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伝説のレフリー津久田健次郎、悪役令嬢に転生す。  作者: 南蛇井


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66/82

学院内の各勢力が“彼女の登場”で揺れる

セラフィナが学院へ姿を現したその瞬間から、

まるで静かだった池に巨大な石が落ちたように、

王国の内部は一斉に波立ち始めた。


彼女は何もしていない。

ただ微笑み、ただ情報を求め、

ただ歩いただけ。


だが――それだけで充分だった。


●聖務院


聖務院の廊下では、

普段は威厳を崩さない高官たちが、露骨にざわめいていた。


「帝国の神統院が……学院に?」

「神意の解釈主導権が奪われるぞ」


セラフィナが一歩足を踏み入れただけで、

彼らは自分たちの権威の喉元に、

鋭い棘を押しつけられた気分になっていた。


実際、彼女は神の名を掲げて行動する。

それは聖務院の領分を踏みにじる“他国の聖域侵犯”に等しいのだ。


●学院(学術派)


学院の研究棟では、

魔術学者たちが露骨に眉をひそめていた。


「宗教勢力が学院を荒らし始めた……」

「しかも帝国か。最悪だ」


彼らは宗教的解釈より“事実”を重視する。

セラフィナのような存在は、

学問を曇らせる不確定要素以外の何物でもない。


しかもユールグ(北方連邦)という学術派の強者が既にいる。

そのため学院内は、

宗教派(帝国) vs 学術派(連邦) の情報戦の様相を呈し始めた。


「……ユールグ殿、帝国の資料にも目を通したのですか?」

「必要ない。事実だけを見ている。」


静かな火花が散る。


●貴族派


一方、学院内の貴族学生やその親族は、

別の意味で肝を冷やしていた。


「帝国が動いた? 王国の内政を探っていると?」

「学院から政治不安が広がるなど……!」


彼らにとって学院とは“保身の砦”。

そこへ国外の鋭利な刃物が持ち込まれた以上、

安心などできるはずがない。


おそらく一番怯えているのは――

王太子周辺だろう。


●政治派


そして国政の中枢では、

官僚たちが深刻な顔で報告書を机に叩きつけていた。


「レティシア・アーデルハイト――

 この少女の存在が、いまや国政不安の種だ」


「一介の学院生だぞ?」

「だが、帝国と連邦が嗅ぎつけた。

 その時点で、もう“ただの学生”ではない。」


レティシアの名前が、

王国の政治資料の“重要因子”欄に記されてしまう。


●そして――


セラフィナただ一人が学院に来ただけで、

国内勢力はすべて軋み始めた。


誰もが薄々察していた。


この軋みはまだ序章でしかない。


そして――

その中心に立たされている本人、レティシアだけが、

まだ自分の影響の“規模”を理解していない。

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