#27 親友だから
優作とシルバーが、バチバチのやり取りを見ていた近藤は
「おっと、戦うなら私は邪魔になりそうだから、壇上に避難させてもらおうかね」
そう言って壇上に移動した。
シルバーは納刀したまま、優作は素手のまま、無言で距離を取り始めた。
そんな中、シルバーはある違和感を感じていた。
それは長年使ってきたパートナーの【紅玉】にだった。なので少し目線を下げて確認した
(なんだこの違和感、昨日は感じなかったもんだ…いや、お前にも俺の怒りが伝わってんのか、初めてだもんな、怒りでお前を握るのは、あいつの目、覚まさせてやろぜ)
2人はある程度の距離を取り終えると、シルバーが優作に話しかけた。
「お前、武器は?」
「こいつだよ」
そう言うと優作は腰の裏に手を回すと何かを取り出した。
それは長さ10cm直径4cmの筒だった。
「これが俺の相棒【雷霆】だ」
「らい…てい?それがか?」
困惑するシルバーに優作はこれが何かを説明しだした。
「話さないと初見殺しになっちまうから、こいつが何なのか教えてやるよ」
そう言うと優作は、【雷霆】を握りながら拳を前に突き出した。
すると、【雷霆】の両端が凄い勢いで伸び始めた。そして最終的に2mまでの長棒へと変形したのだった。
「なんだぁそれ…そんなんありかよ」
「これだけじゃねぇよ」
そう言うと優作は【雷霆】を真っ二つにしたのだった。
「こいつはなぁ真ん中で分けれるんだ、これを使えば二刀流、短くして一刀流、長くして長棒の3パターンで戦えるって訳だ、さぁやろうか近藤さん合図を頼むよ」
そう言いながら【雷霆】を長棒の型に戻した。近藤は審判をする事になり、ルールを確認しようとする
「ルールはどうするだい?」
「いらん、倒れたらで良い」と優作は言い放ったため
「流石にそれはダメだろ」と近藤は慌てたが
「それでいいです」とシルバーも返事したために、渋々このルールを承諾した。
戦いが始まる前にシルバーが優作に問いかけた。
「そうだ、優作、最後に1つだけ、聞きたいことがある」
「なんだ」
「なんで俺がお前にキレてるのか分かるか?」
「さっきの発言じゃねぇのか?」
シルバーはそれをきっぱり否定した
「ちげぇよ」
「は?」
「俺はなぁ、お前が俺に過去を話すつもりがないことに、キレてるんだよ」
これを聞いた優作は少し暗い顔になった。そしてシルバーもまた暗い表情を浮かべた。
「お前昔こんなこと言ってたよな【仲間の為に、全力になれない奴は、バカだ】てよ、ホントにそうだな…俺はバカだった…あの時、あの夏休み明けに、俺はお前に全力で向き合えなかった、一番の親友であるお前にだ…俺は(無理に聞くのは良くないから、いつか話してくれるその時まで待とう)そう考えて待ちを選んだ、でもそれは間違えだったんだな…今思い知ったよ…【RB】を壊滅ってなんだよ…何があったんだよ…なんで話してくれなかったんだよ…」
次第にシルバーの表情は怒りも含みだし、声量も上がり始めた。
「なぁあ優作、俺はそんなに信用できなかったのか?それとも弱いからか?それとも俺が助けないと思ったからか…?なぁあ…なんとか言ったらどうだあぁ!!優作!俺はお前…」
「だからだろうがぁぁ!!」
優作はシルバーが話している最中にもかかわらず、でかい声でそれをぶった切った。
「何があったのか、何に巻き込まれたのか、それを話したらお前らは助けようとするだろう、特に一番のダチであるお前の行動なんざ、手に取るようにわかるんだよ!だからこそ言う訳には、いかなかった…それにあれは、俺がまいた種だ、なら俺がケジメをつけるのが、筋ってもんだろが、俺の戦いに、ダチを巻き込んで、怪我でもしちまった時には、俺は死んでも死にきれねぇからな、それに、世の中には知らない方が幸せなこともあるんだよ、だから自分に非があるなんて考えんじゃねぇよ」
それを聞いたシルバーは落ち着きを取り戻し冷静に話しだした。
「はは…結局俺らぁ似た者同士だな…だからこそ、俺が勝って、腹を割って話そう」
「本当は最後の試練にしたかったが、仕方ねえ次の試練は、俺を倒すだ」
言い終わると優作は【雷霆】を刀のサイズにして構えた。
シルバーも、鞘から【紅玉】を抜いて、いつもの構えをとった。
2人は同じ師匠から剣術を教わったため、構えは必然的に左脚を少し前へ、体は少し右へ捻り、刀を持つ両手は胸の少し前に、切っ先を相手の方に向ける構えになり、2人は写し鏡のようになった。
「後悔は無しだぜ、優作」
「忘れちまったな、後悔なんて言葉は」
2人の準備ができたのを確認した近藤は試合の合図を出すために、右手を挙げた。
「いいかい2人共、これは殺し合いではないのだ、無理は禁物で頼むよ、では…試合…始めぇぇ!!」
その言葉と共に右手は振り下ろされ、戦いの火ぶたが切られた。
~~武器の設定~~
優作の相棒【雷霆】(らいてい)
中2の夏以降に作られた優作専用装備
優作は名前を【如意棒】にしたかったが、製作者の安堂が【雷霆】と命名した
※安堂は現状未登場
シルバーのパートナー【紅玉】(こうぎょく)
昔近くにあった製作所が閉業する際に、可愛がっていた皆へのプレゼントとして小3の頃に受け取った。
武器の命名は製作者の千代である ※千代は現状未登場
なんと今まで一回も刃こぼれをしていない逸品
~~以下幼馴染の武器名~~
荒川 【黄玉】(おうぎょく)
影山 【黒玉】(こうぎょく)【軟玉】(なんぎょく):【鋼玉】(こうぎょく)
亀瀧 【紅玉】(こうぎょく)
坂本 【藍玉】(あいぎょく)
松永 【翠玉】(すいぎょく)
三戸 【碧玉】(へきぎょく)
目黒 【蒼玉】(そうぎょく):【翡翠】(ひすい)
全て千代作
影山の【黒玉】【軟玉】は小太刀で【鋼玉】は刀
松永は現状【雷霆】だが、昔は【翠玉】だった
因みに、6話でシルバーの首に当てていたのが【翠玉】である
目黒は刀を使わないが、記念にと【蒼玉】も作ってくださった
【翡翠】はリボルバー
至らぬ点も多々あると思いますが、「初心者が頑張ってるな」みたいな感じで今後も読んでいただければ幸いです。




