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98 ダンジョン最下層・激戦②

更新が追いつかずにすみません!


98話更新します!!

サヌラたちと戦い始めて、どれくらい経っただろうか。


斬ろうが叩こうが、一向に怯む様子を見せない謎の魔物相手に、わたしはしきりに動き続けていた。


撹乱するように跳ね回り、隙をついてはスキルを撃ち込む。


そうして、魔物との距離を一度測り直しては、再び跳ね回る。


それらを繰り返しながら、わたしはクレアたちの到着を信じて待っていた。



だが、幾度も攻撃せど相手が怯まないという事実は、わたしの心を疲弊させていったことは言うまでもないだろう。


少しずつ、魔物の反撃の魔の手がわたしに届きつつあった。




空中にいるわたしに向けて、大きく振りかぶった魔物の腕が襲いかかる。


何度も何度も振り回されるその腕を、わたしは体を捻ってなんとかかわし、隙を見てスキル【カマイタチ(烈風刃斬)】を放つ。


だが、奴は構うことなく風の刃を額で受けると、再び腕を振り回し、その猛攻をわたしに向けた。


そのひとつを避けきれず、思わず指先に備わる大きな爪を剣で受け止めた。


その反動で、わたしの体は大きく吹き飛ばされてしまう。


自身の周りに砕けた岩と砂の粒子が巻き上がる最中、背中に受ける強い衝撃にわたしは顔を歪めた。


だが、身体強化によって強化された体は、壁にぶつかったくらいで怯んだりはしない。


すぐに立ち上がり、目の前の魔物に向かって走り出すと、そのまま次のスキルを発動する。



「アイスバレット(氷弾)!!!」



わたしの後方には、大きな氷の球体がいくつも生成され、それらが一斉に魔物に向けて飛び出した。


一直線に飛んでいく氷の散弾が、奴の顔に被弾する。


爆煙とともに舞う氷の欠片たちが、キラキラと光のダンスを踊る中、わたしは高く高く飛び跳ねた。


氷の煙幕によって、わたしを見失った魔物の様子がここからだと俯瞰して見える。


少し離れたところにいるサヌラが、わたしの動きに気づいて魔物に指示を出しているところも……。


それと同時に、魔物が上を向いた。


視線と視線がぶつかり合う。



でも、こっちの方が一手だけ早い……!


このまま、奴の額に全体重を載せた一撃を見舞ってやる……!



そう考えた矢先だった。


突然、魔物が口を大きく開き、何かを吸い込むような動きを見せる。


キラキラと小さく光る何かを吸い込むと、口元に黒い粒子が集まり始め、それがどんどん大きくなっていくではないか。


それを見た瞬間、わたしの背筋に冷たいものが走った。



『あれは……ブレスです!!回避してください!!』



頭の中で大きく響くガイドさんの声。


その言葉にハッとしたわたしは、すぐさま空歩による空気の足場を構築。


それを強く蹴って、自分の方向を無理やり左へと変えた。


その瞬間、風を切り裂くような音が通り過ぎたかと思えば、黒い粒子の光線がわたしの真横を駆け抜けた。


轟音が鳴り響き、天井が激しく抉られていく。


同時に、砕かれた岩が頭上から落ちてくる。


それらを足場として使いつつ、わたしは瞬時に魔物との距離を取った。



な……何なんだ……今のは……



感じた寒気の正体を知り、わたしは目を見開いていた。


黒い光線が当たった天井には大きな穴が空いていて、焦げたような黒い煙がところどころから見える。


それを放った張本人は、口元に黒い粒子の残滓を残してわたしを睨んでいる。



あれをもし受けていたら……



そんな未来を想像し、わたしは言葉を失ってしまった。


だが、朗報もないことはないようだ。



『……今ので確信しました。』



ガイドさんのその言葉は、今のわたしにとって光明となり得た。


未知の魔物との拮抗した戦いで、わたしの神経は少しずつすり減っている。


このまま戦い続けてもジリ貧だし、どうにかこの状況を打開できる一手を打ちたい。


それが今のわたしの本音だった。


そんなわたしの気持ちを汲み取るように、ガイドさんは結論を講じた。



『あれはおそらく竜種です。体に纏わりついている黒い霧状の何かが姿形を変えてしまっていてわかりませんでしたが、今のブレスを見てそう判断しました。』



竜種……?


てことは、ドラゴンってこと……?



『そうです。おそらくですが……』



ガイドさんの歯切れの悪さにも頷ける。


目の前にいる魔物は、確かにドラゴンとは言い難い様相であった。


体のところどころから確かに鱗は見えている。


わたしの剣も何度もそれに阻まれているのだから、それは把握していた。


だが、謎の黒いモヤが体のほとんどを覆っており、しかもそれらが様々に形を変えながら静かに蠢いているのだ。


もはや、誰がどう見ても、一目ではドラゴンとはわかるまい。


それがわたしの感想だった。



ちなみに、ドラゴン……いや、竜種には様々な種類がいると聞く。


ワイバーンのような飛竜を含む翼竜から、火竜や水竜などの属性竜、それに牙竜や海蛇など神話に出てくるような神竜などなど、その種類は千差万別と言われている。


以前、父との思い出話の時に紹介した土竜アグレスは、属性竜に分類される。


こいつはわたしから父を奪った竜だから、出会えばわたしの手で屠ると決めている竜種でもあるのは余談だが……。


そんな多種多様に及ぶ竜種であるが、どの種類にもひとつだけ変わらないことがあった。


それは桁外れの強さである。


吼えれば大気を震わせ、動けば大地が裂ける。


震天動地、驚地動天、古今無双と謳われるその強さは、現在も世界中で恐れられていて、帝国では1体いれば国が滅びるとさえ言われているほどだ。



そんな竜種が今、自分の目の前にいる……。


現実を叩きつけられた衝撃に、わたしの思考は一気に絶望の渦へと連れ去られて行った。

戦っていたのは竜種だった…。


そんな絶望とも言える事実を目の当たりにし、パルトノ心は折れつつ?あるようです。

クレアたち、急いで!


今回もご愛読いただきまして、ありがとうございました!

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