一戦線内では、一部のものが長期の戦争のなかで苦難の闘争に耐えきれなくなり、個人の利益が民族の利益を乗りこえた時には、民族の裏切者に変わるであろう。それゆえに、民族統一戦線は、たえずこれらの民族の裏切者を取り除かなければならない。


だが、これらのものを取り除いても、やはり民族統一戦線である。その理由は、すなわち長期合作の主要な条件がまず第一に、敵の戦争の野蛮性と長期性にあることである。敵の戦争の野蛮性が全民族の各階層の生存に重大な危害を与えていることによって、上層階級の生存に重大な危害を与えていることによって、上層階級が他の階級と一緒になって日本に抵抗せざるを得ないところまでのけがりたいことであるが、その他の一部分やその他の階級は、だいたいにおいて同じように圧迫を受けており、反抗しなければ活路はないのである。またこうした野蛮性をもった戦争が長期的であることからして、それはまた合作が長期的であることを決定づけている。


これらは長期合作を決定づける一側面である。しかしながら、もう一つの側面があり、それが合作中の各政党、まず何よりも国共両党に正しい政策をとり、必要な工作を行なうことを求めているのである。それはどのようような政策や工作であろか。それは長期の戦争と長期の合作という基点から出発して規定され、実行される政策や工作でなければならない。それは現在のことを顧慮するとともに将来のことを顧慮し、ある一つの階級のことを顧慮するとともに他の階級のことを顧慮し、ある一つの党派のことを顧慮するとともに他の党派のこともし顧慮し、ある軍隊のことを顧慮するとともに他の軍隊のことを顧慮し、ある民族のことを顧慮するとともに他の民族のことを顧慮するところの政策と工作でなければならない。


そうでないならば、政策はまちがい工作はうまくいかず、足どりが乱れ、合作は長づきなくなるであろう。このようにして、一方では敵の戦争の野蛮性と長期性、他の一方では統一戦線における正しい政策と必要な工作ということから、中国的民族統一戦線は長期的でなければならない、また長期的であり得るのである。これは民族戦線であって、人民戦線ではない。これは戦争後の国共合作を含めたものであり、戦争後はもう一度分裂し、もう一度内戦をやろうとねらう国共合作ではない。


(四) 三民主義と共産主義


三民主義は抗日民族統一戦線と国共合作の政治的土台である。しかし、三民主義と共産主義とはどんな関係にあるのか。共産員は三民主義に対して、どのような態度をとるべきなのか。いまだ一部の人びとは、〔これらの点について〕はっきりと理解していない。そこで、もう一度説明をする必要がある。 一九三六年五月に開かれたわが党の臨時代表大会で、すでに次のような「三民主義を断固として実行する」ことについてのテーゼが採択されている――


「共産党は三民主義に同意するのか。われわれは、同意する、と答える。三民主義は歴史的に変化している。孫中山先生の革命的三民主義は、かつて共産党と合作し、断固として実行するために人民の信頼をかちとり、一九二五―二七年の勝利的な大革命を起こしたのであった。またかつて、共産党を排斥し(清党運動)、逆の政策をとったことによって、人民の信頼を失い、革命の失敗を招いたのであった。現在は、民族的危機と社会的危機が極度に重大であることから、全国人民と国民党的愛国分子が両党合作を切実に要求しているのである。それゆえに、三民主義的精神を新たに整理しなおし、対外には、独立解放の民族主義、対内には、民主と自由の民権主義および人民の幸福を増進させる民生主義の下で、両党が改めて合作するとともに、人民を指導して、断固として実行させることは中国革命の歴史的要請に完全に合致しており、一人ひとりの共産員ははっきりとこのことを認識しておくべきである。


共産党は自己の社会主義と共産主義の理想を放棄するものではなく、それはブルジョア民主主義の段階を経て、社会主義と共産主義の段階に達するのである。共産党は自己の党綱領と政治綱領をもっている。その党綱領は社会主義と共産主義であり、これは三民主義とはちがった点をもっている。その民主主義革命の政治綱領もまた国内のいずれの諸党派よりも徹底している。しかし、国民党が第一回および第二回代表大会で公表した三民主義の綱領と衝突する点はない。だから、われわれはたんに三民主義を拒絶しないだけでなく、断固として三民主義を実行することを望みするし、国民党と一緒にすぐになって三民主義を実行するよう要求するし、全国人民に、三民主義を実行するよう呼びかけ、国民党・共産党・全国人民が一致共同して、民族の独立・民権の自由・民生の幸福という三大目標のために奮闘するよう呼びかけるものである」(『中国抗日民族統一戦線の当面の段階における任務』一一ページ)。


昨年九月二二日、わが党の中央は、国共合作成立を公表した宣言のなかで、また次の点を強調した。「孫中山先生の三民主義は今日の中国に必要なものであり、わが党はその徹底的実現のために闘うことを望む」。


共産主義の政党がなぜこのような態度をとるのか。民族の独立・民権の自由・民生の幸福こそ、共産党が民族革命の段階で実現することをともとめる全般的目標であり、また全国人民が実現をもとめる全般的目標であり、けっしてある一派が単独で求めているものでないことはきわめて明白である。それは共産党誕生以来の文献、その政治綱領を見さえすればすぐに白になろう。それゆえに、過去においては、たんに共産員が断固として三民主義を実行しただけでなく、一九二七年に両党の合作が不幸にして裂したのでも、われわれのすべてのやり方はやはり三民主義に背いてはいなかったのであった。


当時、われわれは断固として帝国主義に反対した。これは民族主義に合致するものであった。われわれは人民代表会議の政治制度を実行するものであった。これは民権主義に合致するものであった。われわれはまた耕すものに土地をという土地制度を実現した。これは民生主義に合致するものであった。当時のわれわれのすべてのやり方は、けっしてブルジョア民主主義の基本範疇である私有財産制をとびこえてはいない。現在の抗戦の段階および戦後の民主共和国の徹底的完成の段階も、ともに三民主義の段階であり、ブルジョア民主主義の性質をもった段階である。


この民主主義段階の任務を徹底的に完成するためには、すべての共産員は、疑いもなく自己の一貫した革命的全般的方針、自己の決議および宣言にしたがい、中国国民党および全国の諸党派、全国の広範な人民と一緒になり、誠心誠意、三民主義を実行すべきである。三民主義の信奉および実行に不忠実なものはだれであろうと、口先と本心とがちがい、表裏が一致しないものであり、忠実なマルクス主義者ではない。中国では、忠実なマルクス主義者は誰でも、同時に現在の実際の任務と将来の遠大な理想との二種類の責任を負っている。そのうえ、現在の実際の任務ができるだけ徹底的に完成されてこそ、はじめて将来の遠大な理想の段階に発展する根拠と土台ができるのだということ――いわゆる将来の遠大な理想とは共産主義であり、これは人類のもっともすばらしい社会制度であり、孫中山先生もかつてそれを実行する必要があること、それこそが将来の社会問題を解決し得るものであること、を認められた。


現在の実際の任務とは三民主義のことであり、これは「国際的地位の平等をもとめ、政治的地位の平等をもとめ、経済的地位の平等をもとめ、政治的地位の平等をもとめ、経済的地位の平等をもとめ、政治的地位の平等をもとめ、経済的地位の平等をもとめ」現段階の基本任務であり、共産党と全国人民の共同要求である。したがって共産党員は、彼らが共産主義を研究するのと同様に、十分に三民主義を研究し、マルクス主義の眼をもって、三民主義の理論を研究し、いかにして三民主義を具体的に実施に移すかを研究し、いかにして正しい三民主義思想によって、人民大衆を教育するかを研究し、これを理解から積極的行動に変え、日本帝国主義を撃退し、三民主義の新中国を建設するために闘うべきである。


(五) 長期合作の組織形態


長期合作を保証するためには、なお合作の組織態の問題を解決しなければならない。われわれはかつて、一主義を反駁したが、過去の歴史からいっても、当時の任務のうえからいっても、中国社会の性質からいっても、いわゆる一党主義は根拠のないもの、実行し得ないもの、通用し得ないものであり、一致団結、抗日建国の大目標に背くもの、百害あって一利もな いものである。それでは、各党が共存して、相互に抗日民族統一戦目に結合されるには、統一された組織が必要であるか。必要である。このような統一された組織がないならば、団結・抗日に不利であり、長期合作には一層不利である。それゆえに、各党は真剣に研究し、長期合作にもっとも適した統一的な共同の組織を探しあてなければならない。次に、われわれはこのことを研究してみよう。 中国の政治経済および諸党派の歴史的特質からして、今日のところでは、抗日民族統一戦線には次のような三種類の組織形態がありうる。


第一の種類は、国民党自体が民族連盟に変わることであり、その独立性を保持することであるが、これは第一次国共合作とは異なる。もしも、国民党が共産党員の〔同党への〕加入に同意するならば、われわれはこのやり方に賛成をとるであろう。まず第一に、われわれはこのやり方に賛成である。なぜなら、これは抗日民族統一戦線の最良の統一的な組織形態であり、抗日建用に有利であるからである。共産党だけでなく、他のいずれの抗日諸党派も国民党に加入することができ、国民党が同意しさえすれば、われわれもけっしてこれに反対しない。


もしこのようにするならば、われわれは民国一三年の合作とは異なったやり方をすることができる。すなわち、第一に、国民党に加入するあらゆる共産党員はすべて公開的でであり、加入党員の名簿を国民党の指導機関に引き渡すである。第二に、いずれの国民党員をも共産党には加入させず、加入したいと要求するものがあれば、大局を考えて、加入しないよう勧告する。第三に、青年党員が国民党の同意を得て、三民主義青年団に加入する場合にも同様であり、秘密の党フラクションをつくらず、非共産党員の入党は受け付けない。こういうやり方をすれば、みんなが大いに安心でき、利益があって害がない。これが第一種類の統一戦線の組織形態である。


第二種類の統一戦線の組織形態は各党が共同して民族連盟を組織し、蒋介石先生をこの連盟の最高指導者に推薦するものであり、各党は平等の形式で相互に代表を派遣して、中央な いし地方の各級共同委員会を組織し、共同綱領を遂行し共同の事務を処理するために努力するものである。これも大変よい形態であり、われわれも賛成である。こうした形態は、われわれがずっと以前に提案したものであるが、残念ながらまだ実行されていないのである。


第三種類の統一戦線の組織形態が現在採用されているやり方であり、成文もなく、規定も設けず、問題が起こってから相談し両党に関係ある問題を解決するものである。しかし、こうした形態は密接さが大変うすく、多くの問題が適切に、かつ適時に解決され得ない。たとえば、多くの重要な政治方針の推進、下級組織間での摩擦問題の調整などはみな固定的組織がないために、ずるずると引き延ばされるのである。したがって、こうしたやり方は長期合作にとっては不利である。しかし、第一種類のやり方がだめだというなら、こうしたやり方も一時的にはやはり採用する以外にはないのである。


要するに、長期戦争における長期の合作では、組織形態の問題も一つの重要問題である。われわれは統一された形態を設け、これを長期合作に役立てることに極力賛成する。


(六) 長期合作中の互助・互譲政策


長期戦争に長期の統一戦線が必要なことはまえにすでに述べたが、これはすべての政策の出発点である。したがって、共産党員はその工作のなかで、彼らが友党との間に生ずる関係のなかで、その時、その場で、この長期性の問題を顧慮しなければならない。長期合作に有利なことは、断固として勇気にやらなければならず、不利なことは断じてやってはならない。


ここに、各党間の互助・互譲の問題が生ずる。互助とは、たとえば各党とも自己を発展させなければらず、強化させなければならないが、いかなる党派も自己の発展・強化をはかる以外に、さらに友党の発展・強化にも賛成の態度をとらなければならないことである。国民党の発展・強化について、共産党員はどのような態度をとるべきなのか。一口にいえば、これを賛助することである。その理由は、国民党の発展と強化は抗日戦争に有利であり、全民族に有利であり、したがって、勤労大衆と共産党にも有利だからということである。それはすでに、さきに述べておいたところである。現在、国民党は三民主義青年団を組織しているが、共産党員はどんな態度をとるべきか。


賛助の態度をとることはもちろんである。われわれは、三民主義青年団が広く発展し、工作をすすめ、同団が輝かしい発展的前途をもつことを希望する。さらに、これを賛助するためにも、われわれは同団の現在のやり方のうちの一部の事項については、修正されることを希望する。さもなければ、好い動機でありながら、好い結果を得がたいということになろう。三民主義青年団は全国の広範な青年大衆の団結救国の統一組織となり、各党・各派・各界の青年個人と青年団体をそのなかに吸収して、青年の世代全体に集団的に民族革命の教育と訓練を受けさせる一大集団たらしめるべきである。したがって、組織的には民主化すべきであり、政治的には、団員の自発的・自覚的精神を発揮し、青年大衆の積極性を発揚するようにすべきであり、これがわれわれの三民主義青年団に対する態度と見解である。


互助とは互いにそこないあうことではない。人をそこない、自分の利益をはかることは個人道徳でも正しくなく、まして民族道徳では一層正しくない。したがって、道徳のない摩擦を起こし、さらにはそれどころか、人を捕たり、人を殺したりさすことは、どんなことがあっても、やってはならないことである。共産党員はこうしたやり方で友党を取り扱うべきではない。もし友党がこうしたやり方でわれわれを取り扱う場合には、われわれはやはりこれを不問に付することはできないのである。


およそ道理にかかなわないことに対しては、厳正な態度でこれにたえることこそ、自分を遇し人を遇する正道なのである。互いに誤りをただしあうことは人間間の美徳であり、政党間においても提唱すべき作風〔工作態度の意。「風」は主観・客観の両面にわたり、一般にもごとのやり方・あり方をさすー訳注〕である。統一戦線内では、どんな互譲があるだろうか。ある。われわれはかつて政治上、ある程度譲歩した。それこそ土地没収の停止、紅軍の編成替え、ソヴェト区域内諸制度の改変であった。


これは一種の政治上の譲歩であり、統一戦線の樹立、全民団結、共同対敵のための必要な歩みであった。われわれの友党も譲歩を行なった。それは共産党の合法的地位などを承認したことであった。こうした団結抗日のための、長期合作のための互譲政策は大いに結構なことであり、きわめて正しいことであり、政治はまじまいな人や、別のねらいをもっている人だけが、共産党は国民党に投降したとか、国民党が共産党に投降したとかと言い得るのである。


現在、われわれはまた統一戦線に属するあらゆる諸党派が、互いに相手の内部で党員を募集したり、支部を組織したり、秘密工作を組織したりしないよう主張している。われわれはこういう政策が必要だと考えている。現在はもちろん、過去とは異なっている。過去の内戦時代には、国共両党は、公然と戦争をしていたほかに、なお相互に秘密の手段で相手を破壊する活動を遂行した。合作成立後は、もちろん、互いに破壊しあう動機や行動があってはならないが、互いに相手の内部で、秘密に党員を募集して支部を組織するようなやり方も、やはり停止して、相互に安心させあうべきであり、そうしてこそ、長期の戦争中の合作という目的にかなうことができるのである。


われわれはいま、正式に国民党の同志に向かって次のように声明する。すなわち、われわれは諸君の内部で党員を募集し支部を組織する活動を停止する。統一戦線がどのような共同組織形態をとろうとも、われわれはこのようにするであろう。だが同時に、諸君もこのようにされることを希望する。双方がとりすぎたのちにおいて、下級党員の間で、これに違反するものがあった場合には、違反した側の上級がその処理の責任を負うものとする。


このほか、双方の同志が接触するには、謙譲・尊敬・協議の態度をとるべきであり、傲慢・軽視・独断の態度をとらないようにして、双方の関係を改善すべきである。これも必要なことである。


われわれが述べたすべての点は、共産党員がまずはじめに実行すべきであり、相手方の一部のものがまだ同様な政策・方法・態度をとっていなくても、われわれはやはりこのようにすべきであり、長くそうしていれば、相手方の一部の急にはまだ理解できていないものも、わかってくるであろう。


共産党員は、国のため、人民のためのあらゆる事業に対して、自己の立場を堅持し、終始変わることなく、日本侵略者にうちかち、新中国を建設する方向に向かって進むべきであり、この方向に背くものは、だれでも共産党員の資格を失うのである。だが、共産党員はまた互助・互譲の精神をもつべきであり、友党を尊重し、友党の同志とおだやかに協議するという態度で問題を解決しようとする精神をもたなければならない、友党の同志がいるところでは、どこでも彼らと相談して、関係事項を解決すべきであり、ひとり決めずべきではない。


こうした精神がなければ、統一戦線も強化することができず、いわ国のたぬ、人民のための事業、日本侵略者にうちかち、新国を建設する目的も、達することができないであろう。したがって、必要な互譲政策を消極的な行為と解釈することは絶対にてきないのである。たんに互助が積極的なものでるだけでなく、互譲もまた積極的なものである。なぜなら、必要な譲歩は両党の合作を強化し、よりよい団結とより大きな進歩を求めるうえで、欠くべからざる条件だからである。


(七) 民主共和国の問題


わが党は、はやくも一九三六年九月に、民主共和国樹立についての決議を公表したとはいえ、また中央の同志が何回となくこの問題を説明したとはいえ、外部では、われわれの主張についてなお多くの不明な点や残っている「らしい」。これは抗戦の前途に関する問題である。抗戦の結果はどうなるのか。いわゆる抗日建国とは、共産党の見解にしたがえば、結局どんな国家をうちたてることになるのか。これは存在している問題であり、もう一度この問題を説明することは、各党各派の長期間の合作についての信念の強化にとって、有益なことである。一言でいえば、三民主義共和国をうちたてるのである。


われわれのいわゆる民主共和国とは三民主義の共和国であり、その性格は三民主義的なものである。孫中山先生の説にしたがえば、それは「国際的地位の平等をもとめ、政治的地位の平等をもとめ、経済的地位の平等をもとめ」国家である。第一に、この国家は民族主義の国家であり、同時にどの外国にも干渉しないのである。すなわち、中国のものと半植民地の地位を改め、それを独立させるのである。だが同時に、それがどの程度まで強く、盛んになろうとも、けっして自分を帝国主義に変えるのではなく、中国の独立を尊重するすべての友好と平等な精神で平和に交際し、共存・互恵をはかるのである。


国内民族には平等の権利を与え、自由意思にまかせるという原則の下で相互に団結し、統一的な政府を樹立するのである。第二に、国家は民権主義の国家である。国内人民の政治的地位は一律平等であり、各級官吏は民選されるのであり、政治制度は民主制であり、人民代表者会議的な国会および地方議会を設立するのである。一八歳以上の公民は、犯罪者を除いてすべて階級・民族・信仰および教育程度の別なく、選挙権・被選挙権をもつのである。国家は人民に言論・出版・集会・結社・信仰・居住・住所移転の自由を与えるとともに、政治的・物質的にこれを保護するのである。第三に、この国家は民生主義の国家であり、それは私有財産制を否定しないのである。しかし、労働者には仕事を与えるとともに、労働条件を改善するのであり、農民には土地を与えるとともに、苛捐雑税、重い小作料、重い利子を廃止するのである。


学生には勉学の条件を与えとともに、貧困者の入学をも保証する。その他の各界にも仕事を保証し、十分にその天分のがばせるようにする。一言にいえば、人びとに衣料・食事・勉学・仕事事を保証するのである。われわれのいわゆる民主共和国とは以上のような国家であり、真の三民主義の中華共和国であり、ソヴェトでもなければ、社会主義でもないのである。


中国がこのような国家に変わるには、誰と闘わなければならないか。日本帝国主義と闘わなければならない。日本帝国主義がわれわれの独立を奪うのであれば、われわれは彼らに向かって独立を要求し、日本帝国主義がわれわれを奴隷にするのであれば、われわれは彼らに向かって自由を要求し、日本帝国主義がわれわれを飢えと寒さに苦しむ状態に陥れるのであれば、われわれは彼らに向かって飯を要求するのである。どのようにして要求するのか。彼らに銃口を向けながら要求するのである。一言にいえば、日本帝国主義を追い出せば、独立・自由・幸福の三民主義の新しい中華民国が出現するのである。


六 中国的反侵略戦争と世界の反ファッショ運動


中国はすでに緊密に世界と一つにつながっており、中日戦争は世界戦争の一部分であり、中国的抗日戦争の勝利は世界から切り離されて孤立することはできない。新たな抗日勢力のなかでは、一時的には一部の外国の援助が減り、中国が自力で起き上がることが重くなるかもしれない。中国はいつでも自力で起き上がることを基本的な立脚点とすべきである。しかし、中国は孤立しているのではない、また孤立してはならず、中国は世界と緊密につながっている事実も、やはりわれわれの立脚点であるし、またわれわれの立脚点とならなければならない。われわれはセクト主義ではないし、またセクト主義であってはならない。


中国はずっと昔から門を閉じることなくなっているが、ましていわゆる帝国主義が戦争によって中国に乱入してきている現在では、中国人全体が世界と中国との関係に関心をよせ、とくに当面のヨーロッパの時局の変動に関心をよせてある。そこで、われわれが当面の国際情勢を分析してみるのも、意義のあることである。


(二) 世界再分割の第二次世界大戦はすでに始まっている


資本主義帝国主義の本性は、たんに自国の人民大衆と矛盾し、植民地・半植民地と矛盾し、社会主义と矛盾しているだけでなく、帝国主義国相互間でも、互いに矛盾しあっていることである。この最後の種類の矛盾が歴史上もっとも尖鋭に現われたのが二〇年前の世界大戦であった。あの時、二組の帝国主義が互いに戦った結果として新しい国際情勢が生まれた。戦後の世界政治経済の新たな発展の結果、世界はまたしても新しい大戦に直面させられた。東洋では日本侵略者が東西四省を侵略し、西洋ではヒトラーが登場した時から、新しい世界再分割の戦争がすでに始まっていた。「ファシズムは戦争である」という理論には、少しの誤りもない。


こうした情勢の下で、一方では、日・独・伊が侵略戦線を結成し、大規模な侵略を実行し、他方では、民主主義国が既得の利益を守るために、平和の名において戦争を準備した。しかし、いまにいたるも実力で侵略者を制裁することを望まず、とくにイギリスの妥協政策は侵略者を助けている。こうした状況の下で、中国の東四省がまず最初に犠牲にし、次いでアビシニアがイタリアに滅ぼされ、スペインでは反乱軍の気焔が助長された。中国はまた、日本侵略者の新たな大規模な侵略をこうむり、最近では、オーストリアとチェコスロヴァキアがまた相前後してヒトラーの手で犠牲にされた。全世界で、すでに六億の人口が戦争にはいり、その範囲はアジア、アフリカ、ヨーロッパ三大陸におよんでいる。これが新たな世界戦争の現在の状況である。


(三) 現在の世界戦争の特質


一方において、日・独・伊ファシスト諸国が断固たる侵略の意志をもち、他方において民主主義諸国が実力制裁を望まず、ことに一部諸国が妥協政策をとっていることによって、新しい世界戦争の現在の状態は、第一次世界大戦とは異なった特質を現わしている。それはまず第一に、中間諸国が侵略されていること、種々異なった戦争形態が採用されていることである。中国・アビシニア・スペイン・オーストリア・チェコスロヴァキアなどの諸国はいずれも半独立国家または小国であり、日・独・伊諸国はこれらの肥肉を選んで、呑併・侵略しているのである。これらの中間諸国を侵略するにあたって、侵略者は三種類の特殊な戦争形態を採用している。


その第一は、日本の中国に対する大規模な戦争であるが、宣戦布告なしに戦うという形態で行なわれている。これは戦争史上に新紀元を開いたものである。こうした宣戦布告なしに戦うという政策をとる目的は、侵略者が民主主義国に制裁の意志のないこと、とくにイギリスの妥協政策を利用し、彼らとの直接の衝突を一時回避して、まず中間諸国を奪取する行動を有利にすることにある。第二は、日・独両国のスペイン侵略の方式であり、反乱軍を助けるというやり方をとっている。これは歴史上のありきたりのやり方の再演であります、歴史上には、こうしたやり方がとられたことがある。第三はヒトラーのオーストリア・チェコスロヴァキア両国侵略の方式であり、この場合、戦争という外面はないが(銃声は聞かれなかった)、戦争の実はあったのであり、強大な兵力が出動し、オーストリアの全部とチェコスロヴァキアの一部を占領するとともに、チェコスロヴァキアのその他の地域はその統制下に帰したのである。これは戦わずして他国を滅ぼすもっとも巧妙なやり方である。


この三つの戦争形態の採用は、いずれも一方において、侵略国自身の力がなお不十分であったため、そのために巧妙な戦争方法をとり、まず自分を大きくすると同時に、諸大国の力をそいだうえで、あたため諸大国と戦おうと企てたからである。さらに、ほの一面は、民主主義国が侵略を制裁したがらず、とくにイギリスの卑怯な妥協政策の結果であり、こうした政策は実際には、侵略者を助け、侵略者が中間諸国を侵略するのに便宜を与えたのである。


(四) イギリスの妥協政策はファシスト諸国がより大がかりな戦争を行なう方向にみちびくだろう


チェンバレンを首班とするイギリスの保守党内閣は、そのいわゆる四大国合作の政策をしたいにすすつつあり、ミュンヘン協定以後、ヨーロッパの政局は暫時逆転する可能性がでている。イギリスの大部分の保守党の政策は、これまでソ連を排斥し、ドイツ・イタリアと妥協することを原則としてきた。彼らはソ連の強大化を恐れ、自国があまりにも早く戦争に引き入れられるのを恐れ、本国の人民運動と植民地の独立運動を恐れるところから、スペイン・オーストリア・チェコスロヴァキアなどの諸国を犠牲にして、ソ連を排撃し、独・伊と妥協するというその企てを成功させようと早くから決意していたのである。


これまでは、保守党内部の不統一、フランス人民戦線の積極政策、国内的・国際的な世論の非難によって、こうした企ては成功しなかったが、現在は、イギリスおよび全ヨーロッパ人民の戦争を望まない気持ちを利用し、フランスのフランダン党の右翼化を利用し、ヒトラーに脅迫されて、ミュンヘン協定を結ぶにいたった。この協定はイギリスの妥協政策の結果であり、もしイギリスがその政策を改めないならば、いきおいファシスト諸国をより大規模な冒険戦争の遂行へとみちびいれることになるであろう。諸大国間の戦争は当分、勃発する可能性はないとはいえ、中間諸侵略ということに限定された過程がなお当分つづくだろうとはいえ、いさいおい最後には、かならずや諸大国を空前の苛烈な戦争にみちびかれるだろう。こうした前途は疑う余地のないものである。「石を持ち上げて、自分の脚を打つ」――これがチェンバレン政策の必然の結果である。


(五) 全世界の多数の人類がしだいに動員されつつある


資本主義諸国側では、経済的全般的危機によって、資本主義はすでにいささかも活路のないところにまでですんでいる。そして、六億の人間の〔参加する〕戦争が全世界を動かしている。新しいより大きな戦争が全人類を脅かしつつある。社会主義国の側では、すべてが輝き、進歩し、興隆している。この二つの逆比例関係のもとで、全世界の大多数の人類が、しだいにどのようにして自己を守り、自己を解放するかの方向をさがしであいて、いままさに、かつてなかったほどの広さと、かつてなかったほどの深刻さで、一歩一歩自己を結集し、また闘争を準備しつつある。第一次世界大戦、二〇年来の社会主義国家の興隆、資本主義諸国の衰退、六、七年来のファシスト国家の侵略戦争、中国の偉大な抗日戦争、スペインの人民戦争ないしはチェンバレンの妥協政策などが、しだいに英・仏などの諸国と全世界の人民を教育しつつあり、それによって彼らは組織と闘争こそが活路であることを理解させられつつある。


もとめる世界のすべての人類が一体となってこそ、全世界の人民と被抑圧民族の統一戦線が存在してこそ、活路があるのだということを理解させられつつある。この全世界の人民の自覚・組織・闘争および統一戦線という偉大な過程が、いままさに発展しつつある。だが、その過程は広範かつ苦難な努力を通じてのみ完成されるのである。ファッショ的な戦争がチェンバレンの妥協政策を脅かしつつあり、最後には偉大な反抗に遭遇するのである。これもまた疑問の余地のない前途であり、ファッショ的な戦争とチェンバレンの政策の必然の結果なのである。


(六) 中国的反侵略戦争と世界の反ファッショ運動の呼応


周知のように、過去においては、民主主義諸国は、ある程度まではみな中国を援助したが、それは主として、それら諸国の人民が中国へ同情をよせたものであった。ソ連の援助はより一層積極的であった。現在では、日本侵略者の進攻が深化したことによって、英米仏対日本の矛盾がさらに深まった。西洋におけるイギリスの妥協政策が東洋に転用される可能性があり、日本の占領地区内におけるその商業を少しでも軽くしようと幻想するために、イギリスは日本とある程度のごとき妥協を行なう可能性があるが、少なくともここしばらくは困難である。これは日本の独占政策の結果であり、東洋の問題と西洋の問題は、当面の具体的な状況ではある程度るのちがいがある。


日本が進攻を強めたことによって、さらにすすんで日・米・英間の矛盾を深め、ソ連と中国の友情が増大した。中・米・ソ三国がさらにすすんで接近する可能性が生まれた。だが、われわれは第一に、資本主義国と社会主義国との区別を忘れてはならない。第二に、現在と将来の区別はなおさら忘れてはならない。第三に、現在と将来の援助しては、過大の希望を抱くべきではない。われわれは、前者に可能な援助をかちとるよう努力しなければならない。前者からの可能な援助をかちとるよう努力しなければならないし、それはある程度まで可能なばかりでなく、事実でもるが、過大な希望を抱くことは適切でない。中華民族の解放運動と外国援助との結合、主として先進諸国および全世界の広範な人民の反ファッショ運動と将来において結合し、自力更生を主として、同時に外国援助獲得の手も緩めないという方針は、こうした基盤のうえにすえられるべきである。


八 党の第七回代表大会の召集


次に、私は、最後の日題、第七回大会の召集の問題を述べよう。 同志諸君。わが党の全国代表大会は、一九二八年に第六回代表大会が開かれて以来、環境の関係から、すでに一〇年間も大会が開かれていない。昨年の政治局会議は、第七回代表大会召集の準備をすることを決定した。しかし、準備工作はまだ完成していない。そのため、今年はまだ召集はむずかしい。今回の拡大〔六中〕全会は、この準備工作強化の問題を討議するとともに、まもなく大会召集を行なうことを決議すべきである。この大会の政治的意義は重大であり、それは過去の経験を総括するのであり、国内的・国際的なポ政情勢を討議し、統一戦線の経験であり、どのようにしてもっとも全民族を結集し、国共両党およびその他の諸党派を結集し、進んで抗日民族統一戦線を強化・拡大するかを討議し、どのようにして長期の戦争と長期の合作のなかで抗線の最後の勝利をかちとるかの方針・方法および計画を討議し、どのようにして全国の労働者階級と勤労人民を動員し、もっとも積極的に抗戦に参加させるかを取り議することであり、そととともに党が、新しい状況のもとで、どのようにしてもっとも党を結集し、自己を強化し、自分らと国民党その他の諸党派および全国人民との連携を強めることによって抗日民族統一戦線の全般的方針を順調に遂行するか、を討議すべきである。


これらの政治的・組織的諸問題のほかに、第七回大会は新しい中央委員会を選挙すべきであり、全党中もっとも威信のある多くの指導的同志を中央委員会に送りこみ、全党の工作に対する指導を強化することである。同志諸君、今度の大会の意義はかくも重大である。それゆえ、拡大六中全会閉会後、同志諸君が、各地に帰って工作にあたっては、ただちに党の発展と党の強化を土台にして、民主的な方法によって、適時に選挙を行ない、もっとも優秀な、党員大衆から信頼される幹部と党員が大会代表に選ばれる機会を与えるようにし、第七回大会が全党の優秀な党員を一堂に会させようにして、大会の成功を保証すべきである。われわれは、今度の全国代表大会がかならずや成功得るであろうこと、かならずや日本帝国主義の侵略戦争にもっとも厳粛かつ強力な回答を与え、日本帝国主義の転がりこませるであろうことを信じる。中華民族はかならず勝利するであろう。


私の報告はこれで終わる。


(尾崎庄太郎訳)

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