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71 スキルのおさらい!

昨日より第三章が始動しました。

クレアとの旅の最中、彼女の強さを目の当たりにしたパルトは、自分を見つめ直すことに。


おさらいです!

『まず、基本的な属性スキル及び身体強化系スキルは以下のとおりです。』



ガイドさんがそう告げた瞬間、頭の中にスキルが描かれる。


正直驚いたが、そもそもガイドさんの存在自体が謎なので今さらかと思えば、すぐに落ち着きを取り戻せた。


改めて、まずは基本スキルだ。



【水術スキル】

・ウォーターボール:水の球を撃ち出す。

・ウォールウォーター:水の壁を作り出す。


【風術スキル】

・ウィンドカッター:風の刃(1本)を撃ち出す。

・エアシールド:風の壁を発生させる。

・空歩:魔力で空気の足場を構築する。

・カマイタチ(烈風刃斬):複数の風の刃を撃ち出す。


【身体強化スキル】

・身体強化:魔力操作による全身の強化

・駿歩:両脚を強化することで移動速度を跳ね上げる。

・駿影:駿歩による全力疾走中に切り返し、方向転換を繰り返す移動式撹乱スキル。


【回復系スキル】

・ヒール(快治癒):傷、疲労を和らげて治す。



『水術や風術などの基本的なスキルは、手など身体の部位からでも放出できますが、武器を媒体にして撃ち出すことも可能です。これらについては、今後の鍛錬で幅は広がると思われます。次に合成スキルです。』



わたしは、頭に描かれる言葉をなぞりながら、ガイドさんの説明に静かに耳を澄ませる。



【氷術スキル(合成スキル)】

・乱れ狂う雹(ヘイルストーム):発生させた多氷柱から無作為に雹の弾丸を撃ち出す。効果範囲大。

・氷塵華斬(フロストダストスラッシュ):抜刀術と合わせたスキルで、刀に氷を纏い、斬り抜いた瞬間に爆散させる。爆散した氷は敵の体に纏わりつき、凍傷を誘う。



『氷術について、現状では発動条件を待たせておりません。ただし、感情が昂った時などに発動条件を満たすことがあるため、鍛錬を続けていけば使いこなせるようになるかと思われます。』



何だか言い方が先生みたいな言い振りだなと思いつつ、ガイドさんの指摘には納得していた。


これまでも師匠がやられた時や、アナスタシアを守ろうとした時、わたしは氷術を発動している。


だが、それ以外……通常の戦いにおいては、まだ氷術を自分の思いどおりに発動できないのが現状だ。



(本来なら、師匠と時間をかけて極めていくつもりだったのに……)



ミッドウェルの襲撃により、それは叶わなくなってしまったことが悔やまれた。


でも、悔やんでいても師匠は帰ってこない。


これからは1人で頑張るしかないのだ。



『……』



何だかガイドさんの雰囲気がおかしいなと思ったが、その理由にすぐに気づいて訂正する。



「ごめんごめん。ガイドさんと一緒にね。」



わたしがそう訂正すると、ガイドさんは機嫌を直してくれたようだ。



『……はい。では、続いて固有スキル及びその他についてです。』



【固有(ユニーク)スキル】

・脱兎如(ライトニングラビット)

全ての身体能力を強化する。使った後は数日動けなくなるほどの反動を受ける。効果持続時間1分30秒。


【不明】

・神気(黒)※※※



『【脱兎如(ライトニングラビット)】については説明済みですので、割愛します。なお、【神気】については現時点で解析不能です。』



ガイドさんの説明に、わたしは課題を感じずにはいられなかった。


この2つの力については、現状ではわからないことだらけ……実戦で使えるとは思えない。


【脱兎如(ライトニングラビット)】は時間制限付きのスキルで、効果が切れた瞬間、動けなくなるほどの激痛が体を襲う。


エルバ戦で使えるようになった新たな力で、その窮地を救ってくれたわけだが、その反面で時間制限のリスクを実感させられた場面でもあった。


今後使うとしても、もし相手の力を見誤ってしまい、戦いの最中で効果が切れたりしたら、あとはただのサンドバック状態だ。


わたしはすぐに殺されてしまうだろう。



使い所はしっかり考えないとな……。



そう認識を改める。



そして、もうひとつの力である【神気】……。


この力、かなり強力であることは間違いない。


ミッドウェルを退けることができたのも、この力のおかげであるが、そもそもどういうものなのかをわたし自身が理解できていないのだ。


ガイドさんの説明でも【不明】となっているし、何でも知っているガイドさんが解析不能と言うのだから、現段階では使わずに封印しておこうと考えている。


しかし……この力は勝手に発動しようとする時がある。


特に、わたしの心が落ち込んだ時や、相手に負けそうだと感じた時にこの力は顔を出す。


そして、わたしに言うのだ。


自分に正直になれ……負けたくないなら、力を使え……と。


まるで悪魔の誘いのように頭に響くその声の誘惑に、わたしは幾度となく負けそうになったが、何とか使わずに済んできた。


だが、これから先も抑えられるかと問われれば……その答えは"わからない"だった。



だが、実際に悪いことばかりでもない。


この力のおかげでミッドウェルを撃退し、トゥウランではエルバとスラックを退けることもできた事実は変わらない。


この2つの力をどうにか使いこなすことができれば、わたしはもっと強くなれるはずだ。


そう考えたら、自然と拳に力が入った。



『【神気】については、引き続き調査、解析を続けます。ちなみに【脱兎如(ライトニングラビット)】は、自身のレベルを上げることで、効果持続時間を伸ばすことが可能です。』



わたしの思いを汲み取るように、ガイドさんが説明を追加してくれたので頼もしく感じる反面、わたしはひとつ気になっていたことを思い出した。



「そういえば、"レベル"って言葉を前にも聞いたんだけど……それって何なの?」



師匠との鍛錬でも、そんな言葉は聞いたことがなかった。


父からもいろいろなことを教わったけど、そんなことは教えてもらっていない。


ガイドさんは、そんなわたしの疑問に静かに応える。



『レベルとは、その個体の成熟度を示す数値……と捉えてもらえれば良いかと……。』



成熟度……?


それが率直な疑問だったが、わたしが疑問に思うことをわかっていたかように、ガイドさんは説明を続ける。



『成熟度とは、その個体が肉体的、精神的に発展し、洗練された状態に達しているかどうか……その度合いを示す指標です。』


「……ん……それは年齢とは違うの?」


『まったく異なります。そもそも、年齢とは生まれたその日から1年間を何度繰り返したのか……それだけをカウントしたただの数値です。確かに、年齢を重ねれば肉体は成長していきますが、精神的に成長するかどうかはその個体次第ですから、年齢が成熟度を指し示すとは言い難い……と言えます。』



そう言われると、年齢を重ねても精神的に成長できない者がいることも確かだなと思った。



『レベルは、肉体的、精神的なステータスが上がることで上昇します。例えば、あなたはダビドから魔力の基礎を学び、スキルを学び、肉体的にも精神的にも成長しました。それがレベルの上昇に繋がった……と言えばわかりやすいでしょうか。』



ガイドさんの説明に少し混乱しつつも、今自分が理解したことを反芻してみることに。



レベルとは、その者の成長度合いを示す指標であり、レベルが上がると肉体も精神も成長する……だったかな。


しかし、それはガイドさんにすぐ否定された。



『それは違います。肉体的、精神的な成長が見られると、レベルが上がるのであって、レベルが先に上がることはありません。』


「ん……でも、レベルが上がって強くなることと、強くなったからレベルが上がることの何が違うの?」



どちらも同じように思えるんだが……。



そう感じずにいられないわたしに対して、ガイドさんはこの話の核心的な部分を話し始めた。



『レベルとは、この世界に評価されることで初めて上がります。その個体の何らかの評価(ステータス)が上がり、世界がそれを認める……それがこの世界のシステムであり理なのです。』



木の枝を拾う手が止まった。


世界に評価される……とは?


世界のシステム……とは?


意味不明な言葉の羅列に、わたしの混乱はピークに達していた。


だが、ガイドさんは話をやめなかった。



『これは、この世界に生を受け、生きてきたあなたにとって、とても理解し難い話だと思います。あなたのお父上ですら、絶対に知り得ない世界の事実ですので……。ですが、あなたはダビドからわたし……【深慮遠謀(ガイド)】というスキルを授かり、世界の枠組みを知る権利を得ました。あなたはこの事実を理解し、受け入れる必要があります。それがあなたの責務なのです。』



師匠から授かった……?


世界の枠組みを知る……?


それが……わたしの責務……?



いよいよ訳がわからなくなってきた。


わからないことがわからない。


今のわたしの心情を正しく表現するならば、その言葉になるだろう。


……が、師匠から授かったという部分だけは、わたしの中ですんなりと受け入れられていた。



『理解されるには苦慮されると思います。しかし、これは受け入れるしかないのです。今は無理に理解せず、事実だけを受け入れましょう。これからゆっくりと理解していけば良いかと……。』



そう告げるガイドさんの声色は、どこか優しげだった。


まるで、師匠が喋っているような……そんな感覚に陥り、わたしは静かに頭を縦に振る。


ガイドさんの雰囲気は、それに満足したようだった。




まったく、自分のスキルのおさらいのつもりが、大変な事実を告げられたものだと、わたしはため息をつく。


今聞いた話を全部飲み込めたわけではないが、どこか受け入れられている自分がいて、それがとても不思議な感覚だ。



そんなことを考えながら、半ば呆けた感じで止まっていた手を再び動かし、わたしは薪拾いを再開したのであった。

ダビドから授かったスキルであるガイドさん。

その存在により、パルトの力は思わぬ方向へと…転がり始めているようです。


今回もご愛読いただき、ありがとうございました!

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