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118 幕間 〜兎人族の女の子〜

更新が遅れてすみません!

携帯変えたら上手くできず、、、言い訳です。


今回は3章の幕間です!

ゼルケイでの最後のシーン!お楽しみください!

スラムの出口まで、ミケルとタマルは見送りにきてくれた。


タマルは母親が助かると理解して、嬉しさから泣いていたが、今はわたしたちとの別れを惜しんで泣いている。


でも、対照的に夕日に照らされたミケルの表情には、出会った頃の絶望はすでになく、決心のようなものが浮かんでいた。


そんな彼女が、静かに口を開く。



「パルトさん、クレアさん。私は決めたよ。ただ守られるだけの子供じゃなく、あなたたちみたいに、誰かのために戦えるくらい強くなるよ。次に会う時は、胸を張って『頑張ったよ』って言えるように。」



その言葉に、わたしは少し驚いた。


でも、すぐに彼女の意図を汲み取り、彼女の頭を優しく撫で、短く、けれど温かい言葉を贈る。



「ん……信じてる。ミケルならきっと、この街の新しい光になれる……。」



ミケルの目に涙が浮かぶ。


でも、彼女はそれを強く拭い去る。


そんなやりとりを見て、クレアも満足そうに頷いていた。




その後、わたしたちが見えなくなるまで、姉妹は大きく手を振り続けていた。


わたしは思う。


冷たい風の吹くスラム街だけど……今、確かな"明日"が芽吹いたのだと。


彼女たちはこれから強くなってくれるはずだ。


何にも負けない強さを、すでに手に入れたのだから。


わたしは最後に大きく手を振り返し、ゼルケイの街を後にした。





喧騒が背後で遠のき、街道に静寂が訪れる。


ゼルケイの街の外縁、荒野へと続く一本道。


そこに長く伸びるわたしとクレアの影。


それを眺めていたわたしは、あることを考えていた。



ずっと拭い切れずにいる違和感。


勝利を手にした余韻よりも、わたしの心を支配して止まないこと。


この宝玉のことだった。


サヌラが欲していたこの宝玉は、トゥウランの街でエルバが持ち去ったものとよく似ている。


エルバたちがワイバーンの群れを利用して、トゥウランの街を混乱に陥れてまで手に入れたあの宝玉と……。


その使用用途はわからないが、おそらくこれは普通のアイテムではないだろう。


わたしの中に、そんな確信めいたものがあった。


それに、サヌラもエルバもボスと呼んでいる誰かの指示で動いているようだが、おそらくそれも偶然ではない。


ボスと呼ばれる人物は同一人物であり、エルバやサヌラたちを使って宝玉を集めさせ、何かを企んでいる。


そいつが誰で、何のために部下を使って、宝玉を集めさせているのかはわからない。


だが、わたしにはそれが決して良いことのために使われるとは思えなかった。



『宝玉については、現在解析を急いでおりますが、情報量が少な過ぎて、少々難航しております。』



ガイドさんは悔しそうに言うが、わたしはそれを責めはしない。


そして、懐にある宝玉を取り出して、ゆっくりとそれを眺めてみた。


淀みのない透き通った真紅の球体に夕陽が当たり、美しく輝いている。


だが、その中心には鈍い光が渦巻いており、どこか脈打っているようにも感じられた。



わたしは宝玉を見つめながら歩みを止めた。



「これが何なのか……調べたい……。」



そんな本音がポロリとこぼれ落ちてしまう。


もちろん、今はクレアと旅をしている途中。


わたしだけの意見で、旅の目的を決めるわけにはいかない。


クレアの意見もちゃんと聞かなければならないはずだ。


でも、エルバたちの目的が気になってしょうがない。


そんな思いから出た本音だった。


一方で、クレアは足を止めたわたしにゆっくりと近づいてくると、正面に立った。



「お〜奇遇だねぇ!実は、私も今、同じことを考えてたところ!」



その顔には屈託のない笑顔が浮かんでいる。


妹弟子の我儘は、どんなことでも許容できると言わんばかりの笑顔を見て、わたしは小さく笑みを溢した。


だが、クレアの話はそれだけでは終わらない。



「しかもさぁ!今思い出したんだけど、実は私、それと同じような宝玉に覚えがあるんだよね!」


「え……そうなの……?」


「うん!ゼ・ツイレイクの街では何年かに一度、大きな武道大会が開かれるんだけど……。」



ゼ・ツイレイクの街は、ここゼルケイから南西に向かった先にある比較的大きな街らしい。


ガイドさんがこっそり教えてくれたので、わたしはわかっているように振る舞いながら、クレアの話に耳を傾ける。


クレアが言うには、そのゼ・ツイレイクで定期的に武道大会が開かれているらしい。


何でも、街を管理している貴族の祖先が大の格闘技好きだったそうで、その昔、帝国内で強者を募って始めた小さな大会が始まりだとか。


今では国内だけでなく、王国などの諸外国からも参加者が訪れるほどに規模が大きくなったため、帝国も資金を提供してサポートするほど賑わうイベントらしい。


そして、その大会にこの宝玉と同じようなものが展示されているのを見たことがあると、クレアは言う。



「大会の賞品ではないんだけど……その貴族が大事そうに会場に飾って、来賓とかにお披露目していたのを覚えてる。あれは絶対にそれと同じだよ。」



なぜか確信しているクレアに少し苦笑いしつつも、わたしもつい食い気味に尋ねる。



「その大会……次はいつ開催されるの……?」



すると、クレアがニヤリと笑った。



「これ……さっき、ゼルケイの街で見つけたんだけど……」



彼女はそう言って、手に持っていたチラシをわたしに見せてきた。



「なんと今年開催!しかも、開催日はあと2週間後だって!!」



チラシを受け取って目を通すと、ゼ・ツイレイクで今年も武道大会が開催される旨が、確かに書かれている。


しかも、クレアが言うとおり、今日から2週間後……。



『ここからゼ・ツイレイクまでは、歩いて1週間ほどですね。受付は5日前までのようですから、十分間に合います。』



ガイドさんの言葉に、わたしも大きく頷いた。



実際のところ、これはチャンスだと思った。


エルバたちは常に宝玉の情報を探っているはずだから、ゼ・ツイレイクの宝玉を狙って動いている可能性は高いはずだ。


ここまで大々的に開催するイベントだし、絶対に知っているだろう。


そこに行けば、おそらくエルバたちと出会えるはずだ。


だが、チャンスと感じたのはそこではない。


今回、今までと違うのが、わたしたち自身も宝玉の所在を事前に知ることができているということ。


そして、何よりもサヌラが手にするはずだった宝玉を、わたしが持っていること。


要は、現時点でわたしたちは、エルバたちと交渉ができる状況にあるという事実。


それが、わたしにチャンスだと思わせていた。


もちろん……ゼ・ツイレイクにエルバが来るかはわからないが、何となく彼女は来る気がする。


そんな確信がわわたしの中にはあった。



「クレア……!」


「もっち!行くよね!」



姉弟子は、そんなわたしの内心を見透かしたように笑う。


わたしはそれに大きく頷くと、駆け出したクレアの後を追った。


手に持っていた宝玉を、再び懐へとしまい込んで。




一瞬だけ、自分の手が震えた気がした。


それが武者震いなのか……それとも、得体の知れない不安への恐れなのかは、今のわたしにはわからない。



でも、それはおそらく、ゼ・ツイレイクの街に行けばわかるはずだろう。



エルバ……。


わたしと同じ兎人族の女の子。


彼女に会いたい……。



そんな思いが、わたしの胸の内には渦巻いていた。

無事に3章の割を迎えることができました。

ここまで読んでくださっている皆さまには、感謝でいっぱいです!


この後は、次なる場面へ移行し、物語もさらなる盛り上がりを見せる予定です!


更新まで少しお時間をいただくやもしれませんが、引き続きご愛読のほど、よろしくお願いします!

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