久しぶりに
「ラヴァンは知っているとは思うが、こいつが俺の幼馴染であるローレル・ラウルスだ」
「ローレル・ラウルスなのです。よろしくなのです。特にハルハルとは仲良くしたいのですよ。モフモフっと」
ローレルと再会を果たした翔は自分の仲間達にローレルを紹介するとラヴァンがローレルに歩み寄る。
「ご無事で何よりです。ローレル様」
「はいなのです。お久しぶりですね、ラヴァンさん」
ネイション王国で魔法の師事を受けていたローレルは再度ラヴァンと再会して本人の変化に驚いた。
「ふふ、お城にいた頃よりもいい顔してますよ?」
「………………………………その節は本当に申し訳ございませんでした」
最弱のクラスで有名な魔術師である翔を見下していた城仕えの頃は色々と余裕もなく、酷い態度を取っていた自覚はあるも、ローレルは首を横に振った。
「いいのですよ。これからは仲良くしてほしいのです。ララー」
「はい、勿論です………………………ところでララーというのは?」
「あー、こいつは気に入った奴は愛称で呼ぶだけだ。気にすんな」
翔がローレルの愛称呼びについて説明すると、ラヴァンはローレルに気に入られたことに気付く。
「改めてよろしくね、ローレル」
「よろしくお願いします、ローレルさん」
「はいなのです。サーちゃん、ハルハル」
つい先ほど出会った二人は改めて挨拶をすると、エルティがローレルに頭を下げる。
「私の名前はエルティと申します。ローレルさん、是非ともショウさんとの子を授かることをお許しいただきたく申し上げます」
「OKなのです!」
「何言ってやがる!? お前等は!!」
初対面の挨拶で子を授かる許可を貰う為に懇願し、それをあっさりと了承するエルティとローレルに怒鳴りつける。
「翔こそ何を言っているのですか? エルフですよ、エルフ。エルフと言えばエロ同人誌! エロ同人誌展開するべきでしょう!? どうしてしないのですか!? したらそれをネタに日本に持って帰って……………………ハッ、もしかして翔は煌と既に………………………腐腐腐、それはそれで………………………」
「お前の脳みそは腐ってんのか!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い!! ぐりぐりダメです~~~!!」
翔はローレルのこめかみを両手の拳で挟んで抉った。
そんな二人のやり取りをラヴァン達は啞然とする。
自分達の知っている翔とはどこか違う。素の面を晒しだしているようなそんな表情でローレルの頭をぐりぐりする。
「触手プレイでも全然OKなのです!!」
「まだ言うか!? このクソオタクは!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い!!」
どこまでもオタク魂を見せつけるローレルに翔はお仕置きを続行する。すると、廊下から激しい足音と共に翔達がいる部屋の扉が開かれる。
「ローレル!! 妾を置いて何をしておるか!?」
「あ、カオドン」
扉を開けて入ってきたのは銀髪の美幼女。蒼い瞳の色に頭部には竜の角が二本生えて、腰には白い尻尾が見え隠れする幼女が堂々とした態度で部屋に入ってくる。
「ええい! そのカオドンという意味の分からん呼び方はやめいと何度申せばわかる!! 世界でも数える程度しかおらぬ伝説の竜の一体、古代竜のことカオス・ケイネス・ドラゴンは妾のことよ!! わかればいい加減にちゃんと呼ぶがよい!!」
「登場と同時の自己紹介ありがとうなのです、カオドン」
「だからカオドンと呼ぶでないわ!!」
ローレルの天然っぷりに憤る古代竜。
この世界でもローレルの天然に振り回される犠牲者が出ていた。
「むぅ、もしやそこのお主はローレルがよく言っていた人間族の雄の一体か?」
「この馬鹿が何を言っていたのかは知らねえが、恐らくはそうだ」
気持ちが静まり、ようやく翔達の事に気付いたカオドンの瞳が細くなる。
「………………………………お主、本当に人間か? お主から神格の気配を感じる………………いや待て、何を支払った? その力を得る対価はそれ相応のものであろう?」
一目見ただけで翔がどのようにして力を手に入れたことに気づいた。
流石は古代竜だけその洞察力には驚かされた。
「それを答える義理はねぇ」
「………………………………まぁよい。妾とてせっかくの再会に水を差す真似はせぬ」
せっかくの再会に余計な追言はしないカオドンに翔は「フン」と鼻を鳴らす。
「本来なら妾の友を悲しませた罰として一発きついのを入れてやろうと思っておったが、その必要もなさそうじゃな」
チラリとローレルを見るカオドンはローレルの目元がまだ薄っすらと赤くなっていることにも気づいた。
一発きついのを入れるよりも辛い罰を受けた翔にカオドンは大人しく引いた。
「それよりも妾は腹が減ったぞ。さっさと飯にしようではないか」
「はーいなのです。翔達も一緒に食べましょう」
「………………………………そうだな」
時間的にもちょうど飯時。拒む理由もない翔達はローレルとカオドンと共に食事を食べに行く。
その夜、翔は部屋の寝台で横になり、眠りにつこうとした時、ノック音が聞こえた。
「翔。起きてますか?」
「ああ」
ローレルの声に翔は起き上がって扉を開けるとそこには薄着で枕を持ったローレルが立っていた。
「久しぶりに一緒に寝ませんか?」
「ガキか…………………。寝たきゃラヴァン達のところへ行け」
「翔とがいいのです。ダメ、ですか?」
「………………………………今回だけだぞ」
「はいなのです」
涙目で訴えられて渋々折れた翔はローレルを部屋に招き入れて同じ寝台で横になる。
たいして大きくはない寝台で互いの肌は密着し、体温が伝わってくる。
「こうして一緒に寝ると昔を思い出しますね?」
「ああ、よくお前の涎で俺と煌の服を台無しにされたな」
「それは言わない約束ですよ!」
「そんな約束をした覚えはねえよ」
懐かしき子供の頃の思い出。それは今も三人を繋ぐ大切な絆。
「煌は、この街に来るのでしょうか?」
「俺とお前を誘導させてあいつだけ誘導しないとは思えねえ。恐らくだが煌もこの街に向かう様にブランクが誘導している可能性は高ぇよ」
「翔。ブランクじゃありません。まっくろくろすけです」
「どうでもいい」
変な訂正を入れてくるローレルを一蹴して翔は言葉を続ける。
「少なくともまたあいつが俺達に接触してきたら、その時に訊きゃいい」
「そうですね………………ふぁ~、ん~、眠いのですよ」
眠たそうに欠伸をするローレルに翔は小さく息を吐く。
「なら寝とけ。明日は明日でやる事だってあるだろが」
「は~いなのですよ………………………」
翔の言葉に従って翔の腕を枕にして眠りにつくローレルに翔は溜息を吐く。
「たくっ、ちったぁ警戒しろってんだ」
そのあまりにも無防備な姿に呆れるも、その表情はとても和らいでいる。
「この天然が。襲われも文句言うんじゃねえぞ?」
口ではそう言うも手を出すことはしない翔も重くなっていく瞼に従い、眠りにつく。
そして朝にはローレルの涎がたっぷり染みついた服を見て、ローレルを叩き起こした翔だった。




