竜騎士ラーミ
とりあえずオススメされた方向に向かって青草が広がる道なき道を歩いて行く。
「どこに着くのかしら?」
「リリィのオススメだし悪いところじゃないんと思うよ?」
そう言ってリリィの方を見るとニンマリと笑っていた。
他のみんなはと言うとラーミとノービィは相変わらず楽しそうに何かをしていた。
ドッペルはふわふわと浮遊しながら眠たそうについてきていた。
「あるじよ!」
油断をしていたわけではないがラーミの突然の声かけに身構える。
皆も身構えて状況確認をする。
耳を澄まし、周りを確認するが何も異変はない様に感じられる。
警戒を解いてラーミを方を見る。
「ラーミ、いきなりどうしたの?」
振り向くとそこには男心をくすぐるプレートアーマーに身を包んだ竜騎士がいた!
「何それ!かっこいい!」
心の声が大声で出てしまって恥ずかしい。
1人で恥ずかしがっているとカトレアがラーミを連れて少し離れたところに行ってしまった。
離れていてもお説教しているのが分かる。
数分後、無事終わった様でふよふよと元気を無くしてこちらへやってくる。
「あるじよ、ごめんない。この姿を見せて驚かせたかったのだ。」
「次からはあまり驚かさないでくれると助かるかな?街にいる時は全然いいんだよ!」
「ほんっと甘いわねシルヴァは!」
まぁまぁとカトレアをなだめながらお礼を言う。
「みんなのために怒ってくれたんだよね、ありがとうカトレア。」
「………いちいち言わなくていいわよ。」
次はラーミのフォローに入る。
「本当にかっこいいね、ラーミ!」
深紅の鱗をもつノービィにブラットアーツで作った真紅の鎧を装備し槍をもって跨る姿は本当に格好が良かった!
「そうだろ?あるじ!」
そう言い抱きついてきたラーミを優しく撫でる。
ラーミの笑顔が戻ってきたところで改めて道なき道を歩いて行く。
「シルヴァ、ゴブリンよ!」
カトレアのおかげでゴブリンを早期発見する。
数は3体。
「任せろ、あるじ!」
そう言い残しラーミがノービィと共に突撃をする。
体を倒し空気の抵抗を少なくして槍を構える。ラーミを乗せたノービィも高所から急加速して敵との距離を一気に詰める。
そのまま頭部めがけて突撃し粉砕すると、残った2匹のゴブリンは急に仲間の頭が無くなり何が起きたんだと混乱している。
そして再度超スピードで突撃し相手は考えるまもなく粉砕される。さらに間髪入れずにもう一撃。
まさに瞬殺だった。
敵の亡骸はいつも通り消えて、返り血などはラーミに吸収されていった。
ラーミも色々成長して新たな能力を獲得しているのだろうか?
「すごいよラーミ!」
「ま、まぁ、我にかかればこれくらいは朝飯前だ!」
「ノービィもかっこよかったよ!」
「ビィー!」
敵も片付いたのでまたみんなで歩き始める。
「それにしてもラーミ、いつの間にあんなことできる様になったの?」
「なんかやっていたらできる様になっていた!」
さすがラーミ!天才肌だ!いつの間にか色々新しいことができる様になっているんだよな。
「さすがラーミだね!」
「そうだろ、そうだろー!我、天才だろー!」
みんなでラーミの自尊心が回復して行く姿を温かい目で見守った。
歩いているとだんだんと風景も変わってきて、地面にはゴツゴツした石が多くなり枯れた木々も多く現れる様になってきた。
「なんだか怖くなってきたね。」
「そうですねシルヴァ様、なのでもっと近くに行ってもいいですか?」
ただなんも考えずに放った言葉に思いもよらなかったリリィの回答が返ってくる。
「待ちなさい!シルヴァも怖んじゃないの?私が近くにいてあげるわよ。」
「我もー!」
「ビィ!」
「うーん、あたままもっておいてあげる〜。」
みんなが一斉にくっついてきた。ドッペルは戦闘が終わるといつの間にか頭に乗っていたけど。
「ありがとうみんな、もう怖くないよ。」
「心配だからもう少し近くにいてあげるわよ。」
みんなが離れてくれなくて少し歩きにくかったが延長が入ってしまった。
だがみんないい顔をしているのでその表情を独り占めしてる対価だと思うことにして、目的地のわからない場所を目指して歩いて行く。
歩いて程なくすると日もだんだんと落ちてきたので完全に暗くなる前にこの辺りで野宿をすることにした。
「ラーミ、ノービィお願い!」
「任せろあるじ!」
「ビィー!」
ラーミとノービィには周りの状況を確認してきてもらい残った者たちで野宿の準備を始める。
まずはテントを張りその周りに結界石を設置する。その後火を起こして食事の準備をする。
テントを張り終わってちょうど火を起こしたところでラーミ達が帰ってきた。
「特に異常はなかったぞ!後少し行ったところに川があった!」
「ありがとう!」
とりあえずすぐ近くにはモンスターはいない様だ。
それに川があるのはかなり嬉しい。
火が安定してきたので料理を始める。
今日はアイテム一覧に材料が色々入っていたのでちゃんこ鍋にする。
メインはサンドウルフのお肉、後は様々な野菜をぶっ込んで味付けをしたら完成だ。
料理ができるころには日は落ちきって暗闇と静寂があたりを支配していた。
「美味しそうですね!」
「なかなかのできなんじゃない?」
「さすがあるじ!」
「ですね〜。」
「ビィーー!!!」
とりあえず見た目は美味しそうにできた!味見もしたけど十分に美味しかった、、と思う。
みんなに行き渡ったら早速食べ始める。
「シルヴァ様!美味しいですー!」
「やるじゃない!」
「うむ、最高だ!」
「おいしいですね〜。」
「ビィーー。」
みんなの口にあって良かった!
自分でも食べてみる。
うん、やっぱり美味しい!ウルフのお肉はジビエの様なクセもなくて旨みが強い、野菜も甘味が出てきて食べやすく美味しい!
みんなどんどんとおかわりしてくれて作った分は全部なくなった。
「ご馳走様です!」
「美味しかったわ、ご馳走様。」
「ご馳走様だ!」
「ごちそうさまでした〜。」
「ビィ!」
食べ終わって片付けも済ませたところでノービィを連れて川へ水浴びに行く。
「ノービィ水浴び行こう!」
「ビィ〜!」
「シルヴァ様お気をつけてー!」
リリィがすんなり見送ってくれたのはそれはそれで怖い感じもしたが気にしないで川へと向かう。
川は歩いて数分のところにあり、川の流れも穏やかで水浴びもしやすそうだった。
一応結界石を使って安全を確保する。
その後生まれたままの姿になりノービィと一緒に川へと入る。
まずは足からそっと入れる。
「ちべたっ!」
「ビィ〜。」
意外にもノービィは平気そうで気持ちよさそうに入っていた。
ノービィの体を洗ってあげた後は自分を洗う。
なんかちゃんと冒険してるみたいで楽しいな。
そう思いながら体を洗っていると誰かが背中を擦ってくれた。
「ありがとう、そこらへんちょうど気持ちいいよ。」
………ん?誰だ?
今いるのはノービィだけのはずだ。まさか人化?いや、それにしても手が小さすぎる様な。
怖くて後ろを振り返れないでいると後ろの人物が声を発した。
「いやー、喜んでもらえて嬉しいです!シルヴァ様!」
なんだリリィか。
………リリィ?!
「何してるのリリィさん?」
「サポート妖精ですのでサポートさせていただいてます。」
しっかりと意思の強さが感じられる声色で真っ直ぐ言ってきた。
「ありがとう、でも大丈夫だよ。テントでゆっくり休んでて。」
「いえ、心配が無用です。最後までしっかりとサポートさせていただいてます!」
リリィはその後もなかなか引かずに結局背中全てを洗って行った。前はなんとか死守できた。
満足したリリィはニヤニヤしながらテントの方へと戻って行った。
ノービィはと言うとその間、おとなしくじっとこちらを見ていた。
水をしっかりと拭いて服を着てテントに戻る。
「さ、ノービィ、テントに戻ろっか!」
「ビィー!」




