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闘技場での戦い

「シルヴァ〜様朝ですよ!」


そうか、あの後戻って来て休むつもりが寝てしまったのか。

心地良い声をまだ聞いていたい自分と早く起きなければという自分との葛藤が始まる。


激しい戦いの末、前者が勝って十分に声を堪能した後に身体を起こす。


「おはようリリィ。」


「おはようございます!もう、起きるのが遅いですよ!」


にこっと元気いっぱいの笑顔で答えてくる。


「そういえば他のみんなは?」


周りを見てみるとみんなが見当たらない。ノビィは飛び込んできてくれると思ったのだが姿が見えない。


「もうみんな下に降りて行ってますよ。」


前々から思っていたことを改めて考える。

俺って精霊使いだよな?精霊ってこんなに主人から離れて長時間自由に顕現できるものなのか?まぁ、専属契約はカトレアだけれども。

うーん、と考えているとリリィがまるで思考を読んだように話しかけて来た。


「シルヴァ様、あんまり深く考えない方がいいこともたくさんあるんですよ。」


いつも笑顔なのは良いが今はその笑顔がとても怖い。



身支度を済ませ共有スペースへと向かう。


「おう、今朝は遅いのう!早く飯を食べようぞ!」


ノビィに乗ってラーミが騒がしくしている。


「もう、早く起きなさいよね。あんたが1人で起きられたらこんな不毛な争いは居なくて良かったのに。次は私が勝つわよ。」


カトレアが朝からよくわからないことを言っている。

そして周りのみんなは、にへらとしながらそっぽを向いている。

うん、あまり深く考えない方がいいのかもな。


それにしてもみんな朝食を待っていてくれてそれだけで可愛いな。


「そういえばドッペルは?」


周りを見渡してもいなかったのだが不意に肩から声が聞こえて来た。


「ここですよ〜、おはようございます〜。」


「っ!朝からびっくりさせないでよ、おはようドッペル。」


「ちょっとシルヴァ、私たちにはおはようの挨拶がないんじゃない?」


カトレアの逆鱗に触れてしまったようだ。


「カトレアおはよう!ラーミもおはよう!」


「ふん、最初からそうしなさいよ。」


「うむ、おはようなのじゃ!」


ひと段落したところでみんなで朝食を済ませ、ギルド員に挨拶をしたら出発をする。


「それじゃ行ってきます!」


「はい、シルヴァ様行ってらっしゃいませ。それではのちほど。」


ヴィルノス さんが後ほどって言ってたけど後で観戦しにきてくれるのかな?



街を見ながら会場へと向かう。

会場に着くともう既に観戦席がほとんど埋まっていた。


「出場者の皆様はこちらへお願いします。」


案内係の指示に従い闘技場の控え室へと入っていく。

そこには筋骨隆々の戦士たちやいかにもな魔法使いたちがいた。こんなだと色々トラブルがあるだろうと思っていたのだか意外にも雰囲気はよく皆、来た順に行儀良く待機していた。

座って待っているとボックスを持った係員が近づいてきて中から1枚紙を引くように言われた。

番号を見せると待機室にあるボードに書かれてどんどんと進んでいく。


グループはAグループとBグループあり、

Aグループは

1 ローダー

2 イエス!旅人!

3 シルヴァ

4 ユークリッド

5 雷神

6 花吹雪

7 ロスト・ビール

8 キングサーモン

9 レオ・ダニエル

10 無限回廊

11 ハミルトン

12 一寸先は何?

13 霧隠 雲海

14 ダイ

15 たぬきち

16 クロイ ハクト


Bグループは

1 フランソワ

2 マイケル

3 ジョージ

4 雪花

5 缶詰作家

6 ちょっとそこまで。

7 トウカ

8 最強の肉壁

9 ヴィルノス

10 落花生

11 蜻蛉返り

12 薄羽陽炎

13 石の上にも30秒

14 チョコレートサンデー

15 牙突

16 風来 拳


意外とキリが良くなのか定員制だったのか人が集まってくれたおかげで綺麗に別れることができた。

流れとしてはAグループとBグループでトーナメント戦を行い各グループの勝者同士が戦い、優勝者を決めるということだった。



「さぁ、始まりました。今回は初参加者が多いということですが気になる試合とかはありますか?」


「そうですね、やはり優勝商品に釣られてやってきた剛腕が気になりますね、ぶっちゃけ優勝候補ではないかと思います。」


「私もそう思います!それと前回から引き続きの参加者と新人の駆け引きも楽しみですね。それでは、第15回闘技大会開催いたします。」


ぬるっと始まった掛け声とは裏腹に会場はとても湧き立っていた。


一試合目はローダーとイエス!旅人!

あまりみどころもなくローダーが勝ち進み

2試合目の自分とユークリッドの試合は無事勝ち進めることができた。その後も順調に試合が進んでいき無事に勝ち残っていると控え室へと呼び声がかかる。


「シルヴァさん、クロイさん、Aグループ最終戦お願いします。」


まさかここまで勝ち進むとは思っていなく平常心を心がけて会場へ向かう。


「さぁ、両者やってきました!圧倒的な物量とバフ、デバフで勝ち進んできたシルヴァ選手。そして一体どんな手を使っているのか仕掛けが全くわからない技を使うクロイ選手。勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか!!」


興奮気味の解説者さんの言う通り、相手のクロイ選手は基本は武術などで戦うのだが、時折指をパチンッと鳴らすと相手の動きがすこぶる悪くなっているように見えた。


「さぁ、両者位置についた。それでは開始!」


称号は、今ある中でも使えそうなグリムの友を設置し最初から全力で向かう。武器は短剣と小盾。

現在持っているパッシブ、アクティブ含めて様々な効果をかける。

身体能力強化(中)

攻撃威力上昇(小)

武器攻撃力上昇

デバフ値軽減

バフ値上昇

同調

器用

俊敏

そしてスキルの俊敏2

リリィのブーストをドッペルの能力で倍にする。


その間相手はこちらを見ているだけで一向に仕掛けて来ずこちらの準備が終わるのを待っているようだった。

だが、いっても1秒に満たない時間。準備ができたらフェイントを交えながら相手へと接近しようとする。


「これは流石に良くないですね。」


まだそんなに接近もしていないのに敵の声がはっきりと聞こえた。

その瞬間、パチンッ。

これまでの全能感がまるで最初からなかったかのように消え去った。


実にコンマ数秒、状況を理解しようとするそのわずかな時間の内に敵の拳は顔前へと迫ってきていた。

避けることが出来ずに顔面へモロにくらってしまう。


だがそのおかげで多少なりとも相手のプレイスタイルが見えてきた。

なんらかのギフトにより相手の能力値をゼロにして自身の武術や格闘術を持って接近戦に持ち込み試合を決める。

ただ映像を見ていただけだとここまでの脱力感や無力感が襲ってくるとは思ってもいなかった。


とりあえずバックステップで敵と距離を取り再度リリィ達にバフをかけてもらう。

すると、すかさず指を鳴らして無効化する。

こんな強力なギフト何度も使えるとは思わないがこちらも何度もバフをかけるのは難しい。


「もう、私が出るわ!」


見かねたカトレアが敵へと攻撃を放とうとする。


「まだ待ってくれ!もう少しやらせてほしんだ。」


そう言うと、仕方ないわねと言うような表情をして攻撃準備を解除してくれた。


「かっこいいですね。」


それを見ていたクロイから意外な言葉が飛んできた。


「皆んなにはいつも助けられてばかりだから今日くらいは、ね。」


「その割には最初からその方達にもバフをかけてもらっていましたがね。」


軽く笑いながら行ってくるが実際そうなので痛いところをつかれた。


ほんの数秒の和やかな空気からお互い構えてピリッとした空気へと変わった。


「それじゃあ、いきますよ!」


まるで瞬歩を使っているかの如くスピードで接近して一撃を入れられる。がなんとか小盾で防ぐが、ニ撃、三撃目とどんどんと繰り出される。

半分以上は防ぎきれずに勿論こちらから反撃する余裕もない。


皆んな心配そうな顔でこちらを見る。


「ほんと仕方がないわね、みんな心配してるわよ。」


「待つのじゃカトレア、我がいく!」


後ろからそんな声が聞こえてきた。


その間も敵の攻撃を受け続ける。なんとか最小限には抑えて入るけど流石に限界に近いかもしれない。


「シルヴァよとりあえず距離を取れ。」


なんとか隙を見つけてバックステップで距離を取る。


「よし、すぐに叫ぶのじゃ!ブラットアーツと!」


今まで成功したことは一度もない。こんな土壇場で成功するのか?そんなことを思いながらもそこに一筋の希望をかける。


「ブラットアーツ!」


(ブラットアーツ使用条件をクリアしました。詳細が指定されていませんので自動生成します。)

そう頭に流れてくると小盾と短剣が消え、先ほどまで自分の血で汚れていた地面から剣山のようなものが生え自身には血で出来たようなアーマープレートが装備されていた。

それだけではなく右手には槍が装備されており[乾血の呪槍]と表示されていた。明らかにヤバい装備だと言うことはわかる。


「これは初めて見ますね。だが、それもキャンセルだ。」


そう言ってクロイがまた指を鳴らす。


だが何も起きない。


「ん?…おかしいですね。」


そう言って2度、3度と指を鳴らす。

クロイの表情に明らかな疲労感が見えてきた。


そしてこちらとしても時間を無駄には出来ない理由がある。この状態になってから少しずつだからHPとMPが飾られている感覚に襲われている。


槍を構えて早速攻撃を仕掛ける。

相手はやはり近接戦を専門としてるだけあって何なく槍の攻撃を逸らす。

だがその逸らした箇所が出血が始まった。


「とんだ近接殺しですね。触れた箇所に出血状態にして永続ダメージですか。しかも回復薬も効き目が激減している。」


相手にも確実にダメージは入っているようだが元々入っていたダメージが違う。そしてこちらは諸刃の剣。

とにかく動ける内に鬼のように攻める。

そんなこんなで攻めているとほんの少しだが動きに滑らかさが増し、槍をつくたびの疲労感も軽減されたような感じがした。


敵も出来るだけ槍に直接触れないように攻撃を繰り出してくるが全部は回避出来なく何度か良いあたりを入れることができた。当たり判定で効果に増減などがあるのだろうか?その際は出血効果などが増大しているように感じられた。


最後の方はお互い意地で立っているようでまともな攻撃は互いに入れることができなくなっていた。


「終了!試合終了!!」


見かねた審判が試合の終了を言い渡した。


「この試合両者引き分けとする。」


少しすると、Aグループ代表には3位の雷神選手を代理とする。と会場全体に放送があった。


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