EP.1-4 問われる覚悟
こんにちは、Time Bombです。
2月もどうぞよろしくお願いします。
今回のエピソードは、以前から何度も想像の中で描いてきた場面でした。
文章として形にしていく中で、その光景が少しずつ現実味を帯びていく感覚があり、僕自身とても新鮮な気持ちで書いていました。
1月は想像以上に多くの方にこの作品を読んでいただけたと知り、大変嬉しく思っています。
本当にありがとうございます。
これからも瑞葵たちの物語を丁寧に紡いでいきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
21時前、キツいトレーニングが終わった。
瑞葵の運動服は汗で色が変わっていた。
今日はもう遅いため、夕食は自宅へ帰る道中で食べることになった。
軽くシャワーを浴びて私服に着替え、瑞葵たちは車に乗り込む。
夕食は柚木の手作り弁当だ。
おかずも多く彩りも良い。
悠喜「お!ハンバーグがある!」
柚木「結果はどうあれ、昨日はみんな頑張ったものね。今日は悠喜くんがリクエストしたハンバーグにしたわ」
悠喜「柚木さん、ありがとうございます!」
柚木「足りなければおにぎりもあるからね」
(キツいトレーニングの後によくこんなに食べられるな……)
腹部のストレートの痛みがまだじんわりと残っている。
体力も限界で、食欲など湧いてこない。
三人が黙々と食べ始める中、瑞葵はなかなか弁当に手をつけられずにいた。
悠喜「全部、食えよ」
弁当から目を離さないまま、悠喜が言う。
悠喜「長時間拘束の任務が来たら、飯は自由に食えねえ。
食える時に食わねえと体がもたない。
ここにいる以上、組織の人間としての自覚を持て」
瑞葵「……分かった」
ゆっくりと箸を動かし、卵焼きを一口食べる。
それを確認すると、悠喜はそれ以上何も言わなかった。
⸻
夏月「柚木さん、明日の予定はどんな感じですか?」
柚木「明日は諸事情で二人ずつで動いてもらうわ。9時半からトレーニング開始。瑞葵くんは別メニューね」
そして終了時間が告げられる。
翼と瑞葵は15時半終了。
悠喜と夏月は17時半終了。その後、20時半まで勉強。
夏月「……なんで翼と瑞葵は早上がりなんですか?」
柚木「明後日、この二人に任務をお願いしようと思っているから」
その一言で、空気が変わった。
悠喜「ちょっ……ゴホッゴホッ!」
夏月「汚い!ほら、お茶!」
悠喜「うっせえな……サンキューよ」
翼 「そんなに驚くことか?」
悠喜「驚くだろ!なんで瑞葵なんだよ」
翼 「俺がついてるんだから問題ないだろ」
悠喜「そういうことじゃねえ。二人なら俺か夏月の方がいいだろ」
柚木「どうして瑞葵くんじゃダメだと思ったの?」
悠喜「昨日の任務、見ましたよね?
瑞葵は明らかに早すぎる。
悪いけど、仲間って自覚も覚悟も足りない」
翼 「悠喜!」
悠喜「頑張ればどうにかなる話じゃねえだろ」
翼 「今回は、俺から頼んだ」
悠喜「……は?」
柚木「ええ。翼くんからお願いされたの」
悠喜「でも、二人だったら尚更……」
柚木「経験が浅いからこそ、任務で得られるものもあるのよ」
悠喜「まだ戦闘もまともじゃねえのに」
柚木「悠喜くんも、最初はそうだったでしょう?」
その一言で、悠喜は黙った。
悠喜「……分かりましたよ」
腕を組み、視線を逸らす。
(全部、正しい……)
もしここより良い場所があると言われたら。
瑞葵は迷わず逃げるだろう。
覚悟が足りないと言われても、何も言い返せない。
翼 「瑞葵?」
瑞葵「うわ、ごめん」
翼 「戦闘メインじゃない。そこまで不安がるな」
瑞葵「うん……」
柚木「詳細は明日のトレーニング後に話すわ。まずは明日頑張ってね」
瑞葵「分かりました」
悠喜「ごちそうさま。おにぎりもらいます。」
⸻
三人が食べ終わる頃、瑞葵はようやく半分まで進んでいた。
悠喜「ん」
瑞葵「え?」
おにぎりの包みが差し出される。
悠喜「ノルマ、最低二個な」
瑞葵「……分かった」
大人しく受け取り、食べ続ける。
自宅に着くまでに弁当はなんとか食べ切った。
だが、おにぎりは残ってしまった。
入浴前、無理やり二つ、口に詰め込んだ。
次回予告
夜になると、不安が押し寄せる。
どうしてここにいるのか。
いつまで、この生活が続くのか。
そして――母は、迎えに来てくれるのか。
瑞葵が今も信じ続けている、たった一つの約束。
それは、過去の病室から始まっていた。
失われた記憶。
告げられた真実。
それでも、少年は希望を手放さなかった。
「大丈夫。お母さんは、きっと迎えに来てくれる」
瑞葵の原点が、明かされる。




