新しい仲間
「はい。ショウ、あ~ん」
「………………ガキじゃねえ。自分で食える」
「仲間同士のスキンシップは大事なことだよ?」
次の街を目指して翔達は野営中に食事を取っているのだが、サクロが先ほどから自分の分の食事を翔に食べさせようとしていた。
「ならあいつにしてやれ」
「わかってないな。好きな人にするから意味があるんだよ?」
微笑しながら堂々と言ってのけるサクロに翔は額に手を当てる。
どうしてこうなった? と自問自答する。
前の街で冤罪をかけられた聖職者であるサクロを強引に救った翔。その結果がサクロから告白を受ける羽目になった。
それからというものスキンシップを称してあれこれとしてくる。
今のように食事を食べさせようとしたり、濡れタオルで身体を拭こうとしてきたり、寒いからと暖を取る為と抱き着いてきたりと色々だ。
積極的にアプローチしてくると言えば聞こえはいいが、されている方の身としては心身共に疲弊するばかりだ。
「サクロ様! ショウ様が嫌がっております!」
二人の間に割って入るようにラヴァンは声を荒げるもサクロは平然とした対応をする。
「本当に嫌がっているのなら流石にしないよ? それともしてはいけない理由でもあるのかな?」
笑みを浮かばせながら挑発的に告げる聖職者とむっとする魔法使い。
矛先が自分からラヴァンに向けられたことをいいことに翔は自分の食事を口にする。
「ショウ様にはもうローレル様という心に決めた方がおられます!」
「ブッ!?」
だが、ラヴァンのとんでも発言に口に入れた物を噴き出した。
「で、でまかせ言うんじゃねえ!! だ、誰があの天然女をことを……………………ッ! ぶっ飛ばすぞ!?」
「そんな初々しい反応を見せれば誰だってわかりますよ」
「うるせぇ!!」
ぐわっ、と吠えかかる翔のあからさまな態度に若干呆れつつもその初々しい反応がまた可愛く感じる。
「それがどうかしたの?」
「え?」
予想外の返しに呆気を取られるラヴァンにサクロは堂々告げる。
「ショウがその女性がどうしようもないぐらいに好きなのはわかった」
「好きじゃねえ!!」
「ショウはちょっと黙ってて。なら、その人以上に私のことを好きになってもらえるように努力すればいいだけの話だよね?」
「そ、それはそうでしょうが…………」
「私もそのローレルさんがどんな人か全然知らないよ? だけどそれを理由に諦めるほど簡単じゃない」
サクロは自分の胸元に手を当てながら言う。
「私は私なりのやり方でショウを振り向かせてみせる。ただそれだけ」
翔に対する自分の素直な好意を意思表示するサクロに唇を尖らせるラヴァンに乱暴に頭を掻きむしる翔。
「だからこれからも二人の旅に同行するからね? 改めてよろしく」
「……………………足を引っ張ったら速攻で捨てるからな」
「その心配はないよ。私、これでも強いから」
悪態を吐くも自信満々で返すサクロに一度舌打ちして飯をかき込む。
「もの好き共め…………」
食事を食べ終えて誰にも聞こえない声量でぼそりと言った。
サクロには既に二人の旅をする目的、そして翔が『勇者召喚』で召喚された異世界人だということは承知済みだ。その話を聞いた上でもサクロは共に行動する道を選んだのだ。
ラヴァンに続いてこんな男に惚れるもの好き達に呆れる。
「……………………まぁいい。とにかく方針は変わらねぇ。次の街でも煌とローレルの二人の行方と古代魔法の情報を集めんぞ」
「はい」
「わかったよ」
仲間が増えたとしてもやることは変わらない。
だが、一つだけ焦りと不安がある。
前の街でも二人と古代魔法の情報は何一つ入らなかった。
次の街でも情報が何一つ入らなかったらその次の街でも情報が入るかわからなくなる。
それ以前に二人の行方はともかく古代魔法の情報が少なすぎる。
城に滞在した時も前の街でも大した情報を手にすることが出来なかった。
「……………………古代魔法がありそうな在処、ダンジョンとかあったらわかりやすいんだが」
「ありますよ?」
「あるよ?」
「……………………今、なんつった?」
異世界定番のダンジョン。漫画などではそういうところには秘宝や未知の力があるからと、愚痴るようにぼやいたはずが二人はあっさりとダンジョンの存在を肯定した。
「いえ、ですから魔窟ありますよ? この世界のあらゆる場所に」
「危険だから冒険者でもそうは入らないけど、大昔の人が作ったものらしいよ?」
二人の言葉に翔は頭が痛くなった。
まさかこんなにもあっさりと古代魔法の手がかりが見つかるとは思いも寄らなった。




