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ガイドさんが見つけた相手の弱点!
果たして本当にうまくいくんでしょうか!
「じゃ……弱点!?」
わたしはガイドさんの言葉に混乱していた。
新たなスキルを得たから使えと言われ、ガイドさんの言うとおりにスキルを発動させたまではいい。
だが、ガイドさんはそれらのスキルを駆使して、相手の弱点を見つけたと言うではないか。
ただ見ていただけで……?
視界の中に無数の円たちが映し出されて、動き回っていただけ。
わたしにはそうとしか思えなかった。
だが……
『そうです。スラックの【ジャガーノート(鉄鋼装・破壊神)】による装甲はかなり頑丈ですが、一部だけ薄いところが存在しています。そこを狙えば、あの装甲を破壊できる可能性があります。』
ガイドさんはそう告げるのだ。
(ちょっ……ちょっと待ってよ!本当にそれがあいつの弱点なの!?)
どうしても信じることができず、わたしはそう尋ねるが、ガイドさんは自信満々に言葉を綴る。
『もちろんです。スキル【アナライシス(分析)】によって、スラックに関する様々な情報を得て、スキル【アナライズ(解析)によりその情報を解析しましたので。』
(いやいや……そう言われても……。たったそれだけで、相手の弱点を見抜けるものなの?)
『少し違います。相手の弱点をと言うよりは、スキルの弱点……魔力操作の澱みを見極めただけです。』
(澱……み……?)
初めて聞く言葉に、わたしは首を傾げた。
『はい。スキルは魔力操作で練り上げた魔力を、属性因子に紐づけて発動させます。魔力操作とは"循環"と"操作"を行い、魔力を練り上げることです。』
それは師匠から学んだことなので、ちゃんと覚えている。
(スムーズな魔力操作は、スキルの精度や威力を上げるんだよね。)
『その通りです。ですが、完璧な魔力操作を行える者は、なかなかおりません。誰しも、自分では気づかない癖や先入観などを持っており、それが魔力操作に現れる……ひいてはスキルの澱みを生みます。』
(……その澱みが……弱点になるってこと?)
『はい。個体名スラックの【ジャガーノート(鉄鋼装・破壊神)】の場合、鉄鉱術による金属精製、身体装甲、硬化を行うために魔力操作を行っています。ですが、"身体装甲"に対する魔力配分だけが、不十分なようです。』
(だから、首の裏……後頸部の装甲が薄くなっている?)
『その通りです。おそらく、身体装甲に回す魔力が足りないのか、もしくは硬化に対する自信の現れではないかと推測します。』
そこまで説明してもらって、わたしはやっと理解できた。
魔力操作の澱み……。
わたしも前に、師匠に指摘されたことがある。
わたしの自慢の脚力を、風術スキルで強化した高速移動。
その訓練を行っているときに、上手くいかないことが続いて悩んでいたが、それは自分の脚力への自信がスムーズな魔力操作を妨げているのだと言われたのだ。
それが、今ガイドさんが言ったスキルの澱み……そういうことなのだろう。
ガイドさんも『そうです。』と言ってくれていて、なぜか嬉しそうだった。
わたしはスラックへと視線を向けた。
大技を放ったスラックは、少し動きが鈍くなっているようだ。
ここからでは見にくいが、奴の表情には疲労が見える気がする。
そうだ……奴の魔力だって無尽蔵ではないはずなんだ。
あれだけ強固な装甲をスキルで顕現しながら、さらに広範囲への攻撃スキルを放ったのだから、少しは疲弊しているはず。
わたしは後方をちらりと確認した。
先ほどのスラックの攻撃によって、吹き飛ばされ意識を失ったアナスタシアがいる。
その姿を見て、迷っている暇はないと覚悟を決めた。
(首の後ろ……そこを突けば、奴を倒せる可能性が……)
『あくまでもスキルを破るだけですので……』
(わかってるよ……!!)
わたしは目を閉じて、全身に魔力を展開した。
魔力操作によって身体能力全てを強化、さらに残りの魔力で脚力を最大限まで強化する。
(まずは首の後ろ……それで装甲を破壊できたら、そのまま奴へわたしの全てを叩き込む……。)
わたしは閉じていた目を開くと、魔力を一気に解放した。
爆発的な推進力は、地面を抉るほどのスピードを生み出した。
一瞬でスラックの目の前へと移動すると、わたしに気づいたスラックが目を見開いた。
「てめぇ……!」
「遅い……!!」
スラックがわたしの存在に気づいたときには、すでにわたしは【駿影】を発動していた。
一歩一歩のステップはこれまで以上に力強く、地面を抉り、空歩による足場すらも破壊する。
抉り、壊し、抉って抉って、壊して抉って……
何度も跳躍と切り返しを繰り返したのち、わたしはスラックに対する斬撃の波状攻撃を繰り出した。
「ちょこ……まか……と……!!」
金属音が鳴り響くわ、
攻撃を仕掛けてくるわたしを振り払おうと、スラックは両手をブンブンと振り回す。
だが、その程度でわたしは止まらないし、奴の攻撃が当たることもない。
「カマイタチ(烈風刃斬)!!!」
波状攻撃の最中、振るわれたスラックの腕をかわしざま、風術スキルを放つ。
「ぐっ……」
それが右側面に着弾すると、スラックはその反動でバランスを崩し少しよろけた。
『好機です!』
「うん!!」
よろけたスラックに隙ができた。
わたしもガイドさんもそれを見逃さず、一気に畳み掛けに行く。
瞬時に背後へと移動。
そこで見つけたのは、首の後ろにある小さな亀裂。
(これが……!!)
『その位置が奴の弱点です。そこへスキルを撃ち込んでください!』
ガイドさんの声が、いつもより大きくなったことには驚いた。
だが、今やるべきことは驚くことではなく、あの亀裂に……!!
「カマイタチ(烈風刃斬)!!!」
わたしが握る蒼い刀身が振り抜かれた瞬間、数本の深翠の刃がスラックの首裏へと走る。
「ぐぁ……!!」
これまで顔色ひとつ変えなかったスラックだが、初めて呻き声を上げた。
そして、見えたのは全身に駆け抜ける無数の亀裂。
その亀裂によって、スラックが全身に纏う金属の鎧が、音を立てて剥がれ始めたのだ。
(ガイドさんの言うとおりだった……!)
驚くわたしの様子に、ガイドさんは鼻が高そうに『そうです。』と呟いた。
「てめぇ……!何をしやがったぁ……!!」
反対に悔しさを溢すスラックだが、すでに鎧はほとんど崩れてしまっている。
その代わりに、再び黒ずくめの姿を露わにしたスラックは、こちらを殺す勢いで睨んでいる。
だが、その視線に躊躇することなく、わたしは【駿歩】を使って、瞬時にスラックの後ろを取った。
「な……っ!?」
すぐにわたしの気配に気づいたスラックだが、こいつに反撃させるつもりはさらさらない。
でも、言ってやらないとすまないわたしは、奴の背後からポツリと呟いてやる。
「これで……終わり……。」
「くそ……がぁぁぁ!!」
悔しさを撒き散らすスラックをよそに、わたしは剣を持つ右手に水属性、左手に風属性を纏った。
2つの魔力を練り合わせると、それら魔力が体全体に染み込んでいく感覚を覚える。
そうして、解き放った魔力は氷を纏い、辺りを氷霧で覆った。
すぐさま納刀した剣の柄を握り、瞬時に抜刀。
「氷術・冰刃一閃!!!」
氷術スキルを奴の背中へと叩き込んだ。
「ぐは……っ!!」
鈍い音とともに、肉を断つ感触が手に伝わってくる。
そのまま思いっきり剣を振り抜けば、、スラックの体はわたしの目の前から一瞬で消えた。
そして、あとから聞こえてきたのは激突音。
スラックが吹き飛ばされて、壁に激突したら鈍い衝撃音であった。
今回もご愛読ついに謎の男スラックへ一撃を見舞えましたね!
ここから反撃開始となるのでしょうか!
ご期待ください。




